誰も教えてくれない「ジャズギター伴奏・コンピング練習のコツ」【初心者】

誰も教えてくれない「ジャズギター伴奏・コンピング練習のコツ」【初心者】

今回は、Jens Larsenが教える「誰も教えてくれないジャズギターのコンピング(伴奏)で重要なこと」をまとめました。

YouTube動画やレッスンでは教えてくれない、「伴奏で重要なこと」を解説していきます。

難しいボイシングやコードに関する知識は必要ありませんので、初心者の方でも安心してご覧ください。

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目次

誰も教えてくれない「ジャズギター伴奏のコツ」3つ

はじめに、今回の内容をまとめてご紹介します。

・より長いフレーズを意識する
(1小節単位ではなく、数小節単位で)

・自分でフレーズを作ってみる

・コールアンドレスポンスを使ってみる

それでは、ベーシックな12小節ブルースを使って具体的に解説を進めていきます。

ジャズギターの伴奏のコツ1.より長いフレーズを意識する

1つ目は、「より長いフレーズを意識して演奏する」です。

まずはじめに、「ボイシング」「ボイスリーディング」について解説します。

ボイシングやボイスリーディングは、「どの音を、どの組み合わせで、どの順番で重ねるか?」を考えることです。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

例えば、上記の画像はFmaj7からEb7に移動する時の様子を表しています。

できるだけ少ない移動で弾けるので、とても効率が良いです。

しかし、このようにたった2小節間のことだけ考えてコードを弾いてしまうのは、とてももったいないです。

曲はたった2小節で終わらない

基本的にはどの曲も、たった2小節では終わりません。

何小節も続き、その中でストーリーが展開されています。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

そのため、先ほどのような「このコードからこのコードに移る時は、指の移動が楽だからこういうボイシングにしよう」と考えると、「指の移動の手軽さ」というミクロの視点でしか伴奏できていないことになります。

ボイシングを変えれば(指の形を変えれば)もっといい音楽にできるかもしれないのに、これはもったいないでしょう。

伴奏はドラマーに学ぼう

基本的に、ドラマーは他の楽器よりも「前はこのコードで、今はこのコードだからこういう演奏をしよう」など、ボイシングのことはあまり考えていません。

特に優れたドラマーは、曲全体の展開を考えながら演奏しています。

それもそのはず、多くのギタリストなどは数小節の小さいフレーズを練習する傾向にあるのに対し、ドラマーは1曲全体の流れを考えながら、より長い単位で練習する傾向にあります。

しかし、ドラムの譜面はただの繰り返しだけでなく、譜面が少しずつ違っていたり、ドラマー自身が曲に合わせてアレンジを加えることもあるため、完全に同じフレーズの繰り返しだけではありません。

つまり、ドラマーは普段の練習から曲の全体像を考えて練習しているのです。

ドラムの譜面を応用したジャズギターの伴奏練習方法

このドラマーの練習方法を応用し、ジャズギターの伴奏を練習するには、このような手順がおすすめです。

1.ドラムの譜面を用意する
2.スネアだけ(アクセントの部分だけ)を見る
3.スネアの譜面に合わせて伴奏を弾いてみる

それでは詳しく解説していきます。

ドラムの譜面を使った伴奏練習方法1.ドラムの譜面を用意する

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

まずは、ジャズドラムの譜面を用意しましょう。

今みなさんが練習しているジャズの曲のドラムパートでも構いません。

お手持ちでない場合は、このようなジャズドラムの楽譜を購入するのがおすすめです。



ドラムの譜面を使った伴奏練習方法3.スネアだけ(アクセントの部分だけ)を見る

ドラムの譜面は、上記の画像のようにいくつかの種類の音が使われています。

基本的には、一番上にシンバル類(高音域)、真ん中にはスネアやタム(スネアのリムショットはバッテン印の音符、通常のショットは黒丸の音符)、一番下はキックやハイハットのフットで書かれています。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

例えば上の画像のような譜面であれば、ト音記号の楽譜で言う「上のド」にある音符がスネアです。

ドラムの譜面を使った伴奏練習方法3.スネアの譜面に合わせて伴奏を弾いてみる

このスネアのパターンを使って、伴奏のパターンを弾いてみましょう。

例えば、4小節のブルースのパターンを使うとこうなります。

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ドラムの譜面を使ってギターを練習するメリット

このようにドラムの譜面を使ってギターを練習するメリットは、2つあります。

1つ目は、「メロディーとしてリズムを捉えられるようになること」。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

2つ目は、「フレーズをただのコードとして捉えず、より長い単位で、文章として捉えられるようになること」です。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

このように、最初は4小節単位で「モチーフ」と「コンクルージョン(結末)」の流れを捉えられるように練習すると、やがて楽譜を見た時もこの「モチーフx3 →結末 x1」の単位で曲を見れるようになり…

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

さらに、より長い8小節単位でもこのような展開を意識できるようになります。

ハービーハンコックによる「ジャズの伴奏のコツ」

ジャズピアニストとして有名なハービー・ハンコックとサックス奏者のウェイン・ショーターは、インタビューで「12小節ブルースは、4小節x3ではなく3小節x4として感じている」と語っています。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

そのため、彼らの演奏をよく聞くと、3小節でひとまとまりに聞こえるような演奏になっています。

もちろん4小節x3として捉えても構いません。

いずれの分け方にしても、フレーズを1小節ごとの短いまとまりではなく、数小節単位で長く捉えて展開を考えながら演奏することが大切です。

ドラマーやベーシストと相談しよう

実際に曲を演奏するときは、ドラマーやベーシストなど、他の楽器の人たちと曲をどのように展開させていくかを相談することも大切です。

お互いに音でコミュニケーションを取るためには、自然な演奏にするためにはどのようにすれば良いか、一緒に考えながらグルーヴを作っていきましょう。

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ジャズギターの伴奏のコツ2.自分でフレーズを作ってみる

2つ目は、「自分でフレーズを作ってみる」です。

1から全部作っても良いですし、みなさんがよく聞く音楽や好きなフレーズ、好きなギタリストやドラマーからリズムのアイデアを得ながら、自分独自のフレーズを作っても構いません。

