【音楽史】ベースの歴史【ウッドベース・エレキベース・シンセ】

【音楽史】ベースの歴史【ウッドベース・エレキベース・シンセ】
ベースってどういう歴史があるの?
何年ごろにエレキベースができて、いつからシンセベースが使われ始めたんだろう…?

今回はこのような疑問にお答えする内容です。

collectivecadenzaが解説・演奏する「ベースの歴史」をまとめました。

およそ500年に渡るベースの歴史を、当時使われていた楽器を用いて演奏しながら解説します。

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

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1500年代ごろ:ビオラ・ダ・ガンバ


画像:動画より

最初は、ビオラ・ダ・ガンバという楽器が現在のベースに近い楽器でした。

1500年ごろに誕生した楽器で、ベースの祖先にあたる楽器です。

0:20~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Bach – Cello Suite No.2 i-Prelude

Bach – Cello Suite No. 2 in D Minor BWV 1008, Prelude; Eva Lymenstull, original baroque cello 4K

1600年ごろ:コントラバス


画像:動画より

それから100年後、さきほどのガンバは「コントラバス」に進化します。

0:39~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Gary Karr, Dragonetti Double-Bass Concerto in A major

Gary Karr, Dragonetti Double-Bass Concerto in A major

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1700年ごろ:アンダーハンドグリップとジャーマン・ボウ

Domenico Dragonettiというイタリア人が、1700年代における有名なベース奏者でした。

あのハイドンやベートーベンも「彼は素晴らしい」と絶賛していたそうです。

そしてこの頃は、ジャーマングリップ(アンダーハンドグリップ)という持ち方で演奏され、「ジャーマン・ボウ」という種類の弓が使われていました。
ジャーマングリップ(アンダーハンドグリップ):手の甲を楽器側に向けて弓を持つ持ち方)

ベースの歴史・フレンチボウ・ジャーマンボウ
https://gollihurmusic.com/french-or-german-bow-which-should-i-choose/
ベースの歴史・フレンチボウ・ジャーマンボウ
https://www.simplyforstrings.com.au/blogs/news/french-and-german-double-bass-bows-whats-the-difference

0:46~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

ジャーマン・ボウを使った演奏スタイル

Double Bass German Bow Hold

1800年後期:フレンチ・ボウ


画像:動画より

このころ、フレンチ・ボウという弓が誕生しました。

フレンチ・ボウを使う場合は、フレンチグリップ(オーバーハンドグリップ)で演奏されました。
フレンチグリップ(オーバーハンドグリップ):手の甲を客席側に向けて弓を持つ持ち方

ベースの歴史・フレンチボウ・ジャーマンボウ
https://gollihurmusic.com/french-or-german-bow-which-should-i-choose/
ベースの歴史・フレンチボウ・ジャーマンボウ
https://www.simplyforstrings.com.au/blogs/news/french-and-german-double-bass-bows-whats-the-difference

フレンチ・ボウを普及させた人物は、Giovanni Botessiniというイタリアの音楽家です。

1:04~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Giovanni Bottesini Concerto for Double Bass No 2 in B Minor

Giovanni Bottesini Concerto for Double Bass No 2 in B Minor

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1900年初期:「4弦ベース」が普及する

このころになると、4本の弦を使ったベースが定番となります。

この4弦ベースは、ロシアの音楽家・Serge Koussevitzkyが広めました。

Serge Koussevitzky Bass Concerto in E major, op. 3

Serge Koussevitzky – Double Bass Concerto | MARC ANDRÉ, Junge Philharmonie Zentralschweiz

1920年代:ジャズとプラックスタイル

1920年代になるとジャズが現れ、演奏者たちは強く弦を弾く「プラック」の奏法を開発しました。

1:43~の演奏は、俗に言う「ツービート」で、マーチにおけるチューバを思い出させるベースラインです。

1:43~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

DINAH Akst, Lewis, Young(1925)

DINAH (Akst, Lewis, Young – 1925)

1:59~の演奏は、各拍に4分音符で音を鳴らす「ウォーキングベース」という手法が使われています。

ツービートの後に生まれた奏法で、Wellnman Braudというアメリカのジャズベーシストが開発しました。

1:59~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

ウォーキングベース

TRANSCRIPTION Nicki Parrott walking bass on some Rhythm Changes

Duke Ellington – It don’t mean a thing

Duke Ellington – It don't mean a thing (1943)

