UAD社「Apollo Twin X」は高いけど買うべき10の理由
- 2025.03.07
- 2025.03.02
- 機材(ミキシング・マスタリング)

今回は、Audio UniversityのKyleが解説する「Universal Audio社 Apollo Twinのレビュー・セットアップ・テスト」をまとめました。
Universal Audio社のオーディオインターフェース「Apollo Twin X」は、世界中のプロに愛用されている非常に有名な製品です。
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しかし、他社では2万円程度のオーディオインターフェースがある中で、Apollo Twin Xの価格は約10万~20万円です。
「DUO」と「QUAD」の2種類ありますが、この違いと選び方は後ほど解説します
決して簡単に「購入するボタン」を押せるような金額ではないので、値段相応の製品かどうかが気になる方も多いでしょう。
そこでこの記事では、Apollo Twinはなぜ世界中のプロに愛されているのか、値段相応の価値があるのかについて解説します。
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- 1. 結論:UAD社「Apollo Twin X」は高いけど買うべき10の理由
- 2. UAD社Apollo Twinの特徴1.質のいいDSPが搭載されている
- 3. UAD社Apollo Twinの特徴2.高品質のプラグインが付属する
- 4. UAD社Apollo Twinの特徴3.大きさと静音性が優れている
- 5. UAD社Apollo Twinの特徴4.ミキシングコンソールのような操作性
- 6. UAD社Apollo Twinの特徴5.ALT機能でサウンドチェックがラクラク
- 7. UAD社Apollo Twinの特徴6.さまざまな接続方法に対応している
- 8. UAD社Apollo Twinの特徴7. レイテンシー(遅延)の問題も解消できる
- 9. UAD社Apollo Twinの特徴8.ヘッドホンアンプもパワフルで音量に困らない
- 10. UAD社Apollo Twinの特徴9.トークバック機能でレコーディングがスムーズにできる
- 11. UAD社Apollo Twinの特徴10.専用のソフトで設定もラクラク
- 12. UAD社Apollo Twinのデメリットは?
- 13. UAD社Apollo Twinの「DUO」と「QUAD」の違いは?
- 14. UAD社「Apollo Twin X」と「Apollo Solo」の違いは?
- 15. Universal Audio社Apollo Twinシリーズを購入する
結論:UAD社「Apollo Twin X」は高いけど買うべき10の理由
結論から言うと、僕(Kyle)としてはApollo Twin Xは価格相応の価値があり、買ってよかったと思っています。
DTMerなら、オーディオインターフェースとしてApollo Twin Xを選ぶことをおすすめできます。
なぜApollo Twin Xをおすすめできるのか、その理由はこちらの10個です。
2.高品質のプラグインが付属する
3.大きさと静音性が優れている
4.ミキシングコンソールのような操作性
5.ALT機能でサウンドチェックがラクラク
6.さまざまな接続方法に対応している
7.レイテンシー(遅延)の問題も解消できる
8.ヘッドホンアンプもパワフルで音量に困らない
9.トークバック機能でレコーディングがスムーズにできる
10.専用のソフトで設定もラクラク
それでは、1つずつ解説していきます。
UAD社Apollo Twinの特徴1.質のいいDSPが搭載されている
Universal Audio社Apollo Twinの特徴1つ目は「質のいいDSPが搭載されていること」です。
DSPは「Digital Signal Processing」の略で、パソコンや楽器から受け取った音の情報を適切に処理するシステムのことです。
このDSPのおかげで、パソコンで音楽制作をするときの効率や質が非常によくなります。
・音質を落とさずにパソコンに取り込むことができる
エレキギター等から流れてきた演奏情報を適切に処理できる
・レイテンシー(遅れ)が発生しにくくなる
レコーディングや音楽再生をストレスなく行うことができる

例えばパソコンでバッキングトラック(インスト・オケ音源)を流しながら、エレキギターの演奏をレコーディングするとします。
このとき、特に大切なのが「ギターを演奏した瞬間にパソコンからギターの音が流れるか・録音されるか」「バッキングトラックとギターの音にズレがないか」の2つです。
どれか1つでもズレてしまうと、非常に大きなストレスになります。
オーディオインターフェースはパソコン・エレキギター・ヘッドホン(スピーカー)の3つを同時にコントロールしている機材なので、動きが悪いと非常に大きな悪影響をもたらしてしてしまいます。

