【音楽ジャンル】ファンク(Funk)とは?どんな音楽?【James Brown編】
ファンクにはどんな歴史があるの?
このような疑問にお答えする内容です。
今回はPart8として、ファンクにおける重要人物「James Brown」の活躍について解説していきます。
Part6: ファンクにおけるボーカル・歌詞・ホーンセクションの特徴
Part8: ファンクの歴史(1960年代、James Brownの活躍)
Part9: ファンクの歴史(1960年代後半〜1970年代前半)
Part10: ファンクの歴史(1970年代、ジャズファンク)
ファンクは音楽的にも歴史的にもとてもおもしろいため、このシリーズは長編になっていますが、読み進めれば必ずどこかで面白さがわかってきます!
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初めてファンクのリズムを取り入れたロックバンド
James Brownは、ニューオリンズ発祥のLittle Richardの1950年代のR&B路線のバンドに対し、「初めてファンクのリズムを取り入れたロックバンド」という評価をしています。
しかし彼はのちに1957年にエヴァンジェリスト(巡回説教者、福音を説く人)になるために一般音楽から撤退し、Little Richardのバンドメンバーの中にはBrownとthe Famosu Flamesに加わる人もおり、1958年にはヒット曲をリリースします。
James Brownならではのグルーヴ
1960年代中盤までには、James Brownはダウンビートを強調したグルーヴを開発します。
これは、アフリカ系アメリカ音楽のようにバックビートを強調するのではなく、各小節の最初のビートを強調するもので、彼のサウンドを特徴付けるものでした。
Brownはよく「On the one!」の号令でバンドに合図を送り、パーカッションの強調する箇所を変えていました。
これは、ソウルの伝統的なバックビートの乗せ方である「2拍目・4拍目のバックビート」から、1拍目だけのバックビートに変える手法です。
しかしこれには、積極的・反復的なスイングの雰囲気を出している、イーブンノートシンコペーションを使ったギターのリズムが使われています。
イーブンノートシンコペーション:4/4拍子の楽曲なら、偶数拍の2・4拍目にアクセントを入れたシンコペーション
この1-3ビートはBrownの楽曲の大きな特徴で、1964年のヒット曲「Out of Sight」や、1965年のヒット曲「Papa’s Got a Brand New Bag」や「I Got You (I Feel Good)」のころから使われ始めました。
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James Brownの音楽スタイルの特徴
Brownのファンクスタイルは、内部で絡み合う、対位法的な要素が特徴的です。
たとえばシンコペーションをしているベースラインやギターリフ、16ビートのドラムなどです。
「Ain’t it Funky」で見られるメインギターのオスティナートは、ニューオリンズファンクを改良し洗練した良い例でしょう。
ダンサブルなリフ、リズムの本質だけを扱っていることがわかります。
オスティナート:同じフレーズを繰り返す手法
このような彼のイノベーションは、やがて彼と彼自身のバンドを、ファンクにおいて将来性の高いものへと導いていきます。
彼らは「Cold Sweat」「Mother Popcorn」「Get Up (I Feel Like Being A) Sex Machine)」などの楽曲で、ファンクの音楽スタイルをさらに前面へと押し出していきます。
ちなみにこの頃は、すでに彼の初期の音楽で使っていた「12小節ブルース」の構成は使っていませんでした。
代わりに、Brownの音楽では多様な伴奏をベースに「キャッチーで、アンセム(聖歌)を思わせるようなボーカル」を使っていきます。
このボーカルは「西アフリカ音楽のポリリズムと同じような、リズムセクションのパターンを用いた、頻繁に使われるぶつぶつ言うようなパーカッシブな楽器」として使われています。
この「西アフリカ音楽のポリリズム」というのは、アフリカ系アメリカ人のワークソング(Work Song)やチャント(Chants)などを指しています。
以上で今回の解説は終了です。
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