【音楽理論】フリジアンモードを使ったゲーム音楽を解説! 前編【映像音楽】
今回は、8-bit Music Theoryが解説する「恐怖を与えるフリジアンモード」をまとめてみました。
この記事では前編として、「フリジアンモードの基礎」「フリジアンを使ったゲーム音楽」を4曲ご紹介していきます。
「そもそもフリジアンモードって何?」「モードを使った作曲にチャレンジしたい!」という方には必見の内容です!
当記事「前編」でご紹介する楽曲↓
・「ファイナルファンタジーVI」より「ガストラ皇帝のテーマ」
・「ファイナルファンタジーVII」より「バトルテーマ」
・「Zoombinis」より「Zoombiniville」
「後編」でご紹介する楽曲↓
・「二ノ国2」より「別れ」
・「カエルの為に鐘は鳴る」より「エンディングテーマ」
・「ポケットモンスター赤・緑・青」より「トレーナーバトルのテーマ」
・「キングダムハーツ」より「ホロウバスティオンのテーマ」
・「スーパーメトロイド」より「赤土湿地エリア」
後編はこちら↓
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フリジアンモードとは?
フリジアンモードの特徴を一言で言うと「恐怖」です。
フリジアンスケールはマイナースケールの2番目の音を♭にしたもの(♭II)で、「1,♭2,♭3,4,5,♭6,♭7」となります。
例えばCフリジアンスケールは、下の画像のようになります。
スケールを弾いてみるとこのようになります。
特に♭IIの音が特徴的なので、フリジアンモードらしさを出せる音=特徴音は「♭II」の音になります。
そしてこの音が、「怖い印象」をもたらします。
この特徴から、フリジアンモードはホラー映画やゲームのボス戦、敵陣地に侵入した時のBGMに使われることが多いです。
映画「Jaws(ジョーズ)」のメインテーマでも使われている
例えば、ジョン・ウィリアムズが音楽を担当した映画「Jaws」のメインテーマはフリジアンモードが使われています。
楽曲中はずっと「1→♭2」の動きが使われています。
フリジアンを使ったゲーム音楽:クロノトリガー「魔王のテーマ」
最もわかりやすいフリジアンモードを使ったゲーム音楽の例として、「クロノトリガー」の「魔王決戦」が挙げられます。
メロディーがまさにEフリジアンスケールに沿って動いています。
それでは、楽譜に沿って聞いてみましょう。
この次は、6/8拍子でとても熱狂的なシンコペーションを使ったフレーズが出てきます。
フリジアンモードを使うことで、まさに「魔王との決戦」のように、強敵に苦しみながらも必死に戦うようなサウンドにすることができます。
ちなみにこの楽曲は非常によく作られており、1・3・5小節目の1拍目にはスケールの1、もしくは5の音が来ており、強拍にキーポイントとなる音が来るようになっています。
ベースラインも1・3小節目に1が来るようになっています。
キーポイントとなる音(1と5)の間に♭2を入れることで、しっかりフリジアンモードらしさを出しながら、収まりがよくなるように音程を調整しています。
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フリジアンを使ったゲーム音楽:ファイナルファンタジーVI「ガストラ帝国のテーマ」
次も強敵に立ち向かう姿を音楽で表した例で、ファイナルファンタジーVIの「ガストラ帝国のテーマ」です。
この曲はCマイナーキーですが、はじめにルート(1)から5へ上ったあと、フリジアンの特徴音である♭2を経過音として一瞬だけ使い、ルートへ解決するというメロディー・コードになっています。
とても力強いメロディーラインですが、♭2の特徴音を使うことで、しっかりフリジアンらしさが出ています。
「2」を「♭2」にするとどのような効果があるのか?
通常のメジャースケールやマイナースケールにおいて、2の音は「トニックに行きたくなる音」としてよく扱われます。
例えばGマイナースケールでGmコード+メロディーで2(A)を弾くと、メロディーは自然に1(G)に行きたくなります。
しかしこの2の音を半音下げて♭2にすると、全音移動ではなく半音移動になるため、さらに強烈に「トニック(1)に行きたい」という気持ちにさせます。
そしてこの半音移動が、全音移動よりもダークな雰囲気を出しているのです。
マイナーキー・マイナーコードにフリジアンをプラスして更に強調する
マイナーキーやマイナーコードだけを使うだけでも、十分ダークな雰囲気を出すことができます。
しかし、それだけでなくフリジアンを取り入れることで、ルート音へ半音移動した際に強い解決感を得られるため、この怖い雰囲気をより強調することができるのです。
フリジアンを使ったゲーム音楽:ファイナルファンタジーVII「バトルテーマ」
次もバトルBGMの例で、ファイナルファンタジーVIIより「バトルテーマ」です。
この曲は最初に強烈なストリングスのStabが鳴り、Fmコードを演奏しながらメロディーとベースライン両方で♭2の音を使い、♭2の後はルート(F)に解決しています。
基本的にはFフリジアンをベースにしながら曲が進んでいきますが、途中でホーンセクションのメロディーになった瞬間にFマイナースケールに変わります。
このFフリジアンのセクションとFマイナーのセクションを交互に繰り返すことで、Fマイナーの時は少し軽い感じの印象になり、Fフリジアンの時はバトルらしい力強さや緊張感を出しています。
このように、フリジアンモードはその特徴から、さまざまなバトル曲に使われています。
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フリジアンを使ったゲーム音楽:Zoombinis 「Zoombiniville」
次にご紹介するのは、「Zoombinis」のテーマ曲「Zoombiniville」です。
特に欧米では子供の時にプレイしたことがある人も多いと思いますが、実はこのゲームのテーマ曲にもフリジアンモードが使われています。
メロディーが「D→G→E♭」と移動し、そこから♭6に上がった後は♭2に降り、最後に1に解決するという流れです。
最初の「D→G→E♭」のフレーズは、ベースラインで繰り返し演奏されます。
E♭が2、Dが1ですので、♭2→1の動きが常に繰り返されることになります。
フリジアンを使うことで、見知らぬ地を冒険していくときの恐怖感や怪しさがよく表れています。
以上で前編の解説は終了です!
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