【音楽ジャンル】ウェスタンミュージックとは?どんな音楽?【歴史編】
どんな歴史があるの?
このような疑問にお答えする内容です。
今回はPart2として、ウェスタンミュージックの歴史ついて解説します。
※この記事の「ウェスタンミュージック」は、北アメリカ発祥の伝統音楽のことを指します。「洋楽」という意味のウェスタンではありませんので、ご注意ください。
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ウェスタンミュージックのはじまり
ウェスタンは、イングランド・ウェールズ・スコットランド・アイルランドの音楽や、多くの「カウボーイソング」から影響を受けています。
カウボーイの曲の例
放牧地や牧場主の家の現実を歌に反映したことがはじまりで、初期のカウボーイバンドはハーモニカが使われていたストリングスバンドでした。
ハーモニカとウェスタンミュージック
ハーモニカは19世紀初期に中央ヨーロッパで発明され、アメリカ市民戦争(1861~1865年)の前に北アメリカに渡ってきました。
ハーモニカは小さくて携帯しやすいので、カウボーイのように日常で馬に乗っている人でも気軽に使うことができ、アメリカで人気が広まっていきました。
ウェスタンミュージックのリズム
Otto Grayという初期カウボーイのバンドリーダーは、馬の足取りをもとに、「ウェスタンミュージックには3つのリズムしかない」と定義していきます。
この3つのリズムは「walk」「trot」「lope」の3種類を指しています。
これらの3つのリズムについては、前回のPart1で解説しています↓
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ウェスタンミュージックで最初の出版作品
1908年、N. Howard “Jack” Thorpが最初のウェスタンミュージックの本「Songs of the Cowboys」を出版します。
これには歌詞しか記載されておらず、楽譜などは書かれていませんでした。
しかしこれがミシシッピ川の西側で非常に人気となります。
これらのカウボーイソングのほとんどは作曲者不明でしたが、中でも人気のあった「Little Joe, the Wrangler」は、出版者本人であるThorpが書いたものということはわかっています。
1910年になると、John Lomaxが「Cowboy SongsAnd Other Frontier Ballads」を出版します。
これは、ウェスタンミュージックがアメリカ全体に注目される、最初の出版物となりました。
画像: https://www.abebooks.com/sheet-music/Cowboy-Songs-Frontier-Ballads-collected-John/8067017543/bd
この本はThorpの本にあった曲がいくつか含まれていましたが、さまざまなバージョンに展開されていました。
また、この本には楽譜が多数掲載されていました。
Lomaxは1919年に「Songs of the Cattle Trail and Cow Camp」という名前で、第2弾を出版しています。
画像: http://www.traditionalmusic.co.uk/songs-cattle-trail-cow-camp/
文明の発展とウェスタンミュージックの認知度の上昇
ラジオとレコード機器の誕生により、ウェスタンミュージックは音楽学校やティン・パン・アレー(Tim Pan Alley、ニューヨーク市マンハッタンの一角。音楽業界の通称でもある)など、以前は無視されてきた場所からも注目を集め始めます。
最初に東アメリカでカウボーイバンドで成功したのは、Grayの「Oklahoma Cowboys」です。
ツアーを行い、何曲かレコーディングしたほど活躍したものの、ウェスタンミュージックの学者たちからは見過ごされてきました。
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ウェスタンミュージックとカウボーイ
「ウェスタンミュージックはカウボーイとともに始まった」、という印象が持たれやすいですが、実はそんなことはありません。
最初の「ウェスタンソング」は、1844年に「Blue Juniata」という名前でリリースされており、この曲はインド人メイドの話です。
この曲は100年以上も前に「Early Sons Of The Pioneers」によって歌われ、レコーディングもされており、今もなお歌われ続けています。
ウェスタンミュージックは、アメリカのカウボーイだけに限定された音楽ではないのです。
ウェスタンミュージックのメインストリームでの人気
1930年代から1940年代にかけて、ウェスタンミュージックは「カウボーイのロマンティック化」や、ハリウッド映画でアメリカ西部が理想的に描写されたことによって人気を高めていきます。
映画中でカウボーイたちが歌を歌うことによって、ウェスタンミュージックはアメリカ中で人気が広まっていったのです。
