【DTM&MIX】プロが教えるリバーブの「Pre Delay」の上手な使い方

【DTM&MIX】プロが教えるリバーブの「Pre Delay」の上手な使い方

今回は音楽プロデューサーのMarc Daniel Nelsonが教える「リバーブのパラメーター”Pre Delay”の使い方」をまとめました。

多くのリバーブプラグインにある「Pre Delay」のパラメーターですが、これを上手に活用する方法とは一体何なのでしょうか?

ここからは、海外プロが実際に使っているテクニックを交えて解説します!

The Mystery of Predelay, SOLVED!

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Pre Delay(プリディレイ)とは?

リバーブの「Pre Delay」の上手な使い方

リバーブにおけるPre Delayとは、リバーブをかけた対象の音が鳴った後、どれぐらい早くリバーブ音を鳴らし始めるか?を設定するものです。

例えばボーカルに対してPre Delayを100ミリ秒に設定した場合、ボーカルが歌い始めてから100ミリ秒後にリバーブ音が鳴るようになります。

こうすると、もともとのボーカルの音とリバーブ音にズレが出る=被らなくなるので、ボーカルが前に出てリバーブ音が後ろに下がったようなイメージになります。

多くのオーディオエンジニアが、このPre Delayの設定の違いを使って「距離感」「サイズ感」を上手に調整しています。

数字ではなく耳で聞いて感じ取ろう

リバーブの「Pre Delay」の上手な使い方

僕(Marc)が教わったのは、「曲のBPMと合うようにPre Delayを数字的に正しく設定する」ということです。

しかし、僕はそもそも数学が好きではないですし、音楽のようにクリエイティブなことを表現・説明するのに数字を使うことに抵抗があります。

音楽は宿題ではないのですから、楽しくあるべきですよね。

そのため、今回は「Laura T. Lewis」の「Old Gray Pine」という曲を聞いて、数字ではなく感覚でPre Delayをどう感じるか、どのように設定するべきなのかを見てみましょう。

Old Grey Pine

Pre Delayを上手に使っている例を聞いてみよう

この曲はとてもパワフルで素晴らしいボーカルと、Pre Delayを使って深みや広がりのあるサウンドにしているのが特徴です。

Pre Delayを75ミリ秒から120ミリ秒あたりで調整していますが、上手に調整しているので、ボーカルとリバーブがしっかり分けながら、曲にもしっかり馴染んでいます。

まず、はじめは「ボーカルがしっかり前にいて、リバーブはボーカルとしっかり分けられながら、リバーブのおかげで奥行き・3Dを感じる」というイメージを感じ取ってみましょう。

The Mystery of Predelay, SOLVED!

聞いてみると、それぞれの楽器がしっかり自分のスペースを持っており、まとまりや統一感を感じます。

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Pre Delayの設定の仕方

リバーブの「Pre Delay」の上手な使い方

このようにボーカルとリバーブ音をしっかり分けながら音全体に統一感を持たせるには、まず「ボーカルに対して理想の位置にリバーブ音が来るように、Pre Delayを設定する」ということが必要です。

ボーカルのかなり後ろの方にリバーブ音をズラしたいということもありますし、かなり近くリバーブ音を置きたいということもあると思います。

Pre Delayは「DryとWetのタイムラグ」

Pre Delayの役割を説明する言い方として、

「Wet Source(エフェクトがかかった後の音)とDry Source(エフェクトがかかる前の音)を分ける。この2つの間にどれだけのタイムラグを持たせるか?」

というものがあります。

15年ぐらい前にこれを聞いたときは、衝撃でした。

僕が感じていた奥行きに関する説明を、見事なまでに表現していたからです。

どんなにショボいリバーブプラグインだったとしても、Pre Delayを調節すれば一気にプロ並みのサウンドに、そして3D・奥行きを感じさせることも可能なのです。

Pre Delayのオートメーションを使おう

では次に、Verseからサビに行く部分を聞いてみましょう。

ここではPre Delayを122ミリ秒に設定していますが、曲によってPre Delayの値をオートメーションを使って変えることもあります。

The Mystery of Predelay, SOLVED!

ここで行っているのは、他の楽器も後ろで演奏しているように聞かせるということです。

この曲ではギターはドライに聞かせるようにしていますが、Pre Delayの値を変えるとステレオイメージや奥行き感が変わり、ギターの聞こえ方にも違いが出てくるのです。

試しに122ミリ秒から始めて、いろいろな値に設定してみましょう。

The Mystery of Predelay, SOLVED!

いろいろな値を試してみると、値によってはやりすぎ・合っていないように聞こえるため、その曲にとってのスイートスポット(ベスト)を探すため、いろいろな値を試してみるとよいことがわかります。

しかし、Verseではやりすぎ・合っていないように聞こえることがあっても、サビだと綺麗にマッチすることがあるので、曲の展開によってもPre Delayのスイートスポットが変わります。

実際にこの曲では、最初からラスサビまでを120ミリ秒に設定し、最後には350ミリ秒までオートメーションで変えています。

↓120ミリ秒から300ミリ秒までオートメーションで変化させた例

The Mystery of Predelay, SOLVED!

リバーブはPad系サウンドとしても使える

Pre Delayが短いほど、ボーカルがよりフラットに聞こえます。

リバーブによる空間・奥行きが少なくなるので、ドラムなどの他の楽器がよりスペースを確保できるようになります。

逆にPre Delayが長いと、Padのような役割になります。

ギターやベースのように音を伸ばすことが難しい楽器や奥行きを出すのが難しいがいる場合は、このPad系サウンドによって音が伸び、奥行きも出すことができます。

この曲の場合は120ミリ秒がちょうどよかったのですが、試しに50ミリ秒も試してみましょう。

The Mystery of Predelay, SOLVED!

悪くはないのですが、120ミリ秒と同じようなサウンドには聞こえません。

120ミリ秒の方が、空中できらめいているような、動いているようなサウンドになります。

Pre Delayの設定は「楽しんで」

Pre Delayを設定するときは、ぜひ楽しみながら行ってください。

今回の曲は120ミリ秒がちょうどいい、という例でお伝えしましたが、だからといって常に120ミリ秒に設定すればいいというわけではありません。

僕らは数学者ではありませんし、音楽を作っているのですから、数字で考えるのではなく、数字を覚えるのではなく、感情を音楽で表したり、音楽を作ることを楽しんでください。

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「Pre Delay」の上手な使い方まとめ

・Pre Delayはシンプル
・PreDryとは、Dry音とリバーブ音のディレイ
・数字で決めるのではなく、耳で聞いて決めよう

当サイトでは、他にもリバーブの使い方やテクニックについて多数ご紹介しています。

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