【音楽ジャンル】ブルースとは?【他ジャンルとの関係性編】
ブルースにはどんな歴史があるの?
このような疑問にお答えする内容です。
今回はPart9として、「ブルースがその他の音楽にどんな影響を与えてきたのか」「どんな音楽と融合してきたのか」について解説していきます。
Part1:名前の語源・ルーツの音楽編
Part2:ブルースの音楽的な特徴編
Part3:始まりから1930年頃編
Part4:戦前のブルース編
Part5:いろいろなスタイルのブルース編
Part6:1950年代のブルース編
Part7:1960~1970年代のブルース編
Part8:1980年代から現在編
Part9:他ジャンルとの関係性編
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ブルースの要素はいろいろなジャンルで使われている
ブルースに使われている要素、たとえば「12小節構成」やメロディー、ブルーススケールなどは、ロックンロールやジャズ、ポピュラーミュージックなど、多くのジャンルに影響を与えてきました。
Louis ArmstrongやDuke Ellington、Miles DavisやBob Dylanなど、一流のジャズやフォーク、ロックミュージシャンたちも、実はかなりのブルースの楽曲を発表しています。
ブルーススケールは、世界的に有名な数々の楽曲にもよく使われています。
「のだめ」で有名なあの曲も…
オーケストラでも、George Gershwinの「Rhapsody in Blue」や「Concerto in F」などにブルーススケールが使われています。
前者は、日本だと「のだめカンタービレの曲」としてよく知られています。
アメリカの人気テレビシリーズ「バットマン」のテーマソングになった「Turn Me Loose」にも、ブルースの要素が使われています。
カントリーミュージックの大スターであるJimmie Rodgersと、ギタリスト兼ボーカリストのTracy Chapmanのヒット曲「Give Me One Reason」にも、ブルースの要素があります。
スピリチュアル、ブルース、ゴスペルの関係
Skip JamesやCharley Patton、Georgia Tom Dorseyなどの初期カントリーブルースのアーティストたちは、カントリーブルースやアーバンブルースを演奏しており、彼らは音楽ジャンル「スピリチュアル」の歌唱方法からインスピレーションを受けています。
スピリチュアルとは、アメリカ(特に南部)のアフリカ系アメリカ人奴隷たちによって歌われた音楽のことです。
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またDorseyは、ゴスペルの普及にも貢献しました。
ゴスペルは1930年代に発展した音楽で、Golden Gate Quartetが有名です。
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1950年代にはSam Vooke、Ray CharlesやJames Brownたちによって、ソウルミュージックでゴスペルやブルースの要素が使われる様になります。
1960年代から1970年代には、ゴスペルとブルースは「ソウルブルース」というジャンルに融合されます。
1970年代のファンクはソウルの影響を受けているので、ヒップホップやR&Bの前身と言えるでしょう。
そのため、R&Bの歴史はスピリチュアルとブルースまでさかのぼることができます。
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スピリチュアルはなぜ発展できたか?
