【音楽理論】アッパーストラクチャーとハーフホールディミニッシュスケールを使ったジャズコード進行の作り方
- 2024.09.14
- 2024.08.31
- コード進行
今回は、Jens Larsenが解説する「ディミニッシュスケールを使ったアッパーストラクチャートライアド-よく使えるドミナント7thコード-」をまとめました。
ハーフホールディミニッシュスケール(Half-Whole Diminished Scale)を使って、アッパーストラクチャートライアドを作る方法について解説します。
とても難しそうに聞こえるかもしれませんが、
・「ハーフホールディミニッシュスケール」とは何か?
・「ドミナント7thコード」とは何か?
など、基礎的な部分からじっくり解説しますので、初心者の方も安心してご覧ください。
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はじめに:「ドミナント7thコード」「ハーフホールディミニッシュスケール」「アッパーストラクチャー」とは?
はじめに、ドミナント7thコードとディミニッシュスケールのおさらいをしましょう。
ドミナント7thコードとは?
ドミナント7thコードとは、「スケール上の5番目の音を使った7thコード」です。
例えばCメジャースケールのドミナンント7thコードは「G7」、Gメジャースケールのドミナント7thは「D」になります。
ドミナント7thコードは「トニックに行きたくなる=解決したくなる・終わりたくなる」という響きを持っていることが一般的です。
ハーフホールディミニッシュスケールとは?
ハーフホールディミニッシュスケール(Half-Whole Diminished Scale)とは、半音と全音を交互に配置したスケールのことです。
特にジャズの即興でよく使われます。
上の画像を見てみましょう。
Cハーフホールディミニッシュスケールは「C,Db,Eb,E,F,G,A,Bb」の8音でできていることがわかります。
そして、それぞれの音の感覚が、Half(半音)間隔、Whole(全音)間隔と、交互に並んでいることがわかります。
一般的によく使われるスケールは7音階であることが多いため、このスケールは「オクタトニックスケール(Octatonic Scale)」、日本語だと「八音音階」とも呼ばれます。
アッパーストラクチャーとは?
アッパーストラクチャーとは、2つのコードを組み合わせて1つのコード(響き)に聞かせることができるテクニックです。
例えばピアノなら、右手と左手で異なるコードを弾いて、一つのコードに聞かせることができます。
左手でC7コード(C,E,G,Bb)、右手でDメジャーコード(D,F#,A)を弾くと、C7(#11)コードのように聞こえます。
ジャズでよく使われるテクニックですが、特にトライトーン(不協和音になる音)を使うと「ドミナント7thコード」のような響きにすることができるのが特徴です。
※前述のC7+Dの例では、CとF#がトライトーンになりますが、この不協和音のおかげでドミナント7thコードとして良い響きを得られます
言い換えると、トニックの前にアッパーストラクチャーを使ったコードを取り入れることで、一味違った「ドミナント7thコード」を取り入れることができる&一味違った解決感を作ることができます。
アッパーストラクチャーとハーフホールディミニッシュスケールを使ったジャズコード進行の作り方
それでは、これらを踏まえて「アッパーストラクチャーとハーフホールディミニッシュスケールを使ったコード進行の作り方」を解説していきます。
今回は、Fメジャーキーの曲で、ハーフホールディミニッシュスケールを使いながらどのようにドミナント7thコードを作っていくかをご紹介します。
これらはあくまで一例で、コードや音、ボイシングの組み合わせは無限大にありますので、ぜひご自身でも応用しながら使ってみてください。
Fメジャーキーの場合、ドミナント7th=Vのコードは「C7(C,E,G,Bb)」になります。
そのため、トニック(Fメジャーコード)に解決するときは「C7 – F」のようなコード進行になります。
ここで、ハーフホールディミニッシュスケールを使ってみましょう。
このとき、まずはじめに「ドミナント7thコードのルート音を使ったハーフホールディミニッシュスケール」を考えてみましょう。
今回の場合、ドミナント7thコードは「C7」ですので、「Cハーフホールディミニッシュスケール」となります。
次に、ここからアッパーストラクチャーを作るため、「C7に乗せるトライアド」を作っていきます。
今回は、Aメジャーコード(A,C#,E)、F#/Gbメジャーコード(F#,Bb,Db)、Ebメジャーコード(Eb,G,Bb)を使いたいと思います。
C7コードはとてもシンプルなので、味気ないと感じる時があります。
そのため、彩りを加えるためにこれらのコードを足していきます。
アッパーストラクチャーコードの例1:C7+Aメジャーコード
はじめにご紹介するのは、「C7+Aメジャーコード」の例です。
A:A,C#,E
これらを重ねると、以下のように考えることができます。