このとき、映画プロデューサーたちは4声のハーモニーと、洗練されたアレンジを合体させ、映像に音楽を当てはめていきます。
Bing Crosbyは当時最も人気だったシンガーで、非常に多くのカウボーイソングやウェスタンソングを歌い、ウェスタンミュージック映画「Rhythm on the Range(1936年)に出演しました。
この時代に最も人気のあったレコードや音楽ラジオにはウェスタンミュージックが含まれており、「ウェスタンスイング」というジャンルも、この時期に開発されました。
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ウェスタンミュージックの人気の低迷
1960年になる頃までには、ウェスタンミュージックの人気は落ちていました。
マーケティング業界で「カントリー&ウェスタン」というジャンルにまとめられると、著名なウェスタンミュージックのアーティストもあまりアルバムをリリースしなくなり、リスナーも減っていきました。
そしてロックンロールが音楽市場を占めていき、ハリウッドのレコーディングスタジオはウェスタンミュージックのアーティストを解雇していきます。
加えて、フォークミュージックよりもポップ・バラッドに基づいたナッシュビルサウンド(音楽ジャンルの一種)がアメリカやアメリカ西部のセールスを占めるようになります。
音楽レーベル関係者を除いて、人々はロックンロールやポピュラー音楽とウェスタンミュージックの区別をあまりつけられなかったのです。
しかし結果として、ここからの生粋のウェスタンミュージックアーティストによる反発は、カントリースタイルの発展に大きく影響することになります。
ウェスタンミュージックのアカデミー(協会)の誕生
1964年になると、ウェスタンミュージック普及の努力もあり、「カントリー&ウェスタンミュージック・アカデミー」が作られます。
最初に受賞したのは、Buck Owensなど、ベーカーズフィールド(Bakersfield、カリフォルニア州)を拠点としたアーティストによって独占されていました。
その後、これは「Academy of Country Music」発展し、協会におけるミッションは他のカントリーミュージックの組織と区別されなくなりました。
カウボーイポップ
Barry MazorやRichard Carlin、John T. Davisなどの作家は、西部映画におけるカウボーイシンガーの音楽を説明するときに「カウボーイポップ」という言葉を使っていました。
たとえばJimmy Wakelyは、Mazorによって「カウボーイポップシンガー」と呼ばれています。
作家の中には、「カントリーミュージックとカウボーイミュージックは同じジャンルではない」と考える人もいます。
たとえば、Anne Dingusのエッセイ「Cowboy Songs」では、「カウボーイミュージックはカントリーミュージックではない。しかし、2つは「カントリー&ウェスタン」としてひとまとめにされている」と書かれています。
ウェスタンミュージックの人気の復活
Marty RobbinsやAl Hurricaneなどの昔のウェスタンミュージックは、メジャーなプラットフォームで広く流されてきてきました。
一方の「新しいウェスタンミュージック」は、ニューメキシコ州における「ニューメキシコミュージック」の人気が広まったおかげで、アメリカ西部やカナダ西部でコンスタントに書かれ、レコーディングし、披露されてきました。
ウェスタンのシーンでMichael Martin Murpheyが成功したこともあり、ウェスタンシンガーやRoute 66 ロカビリー、カウボーイのポエム(詩)も広まりました。
のちにストリーミングサービスやゲームなどの影響もあり、世界的にも広まっていきます。
ディズニー映画とウェスタンミュージック
ボーカルグループ「Riders in the Sky」は、ウェスタンとウェスタンスイングをミックスさせた楽曲をディズニー映画「トイ・ストーリ−2」(1999年)や「モンスターズ・インク」(2001年)のために書き下ろし、グラミー賞を受賞します。
ゲーム音楽とウェスタンミュージック
ゲーム音楽においては、任天堂のThe Oregon Trailシリーズ(オレゴン・トレイル)、Sheriff/Bandido、Sunset Ridersなどのアーケードゲーム、Fallout: New Vegasなどで、ウェスタンミュージックがBGMとして使われています。
昔の20世紀中期のウェスタンミュージシャン(Marty Robbinsなど)を現代のポップとフィーチャーさせていることもあります。
ゲーム「Red Dead」は昔の西部が舞台となっていることから、特にウェスタンミュージックをフィーチャーさせています。
SteamWorldやGunman Cliveも、音楽が非常に精巧に作られていることで評判です。
以上でウェスタンミュージックの解説は終了です。
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