ミキシングのコツ

【ドラムMIX】EQだけで太くてパンチのあるスネアを作る方法

The SNARE Drum PUNCH Trick!

今回は、Kohlekeller Studioが解説する「太くてパンチのあるスネアを作る方法」をまとめました。

音を太くしようとしたとき、逆に音がボワっとしたり、鮮明に聞こえなくなってしまう…

そんなとき、実はEQ1つだけで問題を解決できるということをご存知ですか?

ミックスをしている全ての方におすすめのテクニックですので、ぜひお試しください。
※動画内ではロック・メタルドラムを取り扱っていますが、内容を理解すれば他のジャンルのスネアにも応用できます

なぜスネアの音にこだわる必要があるのか?

ドラムセットにはスネアだけでなく、キックやハイハット、タムなどの楽器があります。

しかし、この中でも特にドラムのキャラクター性を決めるほど重要なのは、スネアです。

キックはスネアほど音の種類が少なく、大きな変更も加えにくい楽器です。

対してスネアは、高い音・低い音・乾いた音・響きを多く含んだ音など、さまざまな音色があります。

そのため、今回ご紹介するようなスネアに関するテクニックを知ることは非常に重要なのです。

ミックス前の音を聞いてみよう

それではまず、ミックス前のスネアの音を聞いてみましょう。

1:57~2:04

The SNARE Drum PUNCH Trick!

これはスネアの中でも非常に有名な「Ludwig Black Beauty(14” x 5.5”)」というスネアです。

【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A

このままの音でも十分良いのですが、少しボワっとしているところが気になります。

また、もう少しアタックがクリアになり、さらにパンチが欲しいなと思うので、ここから処理していきましょう。

EQのスペクトラムで音の状態を確認

まずはEQを使って、音の状態を確認します。

Fabfilter社「Pro-Q3」のようにスペクトラムが確認できるEQを使うと、今の音がどのような状態で、これから何をすればいいのかがわかりやすいので、とてもおすすめです。

【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A

Pro-Q3では、グラフの白(グレー)の部分にカーソルを当てたまましばらくすると、以下のようによりわかりやすくスペクトラムが表示されます。

【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A

このスペクトラムで言うと、少し左側の100~200Hzはスネアにとって「メインのパンチ」となる周波数です。

少し右側の2kHz~5kHz付近は、スネアの「アタック」がある周波数です。

この2つの間の画面中央部分の400hz~900hz部分は、「木製独特の鳴りや部品の響き」がある周波数です。

そこから少し上の1kHz~1.5kHzは、「ローファイ(LoFi)」を感じさせるような周波数です。

今回はパンチを出したいので、「100~200Hz」だけを処理していきます。

「この音域だけ処理するの?」と思うかもしれませんが、実はここを処理するだけでも劇的な変化が見込めます。

パンチを出す(100~200Hz)

スペクトラムを見ると、パンチに関する周波数である100~200Hz付近では194Hzが一番大きく出ていました。

つまり、このスネアにとって根幹となる部分=パンチを出している部分は「194Hz」ということになります。

【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A

ここをブーストすればよりパンチが出ますので、EQで上げてみましょう。

【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A

それより上の周波数(200~400Hz)は?

この194Hzの少し上にも、山がいくつかできています。

455Hzや、194hzと455Hzの間の部分です。

【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A

この部分は、メインのパンチ(100~200Hz)部分の倍音成分や、スネアのシェル・ヘッドが独自に持つ周波数であることがあります。

しかし、ロックやメタルの場合はこの周波数帯域がメインのパンチ(100~200Hz)を邪魔してしまうことがあるため、注意が必要です。

試しに、この小さい山になっている部分をブーストして聞いてみましょう。

5:25~5:33

The SNARE Drum PUNCH Trick!

194Hzの山の隣にある292Hzの山をブーストしてみると、ヘッドから出る音が変に強調され、音がこもってしまいました。

逆に減らしてみると、音にパンチはありつつも、すっきりして聞こえるようになりました。

【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A
【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A

では次に、455Hzの左隣にある小さい山(368Hz)をブーストしてみましょう。

5:59~6:08

The SNARE Drum PUNCH Trick!

こちらも大きくブーストすると、シェルの響きが強調されすぎてしまいました。

そのため、少しだけ減らしてちょうど良い響きにしていきます。

【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A

それでは、このEQをONにしたときとOFFにしたときで聞き比べてみましょう。

6:29~6:41

The SNARE Drum PUNCH Trick!