E = C7の3rd
A = C7の13th
つまりC7+A = C7(13,b9)のように聞かせることができます。
このコードは、このようなサウンドになります↓
アッパーストラクチャーを使った即興・ソロの例①
このアッパーストラクチャーを作ったあとは、このコードを使って即興やソロを弾いてみましょう。
例えばこのように、コードの構成音をバラして弾いてみることもできます。
アッパーストラクチャーのおかげで、シンプルにC7を弾くよりも、よりジャジーな響きを使ったドミナント7thコードを作ることができます。
そのため、最後にトニック=Fmaj7を弾いたときも、しっかり解決感が出せます。
それでは、このソロも細かく見てみましょう。
最初の4音は「Db,E,A,Db」で、Aメジャーコードの第1転回形です。
次の4音は「Db,Bb,A,G」で、スケールに沿って1音ずつ下がっています。
次の4音は「A,Bb,E,A」でアルペジオになっていますが、これは「C7+Aメジャーコード」のうち、主にC7(13)の上の方にある音をベースとしています(E,A,Bb)。
そして最後の4音は、「Db,A,E,Db」と、Aメジャーコードの第1転回形をそのまま降りてきています。
ここでポイントなのは、アルペジオの最後の音「Db」が、フレーズの最後の音=Cと半音違いであるという点です。
Fmaj7コードはトニックで、解決感が生まれる場所です。
ここに、さらにメロディーでも半音移動をすることによって、さらに解決感を出すことができます。
もちろん、このような別のパターンを作ることも可能です。
アッパーストラクチャーコードの例2:C7+Gbメジャーコード
はじめにご紹介するのは、「C7+Gbメジャーコード」の例です。
Gb:Fb,Bb,Db
これらを重ねると、以下のように考えることができます。
Gb = C7のb5
Bb = C7のb7
つまりC7+Gb = C7(b9,b5)のように聞かせることができます。
このコードは、このようなサウンドになります↓
アッパーストラクチャーを使った即興・ソロの例②
それでは先ほどと同様に、このアッパーストラクチャーを作ったあとは、このコードを使って即興やソロを弾いてみましょう。
こちらでも、コードをベースにしてアルペジオにしながら演奏してみます。
最初の4音は「Gb,Bb,Db,Gb」で、Gbメジャーコードを単純にバラバラにして弾いています。
次の3音は「A,E,Db」で、Aメジャーコードを弾きます。
次は小節線の少し前から始まり、「Bb,Db,Gb,Bb」と、Gbメジャーコードの第1転回形で弾きます。
次の3音は「E,Db,A」で、Aメジャーコードを降りるようにしています。
最後は「Bb,Db」の2音を付け足し、最後の小節のトニックにつながりやすいよう、最後の音はDbにしています。
今回はC7+Gbメジャーコードのアッパーストラクチャーを使いましたが、例①でもご紹介した通り、C7+Aメジャーコードも合いますので、途中でAメジャーコードをベースにしたアルペジオも入れています。
このように、そのときに使っているコードに縛られる必要はありませんので、ぜひいろいろな音やコードを取り入れてみてください。
アッパーストラクチャーコードの例3:C7+Ebメジャーコード
最後に紹介するのは、「C7+Ebメジャーコード」の例です。
Eb:Eb,G,Bb
これらを重ねると、以下のように考えることができます。
Eb = C7の#9
G = C7の5
つまりC7+Gb = C7(#9)のように聞かせることができます。
このコードは、このようなサウンドになります↓
アッパーストラクチャーを使った即興・ソロの例③
それでは、このコードを使った即興・ソロを弾いてみましょう。
はじめは、ブルースのようなフレーズです。
「Eb→E」の部分のうち、Ebが「C7における3rdの音」のように聞こえ、この半音移動が良い味を出しています。
次の4音は「B,G,Eb」と、Eメジャーコードを降りるようなフレーズです。
次は小節線をまたぎながら、「A,E,Db」と、Aメジャーコードの第1転回形のようなフレーズです。
最後は「Db,A,E」と、Aメジャーコードの第1転回形です。
そして最後の音は、Fmaj7の9thの音であるGで終わっています。
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アッパーストラクチャーとハーフホールディミニッシュスケールを使ったコード進行の作り方まとめ
今回は、アッパーストラクチャーとハーフホールディミニッシュスケールを使ったコード進行、そしてこれを使ったフレーズの作り方をご紹介しました。
一見複雑そうに見える内容ですが、このように構造を分解して考えることで、即興やソロにも活かしやすくなります。
ぜひお試しください。
当サイトでは、他にもジャズやコード進行に関する記事を多数ご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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