Serum2でプロっぽいベースサウンドを作る方法【コツ2つ】
- 2025.04.21
- 2025.04.08
- シンセサイザー

今回は、音楽プロデューサーのBig Zが解説する「なぜこれがSerum 2で一番いいところなのか?」をまとめました。
2025年に発売されたSerum 2には、前作の「Serum」からバージョンアップした機能がたくさんあります。
この記事では、その中でも特に便利な機能を使いながら、プロっぽいベースサウンドを作る方法をご紹介します。
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多くのシンセサイザーによくある問題
世の中にはたくさんのシンセサイザープラグインがありますが、多くのシンセサイザーでは「プリセットがすでに強く加工されすぎている」という問題があります。
ネットでプリセットパックを購入しても、最初からエフェクトがたくさんかかっていたりして、自分の曲になじまないことがあります。
その音だけを聴いたときに「かっこいい!」と思っても、他の音と一緒に聴くと変に浮いてしまうこともあるでしょう。
つまり「かっこいいけど使えない」という音がたくさんあります。
しかしSerum 2なら、この問題を簡単に解決することができます。
Serum 2ならこんなプロっぽいベースも作れます
たとえば、Sammy Virjiの「I Guess We’re Not The Same」という楽曲をお聴きください。
特にベースが特徴的で、深みも温かみもある音です。
そして、こちらが僕(Big Z)がベースを1から作り直したバージョンです。
僕が打ち込んだベースは、原曲とかなり近いサウンドになっていると思います。
もともとは他の人が作った楽曲ですが、Serumならこのようなプロのサウンドもしっかりなじませて作ることができます。
それではここからは、僕がSerum2を使ってどのようにしてこのベースサウンドを作ったのか、解説していきます。
今回のポイント(Serum2の機能を使ってプロのサウンドを作るコツ)
・Busを使い分けよう
今回はこの2つのポイントを踏まえて解説を進めていきます。
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Serum2でベースを作る方法4ステップ(アマチュアがやる方法)
それではここからは、Serum2でベースを作る方法をご紹介します。
まずご紹介するのは「アマチュアの人がよくやってしまう方法」です。
途中までは良いのですが、とある手順が抜けているため、アマチュアのような音になっています。
最後に「どの点を改善すればよかったのか?」を解説しますので、みなさんもぜひ考えながらご覧ください。
Serum2でベースを作る方法1.ノコギリ波+ユニゾンMAX

まずはプリセットを初期化した状態で、ノコギリ波(Saw)を用意します。
WAVETABLEモード+Default Shapes
そして、UNISONをMAX(16)にして少しDETUNEをかけます。
Serum2でベースを作る方法2.モノラルにする
次は、音をモノラルにします。
デフォルトではUNISONセクションのWIDTHが100になっており、音が広がって聞こえるようになっています。
そのため、WIDTHを1にして真ん中からしか音が聞こえないようにします。

UNISONを16(MAX)にしたのにWIDTHをモノラルにする理由は、その方が理想の音になることもあるからです。
通常、UNISONを2以上にして音をモノラルに近い状態にすると、同じ場所から音が出ることになるので、位相の打ち消し問題が起きやすくなります。
そのため「UNISONの数字を増やしてモノラルにする」というのは避けられやすい設定でもあります。
しかし、場合によってはこの方が理想の音に近づくこともあります。
例えば、位相の打ち消しが起こるとフェーズ(Phase)のエフェクトがかかったような不思議な音になるので、このような質感が欲しいこともあるでしょう。
今回もあえて位相の打ち消しが起こった方がいいサウンドになったので、このような設定にしています。
ただし、位相の打ち消しのおかげでいいサウンドになったのは中音域以上の音だけで、低音域はスカスカで薄い音になってしまっています。
これが、アマチュアの人がやってしまうシンセベース制作の問題の1つです。
この問題の解決方法は、のちほどご紹介します。
Serum2でベースを作る方法3.MONOモード+グライド

次は画面右下のVOICINGセクションで、ボイシングをMONOモードにしてグライドをONにします。
こうすると単音でしか鳴らせなくなり、次の音と音程差があるときはグライド(ポルタメント)するようになります。
Serum2でベースを作る方法4.エフェクトを加える
次はエフェクトを加えます。

