ミキシングのコツ

コーラス(バッキングボーカル)のMIXのコツ【MIX師必見】

メインボーカルとはまた違った処理が必要になるバッキングボーカルは。一体どのようにミックスすればいいの?

今回はこのような疑問にお応えする内容です。

ミキシングエンジニアのTony Maseratiが解説する「バッキングボーカルのMixテクニックをまとめました。
Background Vocals - Tony Maserati

ミックスをするときに考えて欲しいこと

もしボーカルが、どのサビでも同じように聞こえて、コーラスともいつも同じようにブレンドされていたらちょっと退屈ですよね。

つまり「聞いている人が退屈しないか?」を考えることがとても大切になります。

上手にボーカルをミックスした例

それでははじめに、完成形のこちらをお聞きください↓(2:19~2:49)

Background Vocals - Tony Maserati

ボーカルだけ聞くと、このようなサウンドです↓(3:08~3:32)

Background Vocals - Tony Maserati

それではここからは、具体的な手順を解説していきます。

コーラスのMixの手順1.2種類のDoubleを用意する

まずコーラスをミックスする準備として、2つのDouble(ダブリングトラック)が用意します。

Double(ダブリングトラック)は「全く同じフレーズを複数回歌ったときのトラック」で、例えばメインボーカルと全く同じフレーズを歌ったものを「Doubleトラック」として使います。

1つ目のDoubleは「Body」で、メインに厚みを持たせるためのDouble。
2つ目のDoubleは「Width」で、左右に振られており、広がりを持たせるためのDoubleです。

ミックスする前に、まずはこの「Body用」のDoubleと「Width用」のDoubleを用意してください。

コーラスのMixの手順2.DoubleにDesserをかける

次は、コーラスに対してDesserをかけます。

リードボーカルを真ん中ででしっかり聞こえるようにするため、Doubleの「S」の発音はかなり抑えます。

これで、Doubleの存在感は保ちつつもリードボーカルは引き立たせたままにできます。
(動画では-3db~-6dbぐらいまでメーターが来るようにしています)

解説(4:22~5:23)

Background Vocals - Tony Maserati

コーラスのMixの手順3.中低域以下をカットしたトラックを作成

コーラス(バッキングボーカル)のMIXのコツ【MIX師必見】

https://www.youtube.com/watch?v=a6agrpAFmGw

この曲では「3番目のDouble」というよりも、呼吸感・ブレスの感じのあるDoubleが欲しいので、EQで中低域以下をカットしたバージョンのトラックを作ります。
(動画では、1355hz以下をカットしています)

解説(6:43~7:15)

Background Vocals - Tony Maserati

コーラスのMixの手順4.ダブリングエフェクトを使う

コーラス(バッキングボーカル)のMIXのコツ【MIX師必見】

https://www.youtube.com/watch?v=a6agrpAFmGw

次は、ダブリング系のエフェクトを追加して音を左右に広げます。

この楽曲ではWaves社「Doubler」を使っています。

解説(7:15~8:19)

Background Vocals - Tony Maserati

Waves社「Doubler」は下記の「Waves Gold」や「Waves Platinum」に同梱されており、単体で買うよりもこのようなバンドルで買った方が圧倒的にお得です。

コーラスのMixの手順5. コンプレッサーをかける

さらに、この呼吸感のあるDoubleをより前にいるように聞かせるため、少しCompressorをかけます。

今回使うのは、Pro Tools付属のコンプレッサー「BG 76 Limiter」です。

Ratioは4、Attackは5.5ms、Releaseは6.8ぐらいに設定します。

リダクション量がだいたい-0.5から-2db程度をゆるやかに行き来するぐらいの設定にします。

解説(8:33~9:02)

Background Vocals - Tony Maserati

コーラス(バッキングボーカル)のMIXのコツまとめ

今回ご紹介したテクニックをまとめると、このようになります。

1. 2つのメインのDouble「Body(メインに厚みを持たせるため)」と「Width(広がりを持たせるため)」を追加
2.ディエッサーで子音「S」「Chi」などを整える
3.Doubler系のエフェクトで広がりを出す
4. 呼吸感のあるDouble(1355hz以下をカット)を追加し、高音域をよりエネルギッシュにする
5.コンプレッサーをかけてより前にいるように聞かせる

このテクニックを使って、より楽曲に馴染んだボーカルミックスをしていきましょう!

もっとミキシングを学びたいという方は、こちらがおすすめです↓


当サイトでは、他にもボーカルミックステクニックをご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓


人気記事

1

この記事では、ヒット曲を作曲するための方法を解説した記事をまとめています。作曲・編曲・ミキシング・マスタリングなど、音楽制作の工程ごとに分けてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

2

今回は、Doctor Mixが解説する「歴代のシンセサイザーTOP10」をご紹介します。みなさんがよく耳にする「あの音」は、実はこれらのシンセサイザーの音かも…!?「聞いたことある!」「あの音って、このシンセの音だったんだ!」と驚くこと間違いなしです!

3

CメジャーキーとAマイナーキーって、どう違うの? 聞き分け方はある? 今回はこのような疑問にお答えする内容です。 https://www.youtube.com/watch?v=lPDVo-7Ua28 ...

4

今回はバークリー音大卒業生のBasiaによる「バークリーQ&A バークリーに行く前に知っておくべきこと」をまとめました。Basiaはバークリー音大の作曲専攻を卒業しており、現在はシンガーソングライターとして活動しています。そんな彼女が、バークリー音大に憧れている人や受験を真剣に考えている人のために15の質問に答えます。

5

今回は、オーディオエンジニアのSean Divineが教える「複数楽曲のLUFS(ラウドネス)を統一する方法」をまとめました。曲のアルバムには複数の楽曲が入っており、「1曲目から最後の曲まで通して聴く」というリスナーもいます。そんなリスナーのために、LUFS(ラウドネス)を統一する方法をご紹介します。

ミクソリディアンモードを使ったゲーム音楽 6

今回は、8-bit Music Theoryが解説する「ミクソリディアンモードを使ったゲーム音楽」をまとめました。ゼルダ、FF、ポケモン、マリオなど、ゲーム音楽にはミクソリディアンモードを使った楽曲が数多くあります。「モードを使った作曲にチャレンジしたい!」という方には必見の内容です!

大きいスピーカーを買った方がいいミックスができるのか?おすすめのスピーカーは? 7

今回は「大きいスピーカーを買えばいいミックスができるのか?」をまとめました。一般家庭の部屋に置くには大きすぎるサイズのものもありますが、プロになるのであれば大きいスピーカーを買わなければならないのでしょうか?言い換えれば、大きいスピーカーを買えば、いいミックスやマスタリングができるようになるのでしょうか?

8

今回は、人気音楽プロデューサーのVirtual Riotが解説する「Serum 2の全新機能の解説」をまとめました。Xfer Records社「Serum2」で新しく追加されたプリセットの制作にも携わったVirtual Riotが、新機能17項目を徹底解説します。

9

今回は「カリッとしたボーカルにするためのMIXテクニック」をまとめました。全部で9個あり、組み合わせて使うことで非常に魅力的な音にすることもできます。初心者の方から上級者の方までお試しいただける内容ですので、ぜひご覧ください。

クロマティック・ミディアント(Chromatic Mediant)とは 10

今回は、イギリスの作曲家・Guy Michaelmoreが教える「クロマティック・ミディアント(Chromatic Mediant)とは?」をまとめました。映画音楽界で活躍する本人が、映画音楽でよく使われるクロマティック・ミディアントについて解説します!

-ミキシングのコツ
-