Apollo Twinには優秀なDSPが搭載されているため、パソコンに大きな負担をかけることなくレコーディング・再生をすることができます。
そのため、安価なオーディオインターフェースよりも高音質・低遅延でストレスのない音楽制作ができます。
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UAD社Apollo Twinの特徴2.高品質のプラグインが付属する

Universal Audio社Apollo Twinの特徴2つ目は「高品質のプラグインが付属すること」です。
Apollo Twinを購入すると、同社のプラグインが無料でたくさん使えるようになります。
プリアンプ、EQ、コンプレッサー、リバーブなどさまざまなプラグインがあり、中には有名な「1176」や「LA-2A」などのビンテージ機材のプラグイン版もあります。
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UAD社Apollo Twinの特徴3.大きさと静音性が優れている

安価なオーディオインターフェースとして有名な「Focuslite」の製品と比べると、大きさは同じぐらいで、机に置きやすいコンパクトなサイズです。
重さはApollo Twinの方が2倍重く、ずっしりと感じます。
また、Apollo Twinは中に冷却ファンがついていないため、使用中は少し本体が暖かくなります。
これは、冷却ファンがついていると雑音(ノイズ)が発生してしまうためです。
Apollo Twin Xには冷却ファンがついていないため、雑音を出さずに静かな環境で音を聞くことができます。
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UAD社Apollo Twinの特徴4.ミキシングコンソールのような操作性
Apollo Twin本体にあるフロントパネルでは、ミキシングコンソールのような操作をすることができます。

Inputは1と2に加え、スピーカー(Monitor)とヘッドホン(Headphone)のゲインもそれぞれ調整できます。
・ハイパスフィルターのON/OFF
・ファンタム電源のON/OFF
・位相の反転のON/OFF
・トークバック機能のON/OFF
・DIM機能のON/OFF
Outputの音量を一定の音量まで一気に下げます
・MONO機能のON/OFF
ONにすると音が真ん中からしか聞こえなくなります
・MUTE機能のON/OFF
ONにするとモニター(スピーカー)から音が聞こえなくなります
・ALT機能のON/OFF
ペアで持っているスピーカーが2組あるとき、その2組を切り替えて再生できます
UAD社Apollo Twinの特徴5.ALT機能でサウンドチェックがラクラク
Apollo TwinにはALT機能があり、ボタン1つで再生するスピーカーを切り替えることができます。
そのため、「異なる音楽環境で聞くと音がどう変わるのか」をチェックするのに役立ちます。
例えば高音域から低音域まですべてをバランスよく聞ける大きなスピーカーをメインで使っているとき、「小さく安価なスピーカーでも重要な音がしっかり聞こえるか」をチェックしたいことがあるでしょう。
このとき、オーディオインターフェースに接続しているスピーカーをいちいち変えて接続し直さなくても、ALTスイッチを押すだけでスピーカーを切り替えることができます。
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UAD社Apollo Twinの特徴6.さまざまな接続方法に対応している
Apollo Twinでは、さまざまな接続方法で機材を使用することができます。

USB接続よりも速く高パフォーマンス力を誇るThunderbolt接続が利用できます。
・Optical IN(ADAT・SPDIF)
他のプリアンプなどと接続し、InputやOutputの数を増やすことができます。
・1/4インチOutput接続
Monitor L&RとLINE OUTがそれぞれ利用できます。
・XLR&1/4インチInput接続
マイクなどの機材と接続できます。
Apollo Twinの手前には、Instrument InputとHeadphone Outputが1つずつ付いています。
描かれているアイコンの通り、Instrument Inputにはエレキギターなどの楽器を接続してレコーディングすることができ、Headhpone Outputにはヘッドホンを接続して音を聞くことができます。
※Instrument Inputは本体背面にある「MIC/LINE」と繋がっていますので、同時に使うことはできません
Apollo Twinとマイクを接続して録音してみた
Apollo Twinとマイク(Shure SM7B)を接続して録音すると、このような音質になります。
通常、マイクを使うときはマイクプリアンプを使って電気信号を増幅し、音量を上げる必要があります。
しかし、Apollo Twinにはプリアンプが内蔵されていますので、このような外部機材を別途用意する必要はありません。
今回はApollo TwinでプリアンプのゲインをほぼMAXまで上げていますが、お聞きいただける通り、ノイズなどはなく綺麗に録音することができています。
Apollo Twinに内蔵されているプリアンプはとても質がいいので、電気信号を大きく増幅させてもノイズが出にくくなっています。
ちなみに動画配信で大人気のShure SM7Bについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、気になる方はぜひチェックしてください↓
Apollo Twinにエレキギター・エレキベースを接続して録音してみた
次は、Apollo Twinにエレキギターやエレキベースを接続して録音してみます。
まずはApollo Twin本体の手前にあるInstrument Inputにギターのシールドを差し込みます。

