【音楽ジャンル】フォークミュージック(Folk Music)とは?
そもそも「フォーク」ってどういう意味?
このような疑問にお答えする内容です。
「フォークミュージックという言葉の意味・由来・定義」「フォークミュージックの使われ方」について解説します。
もし今後「フォークミュージックを作ってみたい」「参考資料が欲しいな」と思ったときは、ぜひこちらのページをご覧ください。
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「フォークミュージック」の定義
フォークミュージックとは、伝統的・現代的なもの両方を含め、民謡・民俗音楽・ワールドミュージックのことです。
20世紀の間に進化した「伝統的なフォークミュージック(Traditional Folk Music)を含んだ言い方で、「ワールドミュージック」とも言われています。
「フォークミュージック」という言葉自体は19世紀に生まれたものですが、音楽自体はそれより前から誕生しています。
かなり定義が広いので、一部では「これはフォークミュージックとは言えない」などという人もいますが、実際にどれがフォークミュージックにあたるのか、明確に線引きするのは難しいのが事実です。
おそらく多くの方が「フォークミュージック=アコギを使った静かなの音楽」というイメージをお持ちかと思いますが、そのほとんどは後述の「コンテンポラリー・フォークミュージック」にあたります。
言葉の由来
「Folk」は「民謡」「民族」「田舎の人」などの意味があり、ドイツ語で「大衆・国民的な」を表す「volk」が由来です。
※ちなみに有名なドイツの車メーカー「フォルクスワーゲン(Volkswagen)の名前の由来は、「Volks=大衆・民衆」+「wagen=車」=「大衆のための車」です。
今は高級車として有名ですが、昔は大衆向けの車メーカーでした。
伝統的なフォークミュージック(Traditional folk music)
「伝統的なフォークミュージック(Traditional folk music)に関していうと、以下が特徴的です。
2.作曲家が不明の音楽である
3.長い間、習慣・しきたりとして代々演奏されてきた
4.その国の文化が反映されている
5.国のイベントや祝日と関連がある
口伝で代々受け継がれてきた音楽
20世紀より前は、人々は読み書きができず、録音技術もまだなかったため、口伝で音楽を伝え、覚える必要がありました。
その国の文化が反映されている
フォークミュージックは、民俗音楽・民謡という名の通り、その国の文化が反映された音楽です。
移民に関していうと、フォークミュージックは社会的なつながり・結束をもたらす大きなカギでした。
特に、ギリシャ系オーストラリア人、ソマリア系アメリカ人、パンジャブ系カナダ人など、メインストリームとの違いを強調したかった移民たちが祖国での音楽や踊りを移民先の国で演奏することで、移民先の人も彼らの音楽を学んでいきました。
イベントや祝日と関連がある
クリスマスやイースター、メーデーなど、1年に1回しかないイベントを祝う時に使われる音楽も、フォークミュージックとされることが多いです。
誕生日や結婚式、葬式などの個人的なイベントにおいても当てはまります。
宗教的なイベントにおいてもフォークミュージックがよく使われます。
こういったイベントで披露されるコーラルミュージック(Choral music)は、子供たちやプロではない人たちを広場に集め、音楽的な美しさ(上手い・下手など)は関係なく、精神的なつながりを感じさせるのが特徴的です。
フォークミュージックの「落とし穴」
一方で、フォークミュージックには以下のような「落とし穴」もあります。
著作権の問題
先ほど紹介したようなフォークミュージックには、著作権がありません。
たくさんのフォークソングが19世紀に書かれ、中には作曲者がわかっているものもありますが、現在レコーディングされているほとんどの楽曲はアレンジャーにクレジットされています。
文化の交わりと変化
時をかけて文化が互いに影響し合い、変わっていくにつれ、伝統的な音楽も何度も変化していき、異なる文化から影響の影響を受けたり、それが反映されることがあります。
音楽的にいうと、こういった変化や影響は、楽器編成、チューニング、ボイシング、フレージング、内容・主題、制作の仕方などに見られます。
「チューン(tune)」とは?