そして、ベースはアメリカのジャズベーシスト Jimmy Blantonのおかげもあり、ジャズにおいてスポットライトを浴びる存在となります。

このベースソロを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

2:06~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Oscar PettifordやCharles Mingus、Paul Chambers、など、他のソリストたちも非常に人気でした。

Duke Ellington – Jack the Bear

Duke Ellington – Jack the Bear

Oscar Pettiford – Tricotism

Tricotism

Charles Mingus – Better Get It In Your Soul

Charles Mingus – Better Get It In Your Soul

Miles Davis – So What

Miles Davis – So What (Official Audio)

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1950年代:カントリーミュージックとロカビリー

一方で、カントリーミュージックでもベースが使われ始めます。

アメリカのベーシストFred Maddoxは、「ロカビリー」という音楽スタイルを作り出す「スラップ奏法」を使い始めます。

2:32~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Maddox Brothers & Rose – Paul Bunyan Love

Maddox Brothers & Rose – Paul Bunyan Love (1956)

1950年代終わり:エレクトリックベースの誕生


画像:動画より

そして1950年代終わりには、ついにエレクトリックベースが誕生します!
(以下:エレキベース)

アメリカの開発者Leo Fenderによって、1951年に使われたのがはじまりと言われています。

そう、あの大人気ブランド「Fender」の創始者です!

2:45~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

しかし、Lionel HamptonのバンドでベーシストだったMark Montgomeryぐらいしかエレキベースを使う人はいなかったといいます。

Lionel Hampton & Clifford Brown – Blue Boy

Lionel Hampton & Clifford Brown – 1953 – Oh, Rock! – 08 Blue Boy

1960年代:モータウン

1960年代になると、「モータウン」とよばれるアメリカのデトロイトで開業したレコード会社「モータウンレコード社」が生み出した、ポップな黒人音楽が流行します。

この音楽にはエレキベースが使われていました。

セッションプレイヤーのJames Jamersonは、8分音符をベースとした8ビートを用いて、より「ドンドン」と鳴るようなサウンドに仕上げていきました。

3:00~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Uptight – Stevie Wonder

Uptight – Stevie Wonder

The Marvelettes – Please Mr. Postman

The Marvelettes – Please Mr. Postman (1961)

Ashford & Simpson – Ain’t No Mountain High Enough

Ashford & Simpson – Ain't No Mountain High Enough (Live 1989)

ロックンロール

そしてついに、ロックンロールの時代がやってきます。

「マッシュルームカット」が特徴のベースプレイヤーやシンガーたちは、ベースギターを重要なポジションとして見るようになったのです。

3:12~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

George Harrison – Taxman

Taxman (Live In Japan, 1991 / 2004 Mix)

そして、ロックとファンクのグルーヴが人気を高めていきます。

ジャクソン5が歌う、Gordy Perren Mizelland Richards作曲の「I WANT YOU BACK」などもこの頃です。

ここから、ベースはバンドにおいて重要な役割を担っていきます。

3:27~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

I want you back – The Jackson 5

I want you back – The Jackson 5 (music and lyrics)

James Brown – I Feel Good

James Brown – I Feel Good

そしてベースプレイヤーたちは、新しいテクニック・奏法を開発し始めます。

たとえばJohn Entwistleの「フィンガープラック奏法」、Larry Grahamの「スラップ奏法」です。

3:36~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

The Who – My Generation

The Who – My Generation

Sly & The Family Stone – Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)

Sly & The Family Stone Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin) HQ Audio

1970年代:多くのベースラインの誕生

非常にたくさんの耳に残るベースラインが、1970年代ごろに生まれました。

ベーシストのNathan Watts、John Paul Jones、Chris Squire、Roger Waterなどが有名です。

3:57~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Stevie Wonder – Sir Duke

Stevie Wonder – Sir Duke [HD]

Led Zeppelin – Black Dog

Led Zeppelin – Black Dog (Live at Madison Square Garden 1973) (Official Video)

Yes – Roundabout

Roundabout (2003 Remaster)

Pink Floyd – Money

Pink Floyd – Money (Official Music Video)

よりエピックに…ジャズ・フュージョンの影響

そして、どんどんサウンドはエピックになっていきます。

メインストリーム音楽におけるファンキーなベースラインは、ジャズ・フュージョンの影響を受けていました。


画像:動画より

あのロングヘアが特徴のJaco Pastoriusは、ネックにあるフレットを剥ぎ取り、新しいベースを誕生させたのです。

Jaco Pastorius – A Portrait Of Tracy

Jacoはアップライトベースの音をエレキベースで再現しようとしましたが、これは見事な温かみとアコースティック感のあるサウンドでした。

4:24~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Led Zeppelin – The Ocean

