【音楽理論】ミクソリディアンモードを使ったゲーム音楽を解説! 後編【映像音楽】
今回は、8-bit Music Theoryが解説する「ミクソリディアンモードを使ったゲーム音楽」をまとめました。
ゼルダの伝説、ファイナルファンタジー、ポケモン、マリオなど、ゲーム音楽にはミクソリディアンモードを使った楽曲が数多くあります。
「モードを使った作曲にチャレンジしたい!」「もっとモードを使いこなせるようになりたい!」という方には必見の内容です!
今回は後編として、下記の楽曲を紹介・解説しています↓
・「MOTHER2 ギークの逆襲」より「カオスシアター」
・「パイロットウィングス64」より「セレクト画面」
・「ファイナルファンタジー6」より「エピタフ」
・「クロノトリガー」より「ガルディア王国千年祭)」
前編はこちら(ミクソリディアンモードとは?についても冒頭で解説しています)
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ミクソリディアンを使ったゲーム音楽:クロノクロス「マブーレ ホーム」
はじめにご紹介したいのが、「クロノクロス」の「マブーレ ホーム」です。
メロディーはミクソリディアン(♭7th)を使いながら、コードは常にGメジャーコードを使い、軽快かつ古風なイメージを演出しています。
ブルースな雰囲気を出せる?
基本的にメジャーコードの上にミクソリディアンを使うときは、ブルーな雰囲気を出すために使われることが多いです。
「ブルースの雰囲気を出す音使い」といえば、ブルーノートを思い浮かべる人も多いでしょう。
ミクソリディアンと同様に、ブルーノートも♭7thが使われているため、ブルーノートを使った時のようなブルースの雰囲気が、ミクソリディアンの時にも現れるのです。
ミクソリディアンを使ったゲーム音楽:MOTHER2 ギークの逆襲「カオスシアター」
「MOTHER2 ギークの逆襲」の「カオスシアター」のテーマ曲では、この「ブルーな雰囲気を出す」という用途で♭7thが使われています。
♭7thや♭3rdの音の時に少しシャープにピッチベンド(音程をクイッと上げる/下げる)をしているのもポイントです。
今回のテーマであるモードではありませんが、ブルーノートを使うことで似たようなイメージの変化を与えることができる良い例です。
ミクソリディアンモードを使うときのコード作成のしかた(モーダルコード)
ミクソリディアンモードを使う時にコードを作成する場合は、他のメジャースケールでは見られない、モード(スケール)の中で特徴的な音を使ってコードを作成するとよいでしょう。
※正確に言うとモード音楽にコード・ハーモニーは存在しませんが、モードを使って調性音楽のようなコード=モーダルコードを使用する場合を指しています
例えばGミクソリディアンスケールなら、BとF(メジャー3rdと♭7th)を使い、G7(G,B,D.F)を使うとよいでしょう。
この場合のG7のようなドミナント7thであれば、トニック(C)に向かいやすくなりますので、その点でも音楽を作りやすくなるでしょう。
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ミクソリディアンを使ったゲーム音楽:パイロットウィングス64「セレクト画面」
そのモードらしさを出せるコードをキープし続けることで、よりモードの雰囲気を出す方法もあります。
「パイロットウィングス64」の「セレクト画面」のテーマ曲ではこの手法が使われており、ドミナントコードをしばらくの間キープし、よりミクソリディアンらしさを出しています。
実際に聞いてみると、前編でもお話した「少し気の抜けた感じ」があることがわかります。
今では「モード」というよりも「ブルーノート(ブルーサウンド)」として聞かせたい・聞く場合が多くなってきました。
例えば、このパイロットウィングス64のテーマ曲のクラヴィネットのソロパターンにおいても、ブルーノートやブルースでよく使われる音がたくさんあります。
(半音上がる/下がる装飾音、♭VII→IではなくVI→Iの解決、メジャーブルースの利用、♭VII→VII→Iのファンキーな移動)
マイナーブルーススケール:1,♭3,4,#4,5,♭7
これもまたミクソリディアンではなく、ブルースをルーツに持つファンクで使われる音使いですが、これもまた♭7thが多用されている例です。
ミクソリディアンを使ったゲーム音楽:ファイナルファンタジーVI「エピタフ」
次にご紹介するのは、「ファイナルファンタジーVI」の「エピタフ」のテーマ曲です。
先ほどまでの「気の抜けたマヌケな感じ」とは違う、「非常にほろ苦いサウンド」の例です。
ミクソリディアンモードで「ほろ苦いサウンド」を作る方法
前編でもお伝えした通り、ミクソリディアンモードでは7thがフラットになるため、例えばGミクソリディアンモードの場合はG→Fという動きが多用されます。
これを応用し、今度は同じF(♭7th)を含むコードを使ってみます。
例えば、FではなくDマイナーコードです。
GメジャーコードならDメジャーコードになるところですが、ミクソリディアンのときは♭7thになるため、Dマイナーコードとなります。
この「エピタフ」のテーマ曲でも、「I→Vm」の動きで、メジャーキーの雰囲気はありつつも、どこか哀愁漂う雰囲気になっています。
まさに「ほろ苦い」イメージになります。
それではこれらを踏まえて、楽譜を見ながら聞いてみましょう。
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ミクソリディアンを使ったゲーム音楽:クロノトリガー「ガルディア王国千年祭」
先ほどの「エピタフのテーマ」と同じパターンが、「クロノトリガー」の「ガルディア王国千年祭」でも使われています。
軽快な6/8拍子のリズムとアップビートが、Vコードのマイナー感を上手に隠しています。
しかしほんの少し「ほろ苦さ」が残るので、「単純に軽快で安っぽい感じ」と「苦さ」のギリギリのラインを責めており、ほどよい塩梅になっています。
先ほどご紹介した「クロノクロス」の「マブーレ ホーム」の古風さと同様に、こちらもまさにゲーム中の設定である「中世」もよく表現できています。
ミクソリディアンモードを使ったゲーム音楽の総まとめ
このシリーズでは、ミクソリディアンモードを使ったゲーム音楽を多数ご紹介しました。
とても盛りだくさんの内容でしたが、ミクソリディアンモードを使って楽曲にさまざまなバリエーションが加えられることをご理解いただけたかと思います。
また、ゲームの内容やシーンをご覧いただいて分かる通り、ドリアンモードには非常に様々な使い方があり、多種多様な雰囲気を作ることができます。
・ほろ苦い雰囲気
・冒険のワクワク感
当サイトでは他のモードについてもゲーム音楽をベースに解説していますので、ぜひ併せてご覧ください↓
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