フォークミュージックにおいて、チューン(tune)とは「短いインスト(inst)のピース」「メロディー」「リピートする部分」などを指し、基本的には曲中で何度も演奏されます。
構造的に似たチューンのことは「チューンファミリー(tune-family)」と言われています。
“America’s Musical Landscape”によると、「フォークミュージックにおいて多く共通しているチューンは”AABB形式”で、”バイナリ形式”とも言われている」とされています。
伝統によっては曲がメドレーまたは「セット」としてまとめられていることがあります。
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仕事・娯楽としてのフォークミュージック
かつては、音楽は人々にとっては仕事中に行うものであり、娯楽でもあり、宗教の活動においても使われ、また作られていました。
仕事における音楽
たとえば「仕事中の音楽」に関していうと、当時の仕事は手作業・肉体労働で行うものが多かったため、人々は歌を歌いながら仕事をし、実際にそれで仕事の効率を上げていることもありました。
特に繰り返しの多い単純作業の場合に歌が歌われた・作られたことが多かったと言われています。
歌を歌うことで退屈さや苦しさを紛らわし、音楽にはリズムやテンポがあるので、同じペースで作業し続けるのにうってつけだったと言えます。
「もののけ姫」にも…!
日本だと、映画「もののけ姫」でたたらを踏む女性たちのシーンがイメージしやすいかもしれません。
映画中でもアシタカが「大変な仕事だ」と言っている通り、非常に厳しい仕事であったため、辛さを紛らわすために「たたら歌」を歌いながら仕事をしていたといいます。
画像:映画「もののけ姫」における踏みふいご(https://hatebu.me/entry/2017/05/27/142111)
海外だと、たとえばスコットランドのフォークソングとして「Waulking song」というものがあります。
毛織物を作る仕上げとして摩擦や圧力をかけ続けるのですが、この作業の間にも歌が歌われていました。
娯楽としての音楽
娯楽としての音楽で言うと、歌ったり楽器を演奏することは、歴史を振り返ってみても非常に広く行われていたと言えます。
もしかすると、今よりももっと一般的だったかもしれません…
「本物の」フォークミュージックとは?
英語における「フォルクローレ」は「フォークミュージック」の名前の由来にもなっており、これは「伝統的なフォークミュージックとダンス」を表す言葉です。
しかしこういった伝統的なフォークミュージック、つまり「本物の」フォークミュージックとポピュラー音楽の区別は、特にアメリカとドイツにおいては厳密ではありません。
たとえばシンガーソングライターStephen Fosterの曲は、アメリカではフォークミュージックとされています。
しかし国際フォークミュージック協会の定義では「フォークミュージックとは、個人の作曲家によって作られ、口伝で広まり、コミュニティにおける生活の伝統となったもの。ただし、独創的でない+変化なく残ってきた曲やダンスには、この定義は適用されない」とされています。
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コンテンポラリー・フォークミュージック
第二次世界大戦後のアメリカ・イギリスにおける「フォークリバイバル(フォークの復活)」では、新しく「コンテンポラリー・フォークミュージック」が誕生しました。
これには「著名人によって新しく作られ、形式が固定されており、伝統的な音楽を真似て作られたもの」という定義があります。
※コンテンポラリー(contemporary)は「現代の」という意味
1959年にグラミー賞で「フォーク」というカテゴリができてからは、コンテンポラリー・フォークの名前が普及し、「伝統的なフォークミュージック」と「コンテンポラリー・フォークミュージック」は区別して使われるようになりました。
21世紀における「フォーク」は、1960年代に活躍したDonovanやBob Dylanの音楽も含まれます。
今における「フォーク」は、もはや「伝統的なフォークミュージック」だけを指す言葉ではなくなりました。
以上で解説は終了です。
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