【音楽ジャンル】ディキシーランドとは?(ホットジャズ、トラディショナルジャズ)
今回はこのような疑問にお答えする内容です。
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ディキシーランドとは?
ディキシーランドは、ジャズをベースとして20世紀の初めにアメリカ・ニューオリンズで発展した音楽ジャンルのことです。
ホットジャズ(Hot Jazz)やトラディショナルジャズ(Traditional Jazz)と言われることもあります。
最初に「ディキシーランド」という言葉が使われたのは、アメリカのとあるバンドの名前「Original Dixieland Jass Band」とされています。
彼らが1917年に発表した楽曲により、この「新しい音楽スタイル」は普及し始めました。
ちなみに「ディキシー(Dixie)」は、南北戦争前のアメリカ南部の州を指す言葉です。
ディキシーランドで使われる楽器
ディキシーランドでは、主に以下の楽器を使用して演奏されます。
・トランペット
・トロンボーン
・クラリネット
・チューバ
・バンジョー
・ピアノ
・キーボード
・ダブルベース(ウッドベース、コントラバス)
・ドラム
・ギター
・ボーカル
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ディキシーランドにおける楽器編成
ディキシーランドにおける楽器編成や編成規模はとても柔軟性が高いですが、「通常のバンド」においては、以下の編成が一般的です。
トランペット(orコルネット)、トロンボーン、クラリネット
ギター(orバンジョー)、ストリングベース、チューバピアノ、ドラム
有名なLouis Armstrongの「All-Stars」は、1940年代におけるディキシーランドにおいて最も人気を集めたバンドです。
ディキシーランドのサウンドの特徴としては、「ある一つの楽器(多くはトランペット)がメロディー、わかりやすいパラフレーズ(言い換え)か、もしくはそのバリエーションを演奏する」があります。
これが、ビッグバンドのサウンドやストレートでわかりやすいメロディーが特徴のビーバップなどのアンサンブルよりも、より「ポリフォニック」なサウンドを生み出しているのです。
また、上記の楽器を使って、2ビートで「集団即興」をするのも大きな特徴の一つです。
ディキシーランドで使われる「2ビート」とは?
2ビートは、1・3拍目を強調した音楽のことです。
マーチやラグタイム、カントリー、ブルースなどでもよく使われます。
2ビートの曲の例(ディキシーランド)
2ビートの曲の例(ジャズ)
2ビートの曲の例(ラグタイム)
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ディキシーランドの歴史
ここからは、ディキシーランドについて解説します。
1917年:ディキシーランドのはじまり
ディキシーランドの始まりは、1917年にさかのぼります。
アメリカのバンド「The Original Dixieland Jass Band」が1917年に最初の作品を発表すると、「ディキシーランド」と呼ばれる新しいジャズの形が誕生します。
しかし、この頃はまだこのバンドを指している言葉であり、「音楽ジャンル」としては捉えられていませんでした。
The Original Dixieland Jass Bandのサウンドの特徴
彼らは、アフリカ系アメリカ音楽とニューオリンズ・ラグタイム、そしてシチリア音楽(シチリアはイタリア半島南西端)を組み合わせたサウンドが特徴的でした。
1910年代のニューオリンズにおいて、シチリア音楽は教会音楽やブラスバンド、ブルースと並んで人気だった音楽ジャンルの一つでした。
シチリア音楽
「ディキシーランド」という言葉の意味の変化
そのずっと後、1940年代から1950年代にかけて、トラディショナルジャズのリバイバル(再度注目を集めるブーム)を起こした人たちによって、「ディキシーランド」という言葉は初期のジャズに対して使われ始めました。
この名前は「オールドサウス(Old South)」を意味しており、特にMason-Dixonライン南部に対して使われました。
Mason-Dixonラインはアメリカの南北戦争前に奴隷制存続派(南)と廃止派(北)を分けるために作られた境界です。
画像:wikipedia「Mason-Dixon line」より(https://en.wikipedia.org/wiki/Mason%E2%80%93Dixon_line)
この「ディキシーランド」は、包括的でポリフォニックな即興演奏を行なう初期のブラスバンドマーチやフレンチ・クアドリル(French Quadrills)、ビギン、ラグタイム、ブルースを含んでいます。
フレンチ・クアドリル
ビギン
ビバップ
当時の人々の演奏スタイル
1930年代から1940年代の間は、初期のグループ即興演奏のスタイルは若い黒人のプレイヤー達には支持されなくなる一方、一部の年配のプレイヤーたちには人種問わず支持されていました。
若いミュージシャン達は新しいスタイルを開発していたものの、多くのビーバッププレイヤーたちはLouis Armstrongを崇拝しており、自身の即興に彼の音楽の要素を取り入れたりしていました。
ディキシーランドのリバイバル
1940年代終わりから1950年代にかけて起きたディキシーランドのリバイバルは、その卓越した即興で有名になり、「最初のステレオレコード」として歴史上に名を刻んだ「Dukes of Dixieland」によって始まりました。
このムーブメントは多くのセミ・リタイアしたミュージシャンたちに名声をもたらしただけではなく、長年プレイしていなかったジャズの世界でまた演奏するきっかけを与えることにもなりました。
Kid OryやRed Nicholsも、この一人です。
Progressive Dixielandの誕生
このリバイバル時代の多くのディキシーランドのグループは、昔活躍したバンドをマネて演奏していました。
しかし、他のミュージシャンの中には新しいサウンドやパフォーマンスを作っていく人もいました。
たとえば1950年代の「Progressive Dixieland」は、ディキシーランドにビーバップスタイルのリズムを取り入れたポリフォニックな即興演奏が特徴です。
そのため、「Dixie-bop(ディキシー・バップ)」と呼ばれることもありました。
このスタイルでは、Spike Jones & His New BandやSteve Lacyなどが人気です。
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シカゴジャズ
ディキシーランドにおける「シカゴスタイル」は、Jimmy McPartlandやEddie Condon、Muggsy Spanier、Bud Freemanなどのシカゴ出身・シカゴ人のミュージシャンの音楽を指します。
リズムセクションであえるストリングベース(コントラバス)はチューバに、ギターはバンジョーに置き換わっていることがあるのが特徴です。
ニューオリンズとの違い
シカゴのプレイヤーは、スイングした4ビート(2・4拍目にアクセントが来る)での演奏を好む傾向にあります。
対して、ニューオリンズのプレイヤーはソロはあまり強調しないスタイルが特徴的です。
シカゴスタイルのディキシーランドは、ディキシーランドの起源である南部の生活とは異なり、「都会の忙しさ」に似ている部分があります。
(ちなみにシカゴはアメリカの右上側にあります)
またシカゴスタイルのバンドは、よりバラエティに富んだスタイルの楽興を演奏するのも特徴の一つです。
以上でディキシーランドの解説は終了です。
当サイトでは他にもジャズ系の音楽ジャンルについて解説していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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