そしてDAWでギターアンプシミュレーターを立ち上げ、ギターに適用します。
とても簡単な接続方法でありながら、ノイズはほとんどなく綺麗にレコーディングすることができました。
UAD社Apollo Twinの特徴7. レイテンシー(遅延)の問題も解消できる
ギターやボーカルをレコーディングするときによくあるのが、レイテンシー(遅延)の問題です。
演奏した瞬間に音がレコーディングされ、その音がヘッドホンから聞こえるのではなく、少し遅れてからレコーディング・再生されてしまう問題です。
しかし、Apollo Twinならこのレイテンシーの心配はありません。

レイテンシーを測定するツールを使うと、Apollo Twinでは4.521ミリ秒の遅延しか発生していませんでした。
RTL:Round Trip Latency
この数字なら、レイテンシーはないに等しいと言えます。
UAD社Apollo Twinの特徴8.ヘッドホンアンプもパワフルで音量に困らない
僕(Kyle)の場合は、Apollo Twinでヘッドホンを使っているときはそこまでゲインを上げなくても十分な音量が得られると感じています。
つまり、Apollo Twinに内蔵されているヘッドホンアンプはとても強力で、十分なパワーをヘッドホンに供給できているということです。
むやみにオーディオインターフェースのゲインを上げる必要がありません。

例えばAudio Technicaの人気ヘッドホン「M50x」を使うときは、ゲインのノブが半分以下であっても十分な音量が出ると感じています。
ちなみに「アンプがどれだけパワフルであるかが、ヘッドホンの聞こえ方にどう影響するのか?」についてはこちらで解説しています↓
UAD社Apollo Twinの特徴9.トークバック機能でレコーディングがスムーズにできる
Apollo Twinには「トークバック機能」が搭載されており、特に他のミュージシャンと一緒にレコーディングをするときに役立ちます。

例えばレコーディングスタジオでは、楽器を演奏する人とレコーディングした音をチェックする人が別々の部屋にいることが多いです。
上記の画像で言うと、ミュージシャンは右側の部屋で演奏し、エンジニアなど音をチェックする人は左側の部屋にいるパターンです。
これだと別々の部屋にいるので、両者が直接会話することができません。
ここで使えるのがApollo Twinのトークバック機能で、ボタンを押している間は相手のヘッドホンに自分の声を届けることができます。

トークバック機能の使い方は簡単で、Apollo Twinのフロントパネルの一番左にあるボタンを押しながら話すだけです。
トークバック機能をONにしている間は、本体の真ん中にある大きなノブの下にある円形の部分がマイクになります。
上記画像のうち、左手で指を指している黒い部分
このマイクで拾った音は、Apollo TwinのMonitor OutputやHeadphone Outputで接続している機材から再生されます。
デフォルトではこのような設定になっていますが、もちろん出力先を変えることもできます
UAD社Apollo Twinの特徴10.専用のソフトで設定もラクラク
Apollo Twin Xに限らず、Universal Audio社の製品では専用のソフト「UAD Console」が利用できます。

