【音楽ジャンル】ファンク(Funk)とは?どんな音楽?【1980年代・シンセファンク・電子楽器編】
ファンクにはどんな歴史があるの?
このような疑問にお答えする内容です。
今回はPart11として、1980年代のファンクとシンセファンク、この頃使われていた電子楽器について解説していきます。
Part6: ファンクにおけるボーカル・歌詞・ホーンセクションの特徴
Part8: ファンクの歴史(1960年代、James Brownの活躍)
Part9: ファンクの歴史(1960年代後半〜1970年代前半)
Part10: ファンクの歴史(1970年代、ジャズファンク)
ファンクは音楽的にも歴史的にもとてもおもしろいため、このシリーズは長編になっていますが、読み進めれば必ずどこかで面白さがわかってきます!
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生楽器から電子楽器に置き換えられていく
1980年代になると、前回のPart11でご紹介した「P-Funk」の基礎を築いてきた構成・要素が、だんだんと電子楽器やドラムマシン、シンセサイザーなどに置き換えられていきます。
サックスやトランペットなどのホーンセクションはシンセキーボードに置き換わりはじめ、フレーズはシンプルなラインのまま、ソリストにソロが少し与えられるぐらいになってしまいました。
ファンクにおけるデジタルシンセ
初期のファンクで使われていた電子キーボード(Hammond B3やHohner Clavinet、Fender Rhodesなど)は、以下のような新しいデシタルシンセサイザーに置き換わっていきます。
Prophet-5
Oberheim OB-X
Yamaha DX7
ファンクで使われている鍵盤楽器については、Part5で詳しく解説しています↓
Part5: ファンクにおけるギターと鍵盤楽器の特徴
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ファンクにおけるドラムマシンとベース
Roland TR-808やLinn LM-1、Oberheim DMXなどの電子ドラムマシンは、過去の「ファンキードラマーたち」に取って代わります。
TR-808
Linn LM-1
Oberheim DMX
また、スラップベースやポップスタイルのベースもシンセキーボード・シンセベースに置き換えられていきます。
歌詞の変化
Part6でも解説した歌詞も、この時代にはダブル・エンテンダーから、よりはっきりと性的表現をするような内容に変わっていきました。
ダブル・エンテンダー(ダブル・ミーニング):一般的な言葉の意味と、やや下品・性的な意味の両方を持つ言葉を使う手法
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伝説の日本のバンド「YMO(イエローマジックオーケストラ)」
「ライディーン」で有名な日本のエレクトロニックミュージックバンド「イエローマジックオーケストラ(YMO)」は、世界でも注目を集めます。
あの有名なEric ClaptonとMichael Jacksonは、のYMOの「Behind the Mask」をカバーしています。
1980年になると、YMOはプログラム可能なドラムマシン「TR-808」を最初に使ったバンドとして有名になり、同じく人気のKraftwerkとYMOのサウンドは、Afrika Bambaataaや Mantronixなど、のちのエレクトロファンクアーティストに大きく影響を与えていきます。
Rick James
Rick Jamesは、1980年代のファンクミュージシャンとして初めて、1970年代に大流行したP-Funk(Part9で解説しています)を受け継いだヒットメーカーです。
1981年のアルバム「Street Songs」とシングル「Give It to Me Baby」「Super Freak」は、Jamesが大スターとなるきっかけの作品となります。
(Super Freakは、日本でも非常に認知度が高い楽曲です)
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Prince
1970年代後半になるとPrinceが現れ、James Brownのようなダイナミックな楽器編成が話題を呼びます。
PrinceはBrownの時代に活躍したアーティストと同じぐらい、ファンクのサウンドに大きな影響を与えていきます。
彼は、エロティシズム・テクノロジー・より複雑な音楽性・風変わりなイメージとステージパフォーマンスを持ち合わせたアーティスト。
P-Funkと同じような、野心的で創造性豊かな音楽を繰り広げました。
また、Princeは音楽グループ「the Time」を結成します。
元々はオープニングアクトのために結成したバンドで、彼の「ミネアポリスサウンド(ミネアポリスは彼の出身地)」をベースとした、ファンク・R&B・ロック・ポップ・ニューウェーブ(New Wave)をミックスしたサウンドが特徴的です。
のちに、このバンドはタイトなミュージシャンシップと性的なテーマをベースとした独自のスタイルに発展していきます。
この時代に活躍したアーティストたち
Princeの他にも、このP-Funkの時代に注目を集め、セクシュアリティを大胆に表現したり、ダンス系のテーマ、シンセや他の電子テクノロジーを使ってヒットを出していたアーティストはたくさんいます。
彼らはいずれも、1980年代はじめに非常に大きなヒット作を生み出しました。
1980年代後半からはピュアファンク(Pure Funk)も商業的な成功を収めていましたが、Michael JacksonやDuran Duranなどのポップアーティストも、ファンクのビートを用いるようになりました。
エレクトロファンク
YMOとKraftwerkに影響され、アメリカのミュージシャンAfrika Bambaataaは「エレクトロファンク」を発展させていきます。
これはマシーンを主導としたミニマルなスタイルで、1982年に彼のシングル「Planet Rock」や、1983年の「Renegades of Funk」で見ることができます。
エレクトロファンクは、シンセサイザーやTR-808などのドラムマシンによってどんどん勢いを増していきました。
以上で今回の解説は終了です。
↓ファンク解説最終回「ファンクの歴史(1980年代後半〜2000年代)」
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