音楽的にいうと、スピリチュアルはニューイングランド(北アメリカ)のコーラス(歌)の伝統から来ており(特にイギリスの牧師で賛美歌作家のアイザック・ワットの讃美歌)、アフリカ音楽のリズムとコールアンドレスポンスの形をミックスさせた音楽です。
アフリカ系アメリカ人のコミュニティにおけるスピリチュアルや宗教歌は、いわゆるロー・ダウン・ブルース(Low-down blues)=「卑下なブルース」よりもはるかに記録が残っています。
スピリチュアルの歌は、アフリカ系アメリカ人のコミュニティがキャンプや集会、礼拝などの集まりでたくさんの人と交流できたため、発展することができました。
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ジャズ・ブルース・ビーバップの関係
第二次世界大戦前は、ブルースとジャズに明確な境目はありませんでした。
通常、ジャズはブラス(金管楽器)でハーモニックな構成であった一方、ブルースは「12小節ブルース」などの構成で作られていました。
しかし、この2つを組み合わせたジャンル「ジャンプブルース」が1940年代に誕生します。
第二次世界大戦後は、ブルースはジャズにかなりの影響を与えていきます。
Charlie Parkerの「Now’s the Time」などの非常に高評価を受けたビーバップの楽曲は、ペンタトニックスケールやブルースノートなど、ブルースの要素を使って作られていました。
そしてビーバップは、ジャズを「ダンスのためのポピュラー音楽スタイル」という立ち位置から「”お高い”芸術」「近づきがたい」「セレブなミュージシャンによる音楽」という立ち位置へと変えていきました。
そのため、ブルースとジャズのリスナーは分裂し、ブルースとジャズの境目はより明確になっていきました。
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ブルースとロックンロールの関係
12小節構成ブルースとブルーススケールは、ロックンロールにも大きな影響を与えます。
ロックンロールは「バックビートを伴ったブルース」とも呼ばれており、アメリカのシンガーCarl Perkinsは、ロカビリーのことを「カントリービートを伴ったブルース」と呼んでいました。
ロカビリーは「ブルーグラス・ビートで演奏された12小節ブルース」とも呼ばれています。
Jerry LieberとMike Stollerの楽曲「Hound Dog」では、ハーモニー・歌詞どちらに関しても12小節ブルースの構成に変更は加えず、メロディーはトニックのb3rd(フラット・サード)を中心に作られ(プラス、サブドミナントのb7th)、これはまさにブルースをロックンロールに置き換えたような楽曲でした。
Jerry Lee Lewisのロックンロールは、ブルースと、ブルースの派生であるブギウギに強く影響を受けています。
彼の音楽スタイルは、正確にはロカビリーではありませんが、「真のロックンロール」だと言われていました。
初期のロックンロール
初期のロックンロールの楽曲の多くは、ブルースをベースに作られています。
Elvis Presley – That’s All Right
Chuck Berry – Johnny B. Goode
Carl Perkins – Blue Suede Shoes
Big Maybelle – Whole Lotta Shakin’ Goin’ On
Big Joe Turner – Shake, Rattle and Roll
Little Richard – Long Tall Sally
初期のアフリカ系アメリカ人ロックンロールアーティストは、性的なテーマを扱ったり、ブルースを暗示させる要素を使っていました。
Little Richard – Tutti Frutti
Ray Charles – What’d I Say
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ポップス、カントリーミュージックとの関係
12小節構成のブルースはポップの楽曲にも見られ、Bob Dylanの「Obviously Five Believers」やEsther and Abi Ofarimの「Cinderella Rockefella」などに聞くことができます。
初期のカントリーミュージックは、ブルースの要素が用いられていました。
Jimmie Rodgers、Moon Mullican、Bob Wills、Bill MonroeやHank Williamsなどは、自身をブルースシンガーとして売り出し、少なくとも後期カントリーポップのアーティスト(Eddy Arnoldなど)とはまた違う、ブルース感のある音楽を作っていました。
しかし、Arnoldはブルース感のある楽曲「I’ll Hold You in My Heart」をリリースしています。
Willie NelsonやWaylon Jenningsなど、1970年代の「アウトロー」なカントリーミュージックは、ブルースから要素を借りて楽曲を作っています。
前述のJerry Lee Lewisは、1950年代スタイルのロックンロールからドラムを取ってきた後、ブルース感のあるカントリーミュージックを歌い、アルバムにもブルースの基本がよく使われています。
以上で音楽ジャンル「ブルース」の解説は終了です。
当サイトでは他にもブルースに関わるジャンルを解説していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
Part1:名前の語源・ルーツの音楽編
Part2:ブルースの音楽的な特徴編
Part3:始まりから1930年頃編
Part4:戦前のブルース編
Part5:いろいろなスタイルのブルース編
Part6:1950年代のブルース編
Part7:1960~1970年代のブルース編
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