【MIX】バックグラウンドボーカルのミックステクニック【音抜けバツグン】
- 2024.06.26
- 2024.11.27
- ミキシングのコツ
今回は、Mix Like A ProのMarc Daniel Neisonが教える「バックグラウンドボーカルのミックスで最も重要なこと」をまとめました。
今回ご紹介するのは、メインボーカルをしっかり前に出し、メインボーカルを邪魔しないようにバックグラウンドボーカルをその後ろに置くためのテクニックです。
この方法を使うと、メインボーカルだけでなくパーカッションなどの他の楽器を邪魔しない、美しいミックスをすることができるようになります。
長年プロとして活躍するMarc本人が「この方法に気づいたあと、ミックスにかける時間がものすごく減った」と話しているほど重要なテクニックですので、ぜひ最後までご覧ください。
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バックグラウンドボーカルに最も重要なのは「〇〇を使った〇〇」
はじめに結論をお伝えすると、バックグラウンドボーカルに最も重要なのは「ディエッサー」です。
しかし、ただのディエッサーではなく「サイドチェインを使ったディエッサー」であることがポイントです。
今回は、僕の友人のAndrew Bergtholdと製作した「Just Kids」という楽曲を例に解説していきます。
マルチバンドコンプを使ったディエッサー
この曲ではメインボーカルに加えてビッグなバックグラウンドボーカルもあり、他の楽器もたくさんあり、一度にたくさんの音が鳴っている状態です。
ボーカルがたくさんいるのでSの子音もたくさん鳴っていますし、パーカッシブなサウンドもたくさんあるため、はじめは「うるさい」「メインボーカルに集中できない」という状態でした。
例えば「stop」という歌詞があれば、15人の人間が一斉に「stop」と発音するので、Sの子音が強すぎるのです。
そのため、「バックグラウンドボーカルのBusにマルチバンドコンプを挿し、サイドチェインの対象をリードボーカルに設定し、リードボーカルのSの成分が強くなったときに、バックグラウンドボーカルのSの成分を抑える」という設定します。
それではまず、この処理を行った実際の音を聞いてみましょう。
2:30~3:14
実際に使っているプラグインはこのようになっています。
※左がバックグラウンドボーカルのBus、右がリードボーカルのBus
※バックグラウンドボーカルのBusに使っているマルチバンドコンプ(ディエッサー用)
お聞きいただいた通り、たくさんの楽器が一度に鳴っていて、適切に処理しないとメインボーカルがしっかり真ん中&前にいるように聞こえなくなったり、位相のズレが起きてしまうようなアレンジです。
そのため、高音域(5kHz以上)だけにかかるマルチバンドコンプをバックグラウンドボーカルに対して使っています。
この曲の場合、中音域は必要なだけ出ていてあまり抑えたくないので、高音域にだけマルチバンドコンプをかけるだけで十分です。
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サイドチェインの対象は「リードボーカルのBus」ではなく「リードボーカルのトラック」
ここでポイントが1つあります。
サイドチェインの対象は「リードボーカルのBus」ではなく「リードボーカルのトラック」に設定することです。
下の画像の通り、バックグラウンドボーカルのマルチバンドコンプのサイドチェイン対象は「Bus3」にしています。
この「Bus3」は何かというと、リードボーカル(男性)のトラックです。
ここにディエッサー(Fabfilter社 Pro-DS)も使っています。
リードボーカルのBusではなく、リードボーカル単体のトラックをサイドチェインの対象にしているのは、その方が音がしっかり前に出て、しかも早く反応するからです。
それでは、実際にマルチバンドコンプの動きを見てみましょう。
リードボーカルのSの成分が強くなった時に、マルチバンドコンプがしっかり動いていることがお分かりいただけると思います。
4:46~4:54
リードボーカルとバックグラウンドボーカルだけで聞いてみましょう。
マルチバンドコンプをバイパスにすると、バックグラウンドボーカルが少しうるさく感じます。
5:01~5:50
特に「Promise that you say」という歌詞のとき、このマルチバンドコンプがあるときはリードボーカルがしっかり前に聞こえることがわかります。
6:22~
ディエッサーにサイドチェインを使わないデメリット
バックグラウンドボーカルのBusには別のディエッサー(Waves社 DeEsser)も使っていますが、こちらは出過ぎたところを少し抑える程度に設定しています。
ここでサイドチェインを使わずにしっかりディエッサーをかけてしまうと、リードボーカルのSの成分が少ないときにボーカル全てのSの成分が弱くなってしまうからです。
リードボーカルのSの成分が弱くなったとき(歌っていない時など)、バックグラウンドボーカルに十分なSの成分があればバックグラウンドボーカルが代わりにしっかり映えますので、音抜けがよくなります。
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上手にダッキングしよう
今回ご紹介したテクニックはいわゆる「ダッキング」で、リードボーカルがいるときはバッキンググラウンドボーカルは後ろに下がり、リードボーカルがいないときはバッキンググラウンドボーカルが少し前に出るというものです。
このテクニックを使えば、必要なときに必要な音がしっかり聞こえるようになります。
以上で解説は終了です。
当サイトでは他にも「ボーカルMIXテクニック」についての解説記事を掲載していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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