インド音楽の特徴と曲の作り方【ティハイ編】
インドの音楽みたいな曲って、どうやったら作れる?
今回はこのような疑問にお答えする内容です。
今回は、インド音楽における「ティハイ」について解説していきます。
Part2: インド音楽のスケールの基本「ラーガ(Raga)」
Part3: インド音楽のリズムの基本「ターラ(Tala)」
Part4: インド音楽のポリリズムテクニック「ティハイ(Tihai)」
Part5: インド音楽で多用される「装飾音」
Part6: インド音楽で使われる楽器、奏法、楽曲構成、特徴的な奏法「ドローン(Drone)」
このシリーズを読めば「インドっぽい!」と思わせられる音楽を作る方法が学べますので、ぜひ最後までご覧ください!
※インドは地域によって言葉のスペルが異なることがあります。
たとえば「ラーガ」は「Raag」「Raga」「Raaga」など、複数の書き方があります。
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ティハイ(Tihai)とは?
ティハイとは、インド音楽の楽曲の終わり部分に使われる、楽曲が盛り上がる時に使われる奏法です。
ティハイでは「フレーズの繰り返し」を使っており、あるフレーズを3回繰り返した後、ダウンビート部分で終わるという特徴があります。
例えば「ホップ・ステップ・ジャンプ!」という三段跳びの有名なフレーズがありますが、ティハイ的に表現すると「ステップ・ステップ・ステップ・ジャンプ!」といったところでしょうか。
ちょうど「ジャンプ!」の部分がダウンビートに入り、「ステップ」の部分では、ビートを無視して即興します。
ティハイの面白さは、上記の「ステップ」の部分では巧みに即興してテンションを上げつつ、「ジャンプ!」の部分でダウンビートに戻り、「ステップ」の部分で貯めてきた熱量や緊張感を一気に解放する点です。
ティハイの例①
実際に、シンプルなティハイの例を見てみましょう。
今回は、シンプルに4ビートのサイクルでメトロノームを鳴らしていきます。
この場合は、このメトロノームの高い音が鳴っている部分がダウンビートになります↓(3:27~3:43)
それではここで、ベースの部分を作ってみましょう。
まずは「Would you like a cup of tea?(お茶はいかが?)」という歌詞フレーズを乗せていきます。
日本語で言うと「ウジュー・ライカ・カポーブ・ティー」という風に、メトロノームのリズムに合わせることができます↓(3:53~4:03)
次は、この土台部分を使って「ティハイ」のフレーズを作っていきます。
先ほどのフレーズを少しいじって「have a cup of tea」というフレーズにし、これを3回繰り返し→最後はダウンビートで終わるようにしてみましょう。
つまり、3回目のときは「tea」の部分がダウンビートに置かれるようにします↓(4:15~5:05)
ティハイの例②
それでは、別のティハイの例も見てみましょう。
先ほどの「have a cup of tea」というフレーズのうち、「have」を抜いて演奏してみます↓(5:20~5:35)
では、次はこのフレーズをタブラで叩いてみましょう。
最初は「have」を入れた時のフレーズ、その次は「have」を抜いた時のフレーズです↓(5:35~6:00)
なぜこんなに複雑なことができるのか?
今回ご紹介したのは、とてもシンプルでかんたんなティハイの例です。
プロはもっと複雑なフレーズを演奏しますが、「3回繰り返し」「最後はダウンビートで終わる」というルールは共通です。
ティハイを行うソリスト「ティハイスト」が複雑なフレーズを演奏しながらしっかりダウンビートに着地できるのは、他のパートがシンプルなフレーズを刻んでいるからです。
ティハイの例③
次は、より複雑な例を見てみましょう↓(7:22~7:56)
2人の奏者がお互いにソロを行うと…
2人のソリストが演奏する場合は、お互いに全く違うソロを演奏しますが、最後のダウンビートのところで同時に着地します。
これも、ティハイのおもしろさの一つです。
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ドラムのフィル=ティハイ!?
もしあなたがドラマーや打楽器奏者なら、これまでの演奏ですでにたくさんの「ティハイ」を演奏してきたことでしょう。
例えばドラムの「フィル」などは、ティハイに当てはまります。
こんなフレーズを叩いたことがある人もいるのではないでしょうか?
ドラムのフィルとしては、よく使われるフレーズです↓(8:35~8:50)
口伝で代々伝わるティハイ
ティハイは基本的に口伝で代々伝わるもので、西洋音楽などのように楽譜などが必ずあるわけではありません。
口伝で伝えられ、頭で覚え、そしてティハイのルールを守るために数学的にフレーズを計算しながら、パフォーマーは演奏の準備をしていきます。
このようなところもまた、インド音楽の素晴らしさの一つです。
以上で「インド音楽におけるティハイ」の解説は終了です。
次はインド音楽で多用される「装飾音」について詳しく解説します↓
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