【ジャズ音楽理論】アッパーストラクチャートライアドとは?【基礎編 Part1】
- 2024.09.15
- 2024.09.01
- コード進行
今回は、PianoGrooveが解説する「ジャズピアノのためのアッパーストラクチャー」をまとめました。
この記事ではそのうち「基礎編 Part1」として、
アッパーストラクチャーはどのようにできているのか?
アッパーストラクチャーを使うメリットは何か?
これらについて、基礎からじっくり解説していきます!
基礎編 Part1:アッパーストラクチャートライアドとは?使うメリットは?(当記事)
基礎編 Part2:アッパーストラクチャーの作り方 -4つの公式-
実践編 Part1:ジャズの名曲「Misty」を用いた実例の解説
実践編 Part2:ジャズの名曲「Autumn Leaves」を用いた実例の解説
実践編 Part3:ジャズの名曲「You Don’t Know What Love Is」を用いた実例の解説
※実践編Part1~3では、実際のジャズの名曲でアッパーストラクチャーがどのように使われているのか、実例を用いながら解説しています
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アッパーストラクチャートライアドとは?
アッパーストラクチャートライアド(Upper Structure Triad)とは、一言で言うと「複雑なオルタードドミナントセブンスコード」です。
ジャズにおけるソロピアノ・即興でよく使われるのですが、この説明だけでは少し難しいと思うので、もう少しわかりやすく解説していきます。
上の画像は、「II – V – I」のコード進行を使ったフレーズです。
基本的には「Gm – C7 – F」というコード進行ですが、2小節目のC7の部分は、アッパーストラクチャートライアドを使っていくつかコードを変えています。
それでは、このフレーズをピアノで弾いてみましょう。
2小節目はコードがさまざま変化しますが、最後はしっかり落ち着いて終わっています。
それでは、特に気になる2小節目について、具体的に解説をしていきます。
アッパーストラクチャートライアドのサウンドを感じてみよう
まずはアッパーストラクチャートライアドのサウンドを感じてみるため、先ほどご紹介したC7のアッパーストラクチャートライアド4種類を、一つずつ見ていきます。
シャープ(#)やフラット(b)がいくつもついていて難しく見えるかもしれませんが、まずここでは「こんな響きがする」という感覚を掴めればOKです。
C7のアッパーストラクチャートライアド1:C13(#11)
まずは、一番最初のC13(#11)です。
下から順に「C,E,Bb,D,F#,A」というボイシングです。
このC13(#11)からトニックのFに移動すると、このようなコード進行になります。
C7のアッパーストラクチャートライアド2:C7(#9,#5)
次は、C7(#9,#5)です。
下から順に「C,E,Bb,Eb,Ab,C」というというボイシングです。
このC7(#9,#5)からトニックのFに移動すると、このようなコード進行になります。
C7のアッパーストラクチャートライアド3:C13(b9)
次は、C13(b9)です。
下から順に「C,E,Bb,E,Ab,Cb」というというボイシングです。
このC13(b9)からトニックのFに移動すると、このようなコード進行になります。
C7のアッパーストラクチャートライアド4:C7(#11,b9)
最後は、C7(#11,b9)です。
下から順に「C,E,Bb,Db,Gb,Bb」というというボイシングです。
このC7(#11,b9)からトニックのFに移動すると、このようなコード進行になります。
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アッパーストラクチャートライアドのしくみを見てみよう
次は、アッパーストラクチャートライアドのしくみについて具体的に解説します。
先ほどお聞きいただいたように、アッパーストラクチャートライアドはとてもかっこいい響きがしますが、これは大きく分けて2つのパーツに分けることができます。
ローワーストラクチャー(Lower Structure):低い方のコード(ピアノなら左手で弾くコード)
ローワーストラクチャーとは?
「ローワーストラクチャー」は、ピアノで言うと左手で弾くコードです。
基本的には、非常にベーシックなドミナントセブンスコードを弾きます。
例えばFメジャーキーの曲の場合、ドミナントセブンスコードは「C7(C,E,G,Bb)」のため、C7を弾くことが一般的です。
このとき、「C,E,G,Bb」の4音を全て弾かなければいけないということではなく、以下のように音を抜いたり、ボイシングを変えて弾くこともできます。
どの音もすべて「C7」に含まれる音ですが、その組み合わせやボイシングによって、響きは大きく異なります。
それでは実際にピアノで弾いて、響きを確かめてみましょう。
アッパーストラクチャーとは?
「アッパーストラクチャー」は、ピアノで言うと右手で弾くコードです。
基本的にはメジャートライアドを弾きますが、楽曲のキーに関係なく、全てのメジャートライアドを使うことが可能です。
Cメジャーコード、Dbメジャーコード、Eメジャーコード、Ebメジャーコードなど、メジャーコードはたくさんありますので、メジャーコードはすべて弾けるようにしておくとよいでしょう。
アッパーストラクチャーで弾くコードは、転回形にして弾くこともできます。
アッパーストラクチャーではなぜ2パートに分かれる?
これまでの説明を聞いて、「アッパーストラクチャートライアドでは、なぜ2つのパートに分かれるの?」と疑問に思った方も多いでしょう。
この疑問に対する答えは、大きく分けて2つあります。
2.同じコードで、さまざまなサウンドを得やすくするため
メリット1:複雑なドミナントセブンスコードを、より覚えやすく、弾きやすくするため
アッパーストラクチャーを2つのパーツに分けるメリットの1つ目は「複雑なドミナントセブンスコードを、より覚えやすく、弾きやすくするため」です。
例えば、C13(#11)を弾こうと思った時を想像してみてください。
パッとボイシングが浮かばないこともあるかもしれません。
そんなとき、C13(#11)ではなく「D/C7」と考えてみるとどうでしょうか?
「C7の上に、Dを重ねる」というイメージになります。
特に、上の画像のように右手(上段)と左手(下段)に楽譜が分かれていると、視覚的にもわかりやすいです。
C13(#11)という文字を見てパッと弾けるようになるまでは、このように「上と下」で分けて練習するとよいでしょう。
メリット2:同じコードで、さまざまなサウンドを得やすくするため
アッパーストラクチャーを2つのパーツに分けるメリットの2つ目は「同じコードで、さまざまなサウンドを得やすくするため」です。
例えば同じ「C13(#11)」というコードでも、上の画像のように弾く音の組み合わせによって、全く異なるサウンドを作ることができます。
右手と左手の「手の形」も異なりますので、こちらにも注目してみてください。
基礎編 Part1の解説はここで終了です!
次はいよいよ、アッパーストラクチャーをどのように作っていけばよいのか、「アッパーストラクチャーの公式」を使いながら解説していきます↓
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