低音域(ベース)をミックスする5つのコツ【9割のアマチュアが間違える】
- 2024.08.12
- 2024.08.13
- ミキシングのコツ
ローエンド=低音域は音楽でも根幹となる重要な音域のため、この部分のミックスを上手に行わないと曲全体がアマチュアっぽく聞こえてしまいます。
そのため、この記事では「プロはどのようにして低音域をミックスしているのか?」「アマチュアっぽく聞こえないようにするためにはどうしたらいいのか?」を解説していきます。
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問題:3つの低音域のうち、どれがベストでしょうか?
はじめに、「3つのタイプの低音域の音」をお聞きいただきます。
また、どのタイプの低音域が最も「いい」と感じますか?
0:25~0:53↓
この答えはのちに重要なポイントとなりますので、自分がどのタイプを選んだかをしっかり覚えておいてください。
それでは、解説に移ります。
ミックスにおける低音域の聞き方「クロークルームチェック」
低音域をミックスするときに重要なのは、「低音域の聞き方」です。
まずは、EQのローパスフィルターなどを使って、低音域だけが聞こえる状態にしておきます。
僕(Underdog Electronic Music School)は、これを使った低音域のチェック方法をクロークルームチェック(Cloak Room Check)と呼んでいます。
これは、クラブに行ったときに、音楽が流れているメインの場所から荷物を置きにクロークルームへ行ったときの音の聞こえ方と似ているため、このように名付けました。
車のカーステレオから漏れ出ている音もそうですが、「ドゥンドゥンドゥン」「ドコドン」など、低い音が聞こえるようになります。
中音域にダマされないミックスの方法
また、ローパスフィルターを使って低音域だけ聞こえるようにするのは、「中音域にダマされないため」という理由もあります。
中音域も一緒に聞こえる状態にしてしまうと、低音域が中音域に邪魔されてしまい、低音域だけを正確に聞き取るのが難しくなります。
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【解答】3つの低音域のうち、どれがベストでしょうか?
それでは、最初にお聞きいただいた「3つのタイプの低音域」のうち、結局どれが一番いい低音域なのか、解説しながら正解をお伝えします。
1つ目の低音域の解説
まずは1つ目の低音域の解説です。
・それ以外はあまり聞こえない(ベースもあまり聞こえない)
・キックとそれ以外を切り離しすぎている(ブレンドされていない)
これらを考えると、キックとベースが両方しっかり聞こえてこないので、シンプルすぎるように聞こえてしまうかもしれません。
実は、これはアマチュアの方がやってしまいがちなミックスの仕方です。
多くの方がキックをタイミング通りに置いて、あとはベースをちょっと足す…というぐらいだけで、「低音域のグルーヴ」をあまり考えずに曲を作ってしまいます。
そのため、低音域だけ聞いた時に「いいグルーヴだな」と思えないようなミックスになってしまうのです。
また、「キック以外は聞こえない」ということは「キックとそれ以外を切り離しすぎている」とも言えます。
言い換えれば、キックとそれ以外の要素が上手にブレンドされていない、混ざっていないということになります。
3つ目の低音域の解説
次は2つ目を飛ばして、先に3つ目の低音域の解説です。
・ストーリーがわからない
・グルーヴがはっきりしない
・ベースがキックを邪魔している(マスキング問題)
・どの音を聞かせたいのかがわからない
先ほどの1つ目に比べると、キックもベースもあいまいに聞こえてしまっています。
いろいろなことが「やりすぎ」で、結局この低音域は何がしたいのか、どんなグルーヴがあり、どんなストーリーを伝えたいのかがわかりません。
ベースがキックを邪魔してしまっているので、リズムがはっきりせず、「踊れる低音域」ではないように感じます。
1つ目は「キックとそれ以外がブレンドされていない」という問題がありましたが、こちらの3つ目は逆にマスキング問題が起こってしまい、「混ざりすぎてゴチャゴチャしている」という問題があります。
2つ目の低音域の解説
最後は2つ目の低音域の解説です。
・ベースもしっかり聞こえるが、キックを邪魔していない
・キックとベースが程よくブレンドされている
・爆音で流しても「踊れる」低音域
どんな音やグルーヴを聞かせたいのかが明確で、キックとベースのバランスもいいので「いい」と感じやすいサウンドです。
もちろん好みは人ぞれぞれですが、この2つ目の低音域が最も「いい低音域」と感じやすいサウンドと言えるでしょう。
低音域をミックスする5つのコツ
先ほどの解答を踏まえると、低音域をミックスするコツは大きく分けて5つあることがわかります。
・低音域の中でも「どの音を優先させたいか」がわかる
・キックとベースなど、複数の要素が切り離されすぎず、しっかりブレンドされている
・マスキング問題がない
・低音域だけで「ノレる」グルーヴがある
それでは、次は「どのようなツールを使えば低音域をキレイにミックスできるのか?」をご紹介します。
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低音域のミックスをさらに上手に行うためのコツ
ここからは、具体的にEQを使って低音域のミックスをさらに上手に行うためのコツをご紹介します。
「ベース」というパートは、必ずしも低音域だけあるとは限りません。
サウンドによっては、低音域だけでなく中音域、高音域も含まれていることがあります。
例えば、こちらのサウンドの周波数帯域をアナライザー(EQ)で見てみると、低音域から高音域まで含まれていることがわかります↓
つまり、まず「ベースに含まれている中音域以上」と「ベース以外の楽器に含まれている中音域以上」の音のバランスを整える必要があります。
そして、次は低音域で同じことを行います。
「ベースに含まれている低音域」と「ベース以外の楽器に含まれている低音域」の音のバランスを整えましょう。
この「各周波数帯域のブレンドを上手に行う」には、EQの「シェルフフィルター(Shelf)」がおすすめです。
他の楽器と各周波数帯域を上手にブレンドさせる方法
2.ベースかキックのどちらかに対して、EQを追加する
3.追加したEQのシェイプを「Shelf」にし、低音域を足したり減らしたりしてみる
4.どの量にするとちょうどいいバランスになるのかを探る
※中音域以上でも同様の手順で確認できます
一連の手順(6:28~7:20)↓
以上で解説は終了です!
当サイトでは他にもミックスのコツを多数ご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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