コード進行

【ジャズ音楽理論】アッパーストラクチャートライアドとは?【基礎編 Part2】

Upper Structure Triads For Jazz Piano

今回は、PianoGrooveが解説する「ジャズピアノのためのアッパーストラクチャー」をまとめました。

この記事ではそのうち「基礎編 Part2」として、「アッパーストラクチャーの作り方」についてじっくり解説していきます!

アッパーストラクチャートライアドの公式

それでは、ここからはアッパーストラクチャートライアドの「公式」について解説します。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

上の画像は、アッパーストラクチャートライアドを作るにあたって、より簡単に作るための早見表です。

U.S. Name:アッパーストラクチャーの名前

Types of Triad - Built from:トライアドを作るもとにするスケールディグリー

U.S. Chord Tones:トライアドに含める音

それでは、この早見表がどのようなことを意味しているのか、「Fメジャーキーにおけるドミナントセブンス=C7」を使って解説していきます。
※ここでは例としてはFメジャーキーとC7を用いて解説しますが、どのキーにも共通して使える公式です

早見表の一番上「アッパーストラクチャー2」

まずは、早見表の一番上にある「US 2(アッパーストラクチャー2)」です。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

これは「コードの2番目のディグリーを使ったメジャーコードを重ねる」ということなのですが、少しわかりにくいと思うので、具体的に解説します。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

C7のコードを使ってスケールを考えると、Cミクソリディアンモードを当てはめることができます。

Cミクソリディアンモード:C,D,E,F,G,A,Bb

4:57~5:04

Upper Structure Triads For Jazz Piano

そして「アッパーストラクチャー2」では、このスケールのうち2番目の音をベースとしたメジャーコード=Dメジャーコードを重ねるということになります。

スケールのうち2番目の音は「2nd」と考えることもできますが、「9th」と考えることもできます。

そのため、ここではDを9thの音として重ねます。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

右手と左手を個別に考えると「C7 + D」と考えることができますが、全体としては「C13(#11)」の響きになります。

それでは、このC13(#11)のコードをドミナントセブンスコードとして使ったコード進行を聞いてみましょう。

5:31~5:37

Upper Structure Triads For Jazz Piano

アッパーストラクチャーの方を第2転回形にすると、また違った響きを得られます。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

D,F#,A→A,D,F#に変更

5:57~6:05

Upper Structure Triads For Jazz Piano

転回形にするとき、指が届かなかったり弾きづらい場合は、音を抜いて弾いてもOKです。

早見表の上から2番目「アッパーストラクチャー#4」

次は、早見表の上から2番目にある「US #4(アッパーストラクチャー#4)」です。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

#4(#11)の音をベースとして、メジャートライアドを作るパターンです。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

上の楽譜は、C7の構成音「C,E,G,Bb」に加えて「#4(#11)」を足した例です。

このスケールをもとに、今回のキモとなる「#4(#11)」の音をベースとしたメジャーコードを作ると、左手は通常のC7、右手は「F#,A#(Bb),C#」を弾くことになり、このような響きになります。

6:46~6:50

Upper Structure Triads For Jazz Piano

右手を第2転回形にすると、より強い響きになります。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

6:56~7:03

Upper Structure Triads For Jazz Piano

左手では「C,E,Bb」、右手では「F#,A#(Bb),C#」を弾いていますが、「Bb(A#)」の音が被っています。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

そのため、上の画像のように左手のBbを抜いて弾いてもOKです。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

それでは、このパターンを使った例をお聞きいただきましょう。

C7(b9,#11)のとき、右手は「C#,F#,A#(Bb)」を弾いていますが、オクターブを変えたり転回形にしてもよいでしょう。

7:17~7:26

Upper Structure Triads For Jazz Piano

早見表の上から3番目「アッパーストラクチャー#5」

次は、早見表の上から3番目にある「US #5(アッパーストラクチャー#5)」です。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

#5や#b13の音をベースとして、メジャートライアドを作るパターンです。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

C7にこのアッパーストラクチャーを使う場合、まずはC7の構成音「C,E,G,Bb」と、今回のキモとなる#5(b6)を組み合わせたスケールを並べてみましょう。

すると、上の画像のように「C,D,E,F,G#,A,Bb」というスケールになります。

これらの音を使い、今回のキモとなる#5(b6)をベースとするメジャーコードを作ると、左手ではC7、右手では「#G(Ab),C,Eb」を弾くことになり、このような響きになります。

7:50~8:12

Upper Structure Triads For Jazz Piano

それでは、このパターンを使った例をお聞きいただきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

8:19~8:25

Upper Structure Triads For Jazz Piano

はじめにGm7の部分では、最初にGm9(G,D,F,A,Bb,D)を弾き、

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

次にGm11(G,Bb,D,F,A,C)を弾いています。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

そして、アッパーストラクチャーのC7(#5,#9)に移ります。

また、このようにアルペジオを使ったパターンにしてもよいでしょう。

コードを一度に「ジャーン」と弾くのではなくアルペジオにすることで、メロディーのような要素を加えることができます。

8:45~8:50

Upper Structure Triads For Jazz Piano

早見表の一番下「アッパーストラクチャー6」

最後は、早見表の一番下にある「US 6(アッパーストラクチャー6)」です。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

6th (13th)の音をベースとして、メジャートライアドを作るパターンです。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

C7にこのアッパーストラクチャーを使う場合、まずはC7の構成音「C,E,G,Bb」と、今回のキモとなる6thの音を組み合わせたスケールを並べてみましょう。

Cミクソリディアンモード(C,D,E,F,G,A,Bb)のようになります。

これらの音を使って、今回のキモとなる6thの音をベースとしたメジャーコードを作ると、Aメジャーコード(A,C#,E)になります。
※CミクソリディアンモードにはC#の音はありませんが、アッパーストラクチャーではメジャーコードを使うことが多いため、C#の音を使います

それでは、このコードの響きを聞いてみましょう。

9:13~9:27

Upper Structure Triads For Jazz Piano

次に、このコードを使ったコード進行も聞いてみましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

9:37~9:50

Upper Structure Triads For Jazz Piano

C13(b9)のとき、左手では「C,E,Bb」と弾くはずのところを、あえて「E」の音を右手親指で弾くようにしています。

これは、左手のC7にも、右手のAにも「E」の音が含まれているからです。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

パッシングコードも入れてみよう

最後のトニックに行く前に、パッシングコードを入れてみるのもよいでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

今回は、トニックであるFM7の前にGb13を入れてみます。

10:15~10:24

Upper Structure Triads For Jazz Piano

Gb13(Gb,Eb,Bb,Eb,Ab)は、次のFM7の半音上のドミナントコードです。

https://www.youtube.com/watch?v=K7y1Bssd0f4

基礎編 Part2の解説はここで終了です!

次はいよいよ、アッパーストラクチャーを実際の曲でどう使っていけばよいのか「実践編」に移ります↓


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