【音楽史】ドラムの歴史 Part10【ビーバップとライドシンバル】
- 2020.03.12
- 2024.08.18
- 用語解説・音楽ジャンル
昔のドラムってどんな感じだったんだろう?
このような疑問にお答えする内容です。
今回はPart10として、ビーバップとライドシンバルの歴史を中心に振り返ります。
Part1:ドラムの歴史のはじまり(1865年ごろ)
Part2:ラグタイムの時代
Part3:ドラムペダルの進化
Part4:ドラムブラシの誕生
Part5:ジャズとフィルインのはじまり
Part6:フィルインとシカゴスタイルのドラム
Part7:フォリーとシアタードラマー
Part8:ビッグバンドの時代
Part9:Gene Krupaと「Sing Sing Sing」
Part10:ビーバップとライドシンバル
Part11:リズム&ブルース・シャッフル・バックビート
Part12:ツーバス・ダブルバスドラムの誕生
Part13:ロカビリーのはじまり
Part14:ロックンロールのはじまり
Part15:ビートルズとマッチドグリップの誕生
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1941年ごろのドラマーは「さらなる高み」を目指していた
これまでは、ジャズはダンスミュージックの1つとして考えられていました。
しかし、この頃から少しずつ新しい考え方が生まれてきます。
多くのジャズミュージシャン(特にアフリカ系アメリカ人)たちは、ただ踊る人たちのために演奏することよりも、もっと大事なことがあるのではないかと考えるようになりました。
これは、必ずしもミュージシャンたちが満足できるものではなかったからです。
彼らは、もっと演奏して、もっと経験を積んで、もっとジャズを推し出したい、そう思っていました。
「ビーバップ」の誕生
そこに現れたのが、ビーバップです。
1940年初期、「ビーバップ」とよばれる、即興をベースにしたスタイルが生まれました。
ミュージシャンたちは昔のスタンダードであったスタイルを利用し、メロディーをリライトするなどして、音楽をより複雑にし始めたのです。
初期ビーバップにおいては、Mad RoachやKenny Clarkなどのドラマーが有名です。
彼らは両方ともスイングドラマーでしたが、その時はまだマーチングドラムのように大きなバスドラムが使われており、低音が非常に大きくブーンと鳴ることにうんざりしていました。
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ライドシンバルを使い始める
大きなバスドラムと「ブーン」と大きく鳴る低音にうんざりしていたドラマーたちが考えたのが、「より小さなバスドラムを使う+さらに小さなシンバルを使う+逆により大きなシンバルを使う」という考え方です。
「小さなシンバル」というのは、現代のスプラッシュシンバルのようなシンバルです。
「より大きなシンバル」は、今で言う「ライドシンバル」と呼ばれるものにあたります。
これらのシンバルをタムやバスドラム、ハイハットなどの上に置くようになりました。
このように新たな楽器を付け加えることで、よりメロディックなドラムになると考えたのです。
このスタイルは、やがて「ビーバップ」というスタイルそのものを確立するものになりました。
ドラマーたちは、ただ「人々を踊らせるためのドラム・音楽」ではなく、「芸術」としてドラムを叩くようになったのです。
ビーバップスタイルのドラミング↓(3:12~)
ビーバップドラミングの特徴
前述の通り、ビーバップ時代のドラマーたちは、以前のドラムスタイルをベースとし、ただリズムを刻むだけではなく、よりメロディックに、複雑に演奏したいと考えていました。
では、以前と比べてドラミングはどのように変わっているでしょうか?
実際に演奏して聴き比べてみましょう。
まず、スイング時代のドラミングはこちら。
バスドラムは四つ打ちで、メロディーは「まぁまぁ掴める」という感じです。
4:40~5:00
これに対し、ビーバップスタイルのドラミングを見てみましょう。
バスドラムはより小さいものになり、シンバルはライドシンバルを含む大きなものから小さなものまであります。
スネアはヘッドをキツめに締めてあります。
5:40~5:57
このように、ビーバップではドラムによりたくさんの種類の楽器を使うことで、ドラマーがメロディーラインを奏でることができたのです。
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