【ラテン音楽】メント(Mento)とは?

【ラテン音楽】メント(Mento)とは?
メント(Mento)ってどういう音楽?
どういう特徴や歴史があるの?

今回はこのような疑問にお答えする内容です。

英語版wikipediaの「メント」をまとめました。

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メント(Mento)とは?

メントはジャマイカのフォークミュージックの音楽の一つで、スカやレゲエなどの祖先であり、大きく影響を与えた音楽です。

アフリカのリズム要素とヨーロッパ音楽を融合させているのが特徴で、1940年代から1950年代に人気のピークを迎えました。

JAMAICAN MENTO – Island Champions (1958)
Medley Of Jamaican Mento-Calypsos #2 [10 inch] – Lord Fly with Dan Williams & his Orchestra

「メント」という名前の由来

メントという言葉の由来にははっきりとした説はありませんが、アフリカの言葉もしくはキューバン・スパニッシュから来ているという説があります。

ジャマイカの学者であるRex Nettlefordは、この言葉はキューバでの仕事から戻ってきたジャマイカ人によって生まれた言葉だとしています。

この説では、スペイン語の「mentar」と言う言葉が「述べる、呼び出す、示す、任命する」といった意味があり、メントの歌詞において誰かを非難することがあったことから、このような名前がついたとされています。

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メントの楽器編成

楽器は主に、アコースティックギター、バンジョー、ハンドドラム、ルンバボックス(Rhumba box)を使います。

ルンバボックスは大きいサイズのムビラ(Mbira)で箱の形をしており、座って演奏することもできる、ベースパートも担当できる楽器です。

ルンバボックス(Rhumba box)

Rumba Box – Marimbula – Soundtest

ムビラ(Mbira、カリンバ)

ムビラはジンバブエのショナ人の間で使われてきた伝統楽器で、木の板に金属の細い「歯」をつけて、それらを手で弾いて演奏する楽器です。

「カリンバ」とも呼ばれます。

Mbira music master piece Live

メントとカリプソの違いは?

メントとカリプソの違いは非常にわずかですが、以下のような違いがあります。

・メントの方が田舎っぽい感じで、伝統的な楽器を使う傾向にある
・メントの方がアコースティック系の楽器を用いることが多く、ルンバボックスやバンジョー、フィドルなどが使われる
・カリプソの方がシンコペーションのリズムを用いることが多い

ジャマイカ生まれのメントは、同じカリブ海域のトリニダード・トバゴの音楽「カリプソ」と混同されやすいです。

20世紀中盤になるとメントが「カリプソ」と呼ばれたりすることもあり、それぐらい似ているところがたくさんあります。

実際に、メントのシンガーたちがカリプソの楽曲を歌ったり、そこで使われているテクニックを用いることがよくあります。

カリプソでも、メントのシンガーたちも使うようなユーモアな視点や社会問題、遠回しな静的表現などを交えた歌詞を用いることがあります。
(ちなみに、YouTubeで「メント」と検索してカリプソが出てきたり、それぞれ単体ではなく「メント&カリプソ」と2つを混ぜたプレイリストしか出てこないことがあるなど、セットで紹介されるケースが多いです)

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メントで表現していること

メントでは、ユーモアや陽気さを交えて日々の生活を歌詞にしているのが特徴です。

多くは貧困や困窮、社会問題などについて取り上げられており、うっすらと性的なことを表現することもあります。

メントは現代ダンスホール(dancehall,カリビアンミュージックの一種)において、社会問題などを取り上げてきたモティーフやテーマを扱う音楽の先駆けとも言われています。

1940年代終わり頃になるとメントはさらに人気になり、メントのパフォーマーたちはダンス、パーティ、その他ジャマイカにおけるイベントでの「共通項」とされるようになります。

メントの歴史

メントは奴隷制でやってきた西アフリカの人々によってもたらされた伝統音楽です。

奴隷にされていたミュージシャンたちは、彼らの主人のために演奏を要求されることが多く、音楽スキルによっては褒美を与えられることもよくありました。

このようなアフリカの人々は、「カドリール(Quadrille)」を含め、自身の出身地の伝統音楽にこういった要素を融合させる「クレオール音楽」を作っていきます。
クレオール(Creole):クレオール人、西インド諸島やモーリシャス島、南米などに移住した白人の子孫などを指す言葉
カドリール:18世紀終わりから19世紀にかけてヨーロッパで流行したダンス

Quadrille

ジャマイカのメントには、同じくカリブ海の国の一つであるトリニダード・トバゴの音楽「カリプソ」とともに長い歴史があります。

1950年代の有名なメントのアーティスト

1950年代になると、Louise BennettやCount Lasherなどがメントアーティストとして活躍します。

Louise Bennett – Day Dah Light
Talking Parrot

Harry Belafonteはジャマイカ出身のニューヨーカーで、1956年から1958年にはヒット曲を出します。

「Day-O (The Banana Boat Song)」や「Jamaica Farewell」などのメントの楽曲は「カリプソ」としてリリースしています。

Harry Belafonte – Banana Boat Song (Day-O)
Harry Belafonte – Jamaica Farewell

Belafonteの活躍により、1950年代にメントはカリプソと合体していきます。

1960年代以降のメント

このメントの黄金時代には、Stanley MottaやIvan Chin、Ken Khuoriなど音楽レーベルやアーティストが新しいリスナーを獲得していきます。

Mabel [10 inch] – Lord Fly and His Orchestra
Archie IVAN CHIN & HIS CALYPSO BAND

しかし1960年代になると、スカやレゲエに人気を奪われていってしまいます。

それでもなお、メントは今でもジャマイカで演奏され続けており、特に観光地で人気があります。

また、1980年代終わりから1990年代前半にはリバイバルが起き、Jolly Boysなどによって人気が再熱します。

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補足:メントのリズム

メントのリズムに関しては、こちらが参考になります。

Playing Mento a Jamaican traditional Rhythm
clapping the rhythms of mento

以上でメントに関する解説は終了です。

次は「リトルマーメイド」でおなじみの「カリプソ」について解説します↓

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