・コンプレッサー(マルチバンド)
・フィルター(ローパスフィルター)
ここでのポイントは、最後に追加したフィルターです。
フィルターにはレゾナンス(RES)のパラメーターがありますので、この数字を上げると特定の周波数帯域の音量が上がります。
レゾナンスを上げることで、少しフェーザー(Phaser)のエフェクトが加わったようなサウンドになります。
ベースに位相の打ち消しが発生したときの対処法
前述の「Serum2でベースを作る方法2」で解説した通り、現時点でのベースは位相の打ち消しが発生しています。
そのため、EQで見てみると低音域は音量が大きくなったり小さくなったりと、とても不安定な動きをしています。
しかし「このフェーザーがかかったような音自体は気に入っているので、この質感はキープしたい」ということもあるでしょう。
そのため、この低音域(Sub)専用のトラックをもう1つ用意し、この位相の打ち消し問題の対策をします。
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Serum2でプロっぽいベースを作る方法
それではここからは、プロっぽいベースを作る方法をご紹介します。
先ほどの「ベースに位相の打ち消しが発生してしまっている」という問題を解決しながら、プロのようなベースを作る手順です。
1.Serum2を立ち上げ、プリセットを初期化する
2.「Basic Shapes」のウェーブテーブルを選ぶ
3.OCTを2下げる
4.前述の「Serum2でベースを作る方法4ステップ」をOSC Bで行う
5.OSC Bにハイパスフィルターをかける
6.OSC AとOSC Bそれぞれに異なるBus処理をする
OSC Bにハイパスフィルターをかける理由
「手順5」でハイパスフィルターをかける理由は、OSC Aを低音域専用にするためです。
オシレーターには個別でフィルターがかけられるようになっていますので、そちらの機能を使います。

フィルターをかけるとき、WARPのゲージを左右に動かすとフィルターのスロープも変更することができます。
「スロープ」とはフィルターの端になる部分の角度のことで、ゆるやかな丘のようになることもあれば、断崖絶壁のような角度になることもあります。

フィルターをかけた後は、OSC Bが「AFTER」のようなスペクトラムになってるとよいでしょう。


音域や役割ごとにオシレーターを使い分けるのがポイント
このようにOSC(オシレーター)を使い分けて音作りをすると、土台がしっかりとしたベースサウンドを作ることができます。

実際にスペクトラムを見ても、低音域から高音域までが安定して鳴っていることがわかります。
位相の打ち消しが起こってほしくない音域はUNISONを1にし、フェーザーがかかったような不思議な質感が欲しい音はUNISONを2以上にして作ります。
ハイパスフィルターを使わずに低音域をカットする方法
ハイパスフィルターを使わずに低音域をカットする方法には、ウェーブテーブルエディターを使います。
ウェーブテーブルエディターを開くには、各オシレーターの波形が出ているエリアの右上にある鉛筆マークをクリックします。

そして画面上部に出ている棒グラフのうち、一番左の棒グラフを下にドラッグします。

こうすると低音域が完全になくなります。
OSC AとOSC Bそれぞれに異なるBus処理をする理由
Serum2では、Bus処理が行えるようになりました。
Bus1とBus2の2種類があり、どのオシレーターの音をどのBusに通すかを変えられるようになっています。
今回はこのBus機能を使って、さらにプロっぽいベースサウンドにしていきます。
1.両方のOSCのルーティングをNONEに設定+BUS1とBUS2にそれぞれ100%送る

2.FXタブで、BUS1とBUS2でそれぞれエフェクトを追加する
BUS1の設定

ディストーションでよりパンチと太さのある音にします。
BUS2の設定

コンプレッサーで音量を整え、フィルターでクリック音(アタック音)をカットします。
3.共通の処理をMAINタブで行う
OSC AとOSC Bの両方に使いたいエフェクトは、MAINで行います。

コンプレッサーで各音域の音量を整え、フィルターで中低音域以下だけを残します。
出来上がった音を聞いてみよう
それでは最後に、Serum2で作ったプロっぽいベースサウンドを聴いてみましょう。
スペクトラムで見ても、オシレーターを分けたりBusを使わなかったバージョンは低音域が小さくなっていましたが、Serum2の機能を十分に活用したバージョンはしっかり低音域が出ています。


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Serum2なら「加工しすぎ」を簡単に解決できる
Serum2では、シンセサイザーのプリセットによくある「加工しすぎているように聞こえる問題」を簡単に解決できます。
今回ご紹介した「オシレーターの使い分け」「Busの使い分け」に加え、エフェクトもMIX(Dry/Wet)でもエフェクトのかけ方を調節できます。
そのため、「好きなプリセットがあったけど加工されすぎている感じがする」「かっこいい音だけど、自分の曲では浮いて聴こえる」と感じたときは、ぜひこれらのテクニックを使ってみてください。
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