スピーカーやヘッドホン、マイクのの入出力を変更したり、音量を変更したり、同社のプラグインを使ったりすることができます。
ここで使用した設定は保存できるので、同じ設定を使いたいときはいつでも呼び出すことができます。
このUAD Consoleと同社のオーディオインターフェースを利用することで、レイテンシーはほぼゼロでスムーズに制作を進めることができます。
UAD社Apollo Twinのデメリットは?
Universal Audio社Apollo Twinのデメリットは、やはり値段の高さです。
同社のオーディオインターフェースは、購入すれば無料で使えるプラグインが非常にたくさんあり、中には世界のトップクラスのアーティストやエンジニアが愛用するプラグインもあります。
しかし、それでもやはり最低10万円程度はかかると考えると、購入を躊躇してしまう人も多いでしょう。
そのため、予算が限られている人にはあまりおすすめできません。
しかし、少しでもいい音質でストレスなく音楽制作をしたい方やお金に余裕がある人は、ぜひApollo Twinを手に取って欲しいと思っています。
一度購入すれば、後からより高いグレードのオーディオインターフェースを追加購入することも可能です。
同社のオーディオインターフェースは、買い替えるだけでなく追加して複数のオーディオインターフェースを利用することもできます。
そのため、将来を見据えて考えるのであれば、Apollo Twinを購入しても損はしないでしょう。
UAD社Apollo Twinの「DUO」と「QUAD」の違いは?
Universal Audio社Apollo Twinには「DUO」と「QUAD」の2種類あります。
両者の違いはオーディオインターフェースに搭載されている「プロセッシングコアの数」で、数が多いほど同時に処理できる同社のプラグインの数も多くなります。
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QUAD:プロセッシングコアを4つ搭載
QUADの方が、同社のプラグイン(UADプラグイン)を同時にたくさん使っても、パソコンにかかる負荷が少なく、音楽制作をスムーズに行うことができるようになります。
そのため、UADプラグインをたくさん使いたい人はDUOよりもQUADの方がおすすめです。
もちろんDUOでも十分に音楽制作を楽しむことができますので、あまりUADプラグインを使わない人はDUOでもよいでしょう。
UAD社「Apollo Twin X」と「Apollo Solo」の違いは?
UAD社では「Apollo Twin X」のほかに「Apollo Solo」も販売しています。
Soloの方がコンパクト&軽量でバスパワーで動作するため「基本的に作業は個人で行い、一度に使うのはヘッドホン1つ・エレキギター1本・スピーカー1ペアだけ」など、たくさんの機材を同時に接続・使用しない人におすすめです。
Twinは電源アダプタを使いますが、SoloはパソコンとUSB接続もしくはThunderbolt接続をするだけで動作します

・Thunderbolt接続可
・UADプラグインが多数付属
・バスパワー(Windows・Mac対応)
・プロセッシングコアは1つ
・1基のユニゾンマイクプリアンプ
・トークバック機能なし
・ADAT&APDIFインプットなし
・Thunderbolt接続可
・UADプラグインが多数付属
・外部電源(Windows・Mac対応、Windows専用版もあり)
・プロセッシングコアは2~4つ
・2基のユニゾンマイクプリアンプ
・トークバック機能あり
・ADAT&APDIFインプット最大8つ
Universal Audio社Apollo Twinシリーズを購入する
Universal Audio社Apollo Twin XとApollo Soloは以下のリンクから購入できます。
Apollo Twin X DUO(Windows・Mac両対応)
「Apollo Twin X DUO」は、Windows Macの両方に対応しています。
後述の「Windows専用版」にはないThunderbolt接続のハブがついています。
Apollo Twin X DUO(Windows専用)
こちらはWindows専用のApollo Twin Xです。
USB接続のみ可能で、Thunderbolt接続には対応していません
Apollo Twin X QUAD(Windows・Mac両対応)
こちらはプロセッシングコアが4つ搭載されているApollo Twinです。
UAD社の製品を同時にたくさん使いたい人におすすめです。
Apollo Solo(Windows・Mac両対応)
コンパクトなタイプのオーディオインターフェースです。
「基本的に作業は自分1人で行い、一度に使うのはヘッドホン1つ・エレキギター1本・スピーカー1ペアだけ」など、たくさんの機材を同時に接続・使用しない人におすすめです。
以上で解説は終了です。
当サイトでは他にもオーディオインターフェースの選び方について解説していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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