【音楽ジャンル】ファンク(Funk)とは?どんな音楽?【リズム・コード編】
ファンクにはどんな歴史があるの?
このような疑問にお答えする内容です。
今回はPart2として、ファンクのリズム・テンポの特徴、よく使われるコード進行やスケールについて解説していきます。
Part6: ファンクにおけるボーカル・歌詞・ホーンセクションの特徴
Part8: ファンクの歴史(1960年代、James Brownの活躍)
Part9: ファンクの歴史(1960年代後半〜1970年代前半)
Part10: ファンクの歴史(1970年代、ジャズファンク)
ファンクは音楽的にも歴史的にもとてもおもしろいため、このシリーズは長編になっていますが、読み進めれば必ずどこかで面白さがわかってきます!
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ファンクにおけるリズムとテンポの特徴
ソウルのように、ファンクはダンスミュージックをベースとしています。
そのため、リズム隊は重要な役割を担っています。
ファンクのサウンドは、実際に演奏される音と同じぐらい「音と音の間の空間」を重視している音楽です。
特に、音と音の間にある休符は非常に重要です。
ディスコとファンクは似ている?違いは何?
ファンクとディスコはリズム的に似ているものの、ファンクは「ディスコよりゆっくりと、セクシーに、シンコペーションをより多く用いている」という点が特徴です。
またファンクのリズム隊のプレイヤーは、メインビートに合わせて「複雑さ」「パーソナリティ」「新たな空気感」を加えることが多く、こちらは事前にプログラムされているディスコとは違うポイントになります。
スローなテンポだからできたこと
ファンクが現れる前は、当時は速いテンポでビートをさらに細かく分割できなかったため、ポップ・ミュージックは8分音符をベースに作られていました。
しかしファンクはゆっくりなテンポを用いて発展していったため、「よりリズミカルな音符を取り入れるスペース」があり、4/4拍子でも16分音符を入れる余裕があったのです。
具体的には、ギターやドラムで16分を使うことで動きを加え、これによって他の楽器に「よりシンコーペーションを使った、バラついた演奏」をさせるスキを作っています。
そして実際に、このおかげでより開放感のあるベースラインが演奏されるようになり、こういったリズムの絡み合いが、陶酔感・ダンサブルなサウンドへとつながっています。
ファンクの2小節構成
画像:wikipediaより
ファンクのリズムにおいて重要なのが、2小節でひとまとまりのオンビート・オフビート構成です。
これは、サブサハラアフリカン音楽が起源の構成です。
サブサハラアフリカン音楽の例
この「2小節でひとまとまりのオンビート・オフビート構成」は、1940年代後半にニューオリンズでアフロキューバンのマンボとコンガの構成を使い始めたのが始まりです。
ニューオリンズファンクは、James Brownの楽曲におけるリズムセクションが音楽的にとてもよくできていたことから、国際的に高い評価を得ています。
ファンクにおけるハーモニー
ファンクでは、より豪華な響きのある、ビバップジャズなどでよく見られるテンションコードがよく使われています。
たとえば、マイナーコードに7thや9thを加えたり、ドミナントセブンスコードに変化を加えた9thを入れたりすることが多いです。
ファンクで使われるコードの例
例:Fm11
例:C7(#9) sus4
例:F9
Cm6
メジャーコードに6thと9thを加えた「6/9コード」は、ファンクでよく使われます(例:F6/9)。
またファンクでは、マイナーセブンスコードはマイナートライアドよりもよく使われます。
これは、マイナートライアドは「薄すぎる」サウンドに聞こえるからです。
ファンクで傑出しているアーティストの中には、ジャズのバックグラウンドを持った人もいます。
ちなみに、トロンボーン奏者のFred Wesley、サックス奏者のPee Wee EllisやMaceo Parkerなど、ファンクで有名なアーティストたちはいずれもJames BrownやGeorge Clinton、Princeなどと共演しています。
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ファンクにおけるコードチェンジ
矢継ぎ早にコードが変わりもっと複雑であるビバップジャズとは違い、ファンクでは事実上コード進行の変化がありません。
ファンクはある1つのコードを即興的にプレイし、メロド・ハーモニックの動きや複雑さ、リズム感を増強しています。
メロド・ハーモニック:サブサハランアフリカの伝統音楽に使われるハーモニー。
(多くはAm→D7など、マイナーセブンスコードとレラティブ・ドミナントセブンスコードを交互に演奏)
リズムセクションを装飾する
主に1コードだけで即興し続ける楽曲もありますが、リズムセクションのミュージシャンたちは、半音または全音上下に移動したり、半音階の通過音(パッシングトーン)をつけるなどして「飾り付け」しています。
たとえば、Wild Cherryによる「Play that funky music」では、E9コードをメインに扱いながらも、F#9やF9も使っています。
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ファンクでよく使われるモード
ファンクでは、ドリアンモードやミクソリディアンモードがよく使われます。
これらは、よくあるポピュラーミュージックなどによく使われる、メジャーやナチュラルマイナー感のないモードです。
メロディーでは、ブルーススケールにこれらのモードを取り入れる形で使われます。
1 b3 4 #4 (or b5) 5 b7 8
1 2 b3 4 5 6 b7 8
1 2 3 4 5 6 b7 8
(上記3つのスケールを合体させたスケールで、ジャズの即興でよく使われます)
1 2 b3 3 4 #4/b5 5 6 b7 8
ファンクでの即興
ここで、少しファンクにおける即興についても解説しておきます。
ファンクはアフリカ系音楽の即興の伝統を引き継いでいるため、「ジャム」や「グルーヴ」を感じさせるような即興をすることが多いです。
これはライブだけでなくスタジオレコーディングでも同じで、大枠だけを決めて、それをベースに即興を進めていきます。
また、ファンクでは「コレクティブ・インプロヴィゼーション(集団的即興)」を使っています。
これはリハーサルでミュージシャンが「音楽的に会話をする」ことによって、本番のパフォーマンスにつなげていくことを指します。
以上で今回の解説は終了です。
↓つづき「ファンクにおけるベースの特徴」
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