映画「マトリックス」でも使われている「ポリコード」とは?【映画音楽の作り方】
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- コード進行
今回は、The Art Of Storytellingが解説する「マトリックスコードとは?」をまとめました。
映画「マトリックス」の映画で頻繁に出てくる「とあるコード」について、音楽理論を用いながら詳しく解説していきます。
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「マトリックスコード」を聞いてみよう
映画「マトリックス」の冒頭で「ワーナーブラザーズ」のロゴと共にに出てくるのが、こちらのサウンドです↓
サイバーパンクな印象がありますが、これはワーナーブラザーズの緑がかったロゴのおかげだけでなく、そのサウンドのおかげもあるでしょう。
とても不思議な響きでSFらしい、なんだか全く違う2つの世界のはざまにいるような気持ちになります。
これは一体なぜなのでしょうか?
「マトリックスコード」を分解してみよう
この冒頭部分では、大きく分けて2つのコードが鳴っています。
EmコードとCメジャーコードです↓(0:56~1:04)
ピアノで言うと、左手でEmコード(E,G,B)、右手でCメジャーコード(C,E,G)を弾いているようなフレーズになっています。
両方とも非常にシンプルなコードで、この映画では2チームに分かれた金管楽器で交互に演奏されています↓(1:15~1:22)
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共通音が多い2つのコードを使っている
このEmコードとCメジャーコードを分解すると、共通している音が2つあります。
Cメジャーコード:C,E,G
共通している音:E,G
音は6つ鳴っていますが、音程にすると「C」「E」「G」「B」の4音しか使われていません↓(1:44~1:55)
しかし面白いことに、「C,E,G,B」と同時に弾くと違和感がありませんが、EメジャーコードとCメジャーコードを別々に弾くと、両者は相性の悪い、全く別のコードに聞こえます。
そしてそれゆえに、なんだかとても不安定で不思議なサウンドに聞こえます。
このように、ある程度の距離を保って同時に2つ以上のコードを使うことを「ポリコード」と言います。
ポリコードとは?
ポリコードとは、同時に2つ以上のコードを鳴らして作られたコードです。
今回は「Eメジャーコード」と「Cメジャーコード」を別々に重ねるようにして演奏するポリコードになります。
ポリコードを使うと、1つの世界から別の世界へ行くような不思議さや浮遊感、不安定感が出ます。
例えばジョン・ウィリアムズが作曲したスターウォーズの楽曲でも、このポリコードが使われています↓(2:30~2:38)
わかりやすくピアノで弾くと、「Fメジャーコード」と「Bメジャーコード」の組み合わせです↓(2:38~2:45)
FメジャーコードとBメジャーコードは、あまり相性のよさそうなコードには聞こえません。
しかし、映画音楽ではさまざまな感情や環境、ストーリーを音で表現する必要があるので、逆にこのような組み合わせが使えることがあります。
他にも、物語が進んで主人公・ネオがビルからビルへ飛び移るシーンでは、より不協和音のようなポリコードを使っています↓(5:25~5:33)
こちらのシーンでは、FメジャーコードとEメジャーコードの組み合わせが使われています。
さらに、ヒロイン・トリニティがネオへの愛を告白し、目を覚さない彼を起こそうとするシーンでは、BbメジャーコードとF#メジャーコードのポリコードが使われています↓(5:37~5:53)
そしてこちらのシーンでは、コード同士の距離を狭め、少しかぶるようにして不思議な空気を作っています↓(5:57~6:08)
最後にネオがエージェント・スミスを倒すシーンでは、今までのような不協和音はありません↓(6:11~6:23)
これは、ネオの中にある自分への疑念や違和感がなくなったからです。
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ストーリーやテーマを表現している映画音楽
映画「マトリックス」は、現実と仮想現実が交差する世界のお話です。
主人公・ネオは「この世界は何かがおかしいが、何がおかしいのは説明できない」という状況で日々の生活を送っています。
この「言葉にできない違和感」は、まさにこのポリコードも表現しているのではないでしょうか。
実際に、最後にエージェント・スミスを倒して今までの疑問や違和感がなくなったシーンでは、ポリコードが使われなくなっています。
ちなみに映画「マトリックス」の楽曲はDon Davis氏が作曲しており、作曲家としては「ジュラシックパークIII(2001)」や「東京グール(2017)」、オーケストレーターとしては「タイタニック(1997)」や「トイストーリー」シリーズも手がけています。
興味のある方は、ぜひこれらの作品もご覧ください。
映画「マトリックス」でも使われている「ポリコード」まとめ
以上が映画「マトリックス」でも使われている「ポリコード」の解説でした。
同時に2つ以上のコードを使用すること
相性がよくなさそうなコードの組み合わせだからこそ、映画のストーリーやキャラクターの心情を表現できることもある
当サイトでは他にも映画音楽に使えるテクニックをまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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