この時に大切なのは、9thからb13thに移動するエクステンションなどのことはあまり考えず、気持ち一歩下がって「シンプルでメロディックで、かつ強力なリズムを用いた4~8小節で完結するフレーズを作ることです。

これにはビッグバンドの曲が非常に参考になりますので、ぜひチェックしてみてください。

Show of the Week – Count Basie and his Orchestra (1965)

参考曲からアイデアを得たら、まずは4小節で完結するかんたんなフレーズを作って弾いてみましょう。

例えばこのようなイメージです。

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慣れてきたら、もともと使っていたモチーフをだんだん展開・発展させていきましょう。

例えば、「モチーフ→モチーフ→モチーフ→結末」だったフレーズを、「モチーフ→バリエーション→モチーフ→結末」のようにしてみます。

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自分でフレーズを作るメリット3つ

このように自分でフレーズを作ると、以下3つのメリットがあります。

・リズムをしっかり聞けるようになる
・他の楽器やフレーズとどう絡み合うのかわかるようになる
・フレーズの作り方を学べる

ギターソロを演奏するとき・即興するときに役に立つ自作フレーズ

普段から自分でフレーズを作っていると、ギターソロをするときに非常に役立ちます。

例えば、まずソロフレーズを4小節弾いてレコーディングしてみましょう。

そして自分の演奏を聞き返して、「はじまり・中間・おわり」の構成がしっかりできているかを確認してみましょう。

例えば、このような感じです。

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非常に参考になるのは、ウェス・モンゴメリーのギターソロです。

彼のソロはパターンの繰り返しとモチーフの展開の作り方が非常に上手く、またコールアンドレスポンスの使い方も素晴らしいので、ぜひ聞いてみてください。

Wes Montgomery – Round Midnight

ギターソロにコールアンドレスポンスを入れてみよう

ギターソロにおけるコールアンドレスポンスは、例えばこのような感じです。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W
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ウェス・モンゴメリーは、このコールアンドレスポンスを繰り返しながら、徐々に発展させていくのが上手です。

例えば、このようなイメージです。

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ジャズギターの伴奏のコツ3.コールアンドレスポンスを使ってみる

3つ目は、「コールアンドレスポンスを使ってみる」です。

ジャズギターの伴奏でよりスキルアップするには、伴奏を即興で行えるようにすることと、自分でフレーズを作れるようになることの2つが必要です。

コールアンドレスポンスを使うように心がけると、これら2つのスキルが自然に身につきます。

ソロを演奏する際にも役立ちますので、ぜひお試しください。

コールアンドレスポンスを作る練習方法

コールアンドレスポンスを作る練習をするには、まず「コール」の部分に当たる部分を用意し、「レスポンス」にあたる部分を空欄にしておきます。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

このように、12小節ブルースの形式にして、偶数小節の部分を「レスポンス」にしても良いでしょう。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

あとは、この空白部分を即興で埋めていきます。

例えば上の楽譜の場合、最初の2小節は「C7」がコールで、「F7」がレスポンスにあたります。

このとき、F7の一番上の音を「Eb」から「F」に移動させてみるなどの工夫をしてみます。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

他のフレーズも、音を少し移動させてバリエーションをつけてみるなどしてみましょう。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W
https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W
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上記のバリエーションを実際に演奏すると、このようになります。

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ギターのリックス(Licks)でコールアンドレスポンスをしてみよう

この練習は、リックス(Licks)をつなげていくときに「はじまり・中間・おわり」を意識しながら演奏するための練習にもなります。

https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

コールアンドレスポンスを意識しながらリックスをつなげていくと、例えばこのようになります。

This is Missing In Your Comping and Nobody Is Teaching It!
https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W
https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W
https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W
https://youtu.be/Ur8BTz7N69g?si=CRtl_3rNzy57o76W

これに関しても、ウェス・モンゴメリーが非常に参考になりますので、ぜひチェックしてみてください。

いったんストップして試行錯誤もOK

即興でコールアンドレスポンスを使った伴奏を弾いてみて、途中で違和感を感じたり「合わないな」と思ったら、一度手を止めてもOKです。

合わないと思った部分を振り返り、どのようなボイシングやフレーズだったら合いそうか、試行錯誤してみましょう。

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伴奏(コンピング)に必要なスキル4つ

楽器を問わず、伴奏(コンピング)に必要なスキルは、主に以下の4つです。

・コードが弾ける
・テンポキープできる
・フレーズが作れる
・適切なカラーを使える

これらのスキルがあればあるほど音を自由自在に扱えるようになり、音を聞いた時により早くカンタンに分析でき、何をするべきかを判断することができます。

一人で練習する時も、バンドで練習する時も、いずれの場合もこれらのスキルはしっかり身に付けましょう。

誰も教えてくれない「ジャズギター伴奏のコツ」まとめ

以上が「誰も教えてくれないジャズギター伴奏のコツ」でした。

・より長いフレーズを意識する
1小節単位ではなく、数小節単位で
ドラマーの演奏を参考に

・自分でフレーズを作ってみる
まずはシンプルなフレーズからはじめよう
少しずつ構成を変えながらトライしてみよう

コールアンドレスポンスを使ってみよう
「はじまり」「中間」「おわり」を意識したフレーズ作り

また、以下のような楽譜&CD付きギター楽譜はたくさんありますので、ぜひこちらも使いながら練習してみてください↓