198~455Hz付近を少し処理しただけで、これだけ大きな差を出すことができました。

ただパンチを出すことができただけでなく、音が全体的に非常にすっきりしてクリアになっています。

極端にEQをした例

ちなみに、先ほどのEQをさらに極端にブースト・削った例がこちらです。

メインのパンチの周波数より少し上の周波数は、メインのパンチを邪魔してしまうことになりますので、メインのパンチの音量によってそれより上の周波数も対処が必要です。

場合によっては、このような大幅なEQもアリでしょう。

【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A

ローカット(100Hz以下)

最初にご説明を飛ばしてしまいましたが、スネアには不要な低域も含まれています。

先ほどの100~200Hz(メインのパンチ)よりも下の音域です。

【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A

スペクトラムを見てみるとここにも音の成分があることがわかりますが、スネアにとって不要な場合はカットします。

【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
https://www.youtube.com/watch?v=9u0MHChQI8A

EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法まとめ

今回はロックやメタルドラムに使うようなスネアの音で解説しましたが、もちろん他のジャンルや音色のスネアでも応用が可能です。

上手にスネアの音色をコントロールして、よいミックスができるといいですね。

今回使用したおすすめEQプラグイン「Pro-Q3」の最新版「Pro-Q4」の購入はこちらから

Fabfilter社「Pro-Q4」を購入する(サウンドハウス)

当サイトでは他にも「ドラムのMIXテクニック」についての解説記事を掲載していますので、ぜひこちらもご覧ください↓


人気記事

1

今回は、アメリカのプロデューサーNathan James Larsenが解説する「僕のお気に入りのボーカルチェイン」をまとめました。「どんな曲であっても、ミックスの83%はこのボーカルチェインを使っている」というぐらい汎用性が高い内容ですので、ぜひお試しください。

2

今回は、Doctor Mixが解説する「歴代のシンセサイザーTOP10」をご紹介します。みなさんがよく耳にする「あの音」は、実はこれらのシンセサイザーの音かも…!?「聞いたことある!」「あの音って、このシンセの音だったんだ!」と驚くこと間違いなしです!

3

今回は、これからDTMをはじめたいという方向けに「Amazonで買えるDTM初心者セット」を3つご紹介します。「これからDTMをはじめたいけど、何を買ったらいいかわからない」「とりあえずこれさえ買っておけばOKみたいなセットはない?」このような方のための記事ですので、ぜひ参考にしてください。

4

今回は、音楽で使うスピーカーに付いている「謎の穴」について解説します。いろいろなスピーカーを見てみると、前面下側に細長く穴が空いていたり、側面に丸い穴が空いてあったり、中には背面に穴が空いていることがあります。この謎の穴は、いったいどのような役割があるのでしょうか?

5

K-POPっぽい曲って、どうやったら作れる?K-POPの特徴って何?今回はこのような疑問にお答えします!海外プロデューサーが教える「K-POPの全体的な特徴」について徹底解説!これを前提に作曲していけば、よりK-POPっぽい曲が作れるようになります。

6

今回は、Big Zが解説する「SKRILLEX(スクリレックス)レベルでミックス・マスタリングする方法」をまとめました。SKRILLEXのように「音にパンチ・厚み・パワー」がありながら音圧を上げるには一体どのようにすればいいのでしょうか?DTMをしている全ての方、必見の内容です!

7

今回は、LANDRが解説する「DIベースとは?」をまとめました。音楽に親しんでいる方でも、「DIベース」とは何か、DIベースのレコーディングで使われる「DIボックス」とは何か、自分はDIボックスが必要なのかどうかが分からない方も多いでしょう。この記事では、これらについて詳しく解説していきます。

8

当サイトのnoteアカウントにて「楽曲のサビ・Aメロ・Bメロ・Cメロ・ポストコーラス・イントロ&アウトロの作り方」をそれぞれアップしました。 「曲を作るときに何から始めたらいいかわからない」「 ...

9

今回は、Audio Universityが解説する「音響心理学を活かしたミキシングテクニック」をまとめました。この記事ではそのうち、多くの人がミキシングで悩む「マスキング問題」とは何か?について解説しています。

10

今回は、さまざまなジャズのジャンル・種類をまとめました。「ジャズ」と言ってもいろいろなスタイルがあり、それぞれ特徴が異なります。この記事では18種類のジャズスタイルをご紹介しますので、ぜひお気に入りのスタイルを見つけてみてください。

-ミキシングのコツ