Led Zeppelin – The Ocean (Live at Madison Square Garden 1973)

Jaco Pastorius – Teen Town

Jaco Pastorius – Teen Town

1980年代:ディスコ・ダンス


画像:動画より

1970年代から1980年代に移ると、ディスコ・ダンスの時代がやってきます。

ベースにとっては、まさに「黄金時代」と言えるでしょう。

The Commodores – Brick House

The Commodores-Brick House

Parliament – FLASHLIGHT

FLASHLIGHT-Parliament (Guardians of the galaxy)

Cheryl Lynn – Got To Be Real

Cheryl Lynn: Got To Be Real (Lynn, Paich, Foster, 1978)

Boogie Oogie Oogie – A Taste Of Honey

A Taste Of Honey Boogie Oogie Oogie

メロディックなベースライン

そしてこの頃から、ポップスにおいてベースがメロディックなラインを弾くことがスタンダードになっていきます。

もっとも印象的なベースのサビ(Hook)には、これらの楽曲が挙げられます。

Chick – Good Time

Chic – Good Times (Atlantic Records 1979)

Queen – Another One Bites the Dust

Queen – Another One Bites the Dust (Official Video)

Rick James – Super Freak

Rick James – Super Freak (Official Music Video)

Queen – Under Pressure

Queen – Under Pressure (Official Video)

おそらく、みなさんにもなじみのある楽曲ばかりです。

5:01~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

また、5弦ベースもこの頃に普及し始めます。
(ちなみに最初に作られたのは1965年、Fenderの「Fender Bass V」がはじまりでした)


画像:動画より

Michael Jackson – Billie Jean

Michael Jackson – Billie Jean (Official Video)

1980年代中頃:シンセベース


画像:動画より

1980年代中頃からは、シンセベースが使われ始めます。

キーボードでシンセベースを弾く音楽がたくさん出始めました。

べースにとっては、実験的な時期であったと言えます。

5:50~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Oingo Boingo – Weird Science

Oingo Boingo – Weird Science

Eurythmics – Sweet Dreams

Eurythmics, Annie Lennox, Dave Stewart – Sweet Dreams (Are Made Of This) (Official Video)

a-ha – Take On Me

a-ha – Take On Me (Official Video) [Remastered in 4K]

新しい楽器の誕生


画像:動画より

そしてこの頃、新しい楽器が誕生し、さまざまなアーティストに使われ始めます。

たとえば「チャップマンスティック」(タッピングで発音する電子楽器)は、1970年代に発明されたものですが、1980年代にもよく使われました。

6:09~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

チャップマンスティック

AMS Exclusive Tony Levin Bass Performance – Chapman Stick

King Crimson – Elephant Talk live

King Crimson – Elephant Talk

King Crimson – Thela Hun Ginjeet

King Crimson – Thela Hun Ginjeet

また、NED STEINBERGERのベースもこの頃に誕生しました。


画像:動画より

NED STEINBERGERのベース

NS Design NXT4a – Bassiste Magazine – Quick Test
NS Design NXT4 Upright Bass

1990年代:多くのジャンルに大きな変化

1990年代になると、多くのジャンルにおいて大きな変化が訪れます。

ファンクの”ルネッサンス時代”は、このころFlea(レットホットチリペッパーズ)とともに訪れました。

またソロベースにおいては、Victor Wootenが傑作を残しています。

6:34~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Red Hot Chili Peppers – Around The World

Red Hot Chili Peppers – Around The World [Official Music Video]

Victor Wooten – Classical thump

Classical Thump

そして、またかつての「ベース論」が戻ってきます。

Edgar Meyerは、ブルーグラス(カントリーをベースとしたジャンル)とクラシック音楽で人気を博しました。

6:50~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Edgar Meyer- Froglike

Edgar Meyer plays Froglike

2000年代:シンセベースとテクノロジーの進化

テクノロジーが進化したおかげで、2000年代のベースは非常に”巨大なもの”になっていきます。

Native Instruments社の「Massive」などのシンセにより、ミュージシャンがダブステップやワブルベースなど、新しいサウンドを作り出せるようになりました。

7:09~

Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS – Episode 4)

Skrillex – Scary Monsters And Nice Sprites

Skrillex – Scary Monsters And Nice Sprites (Official Audio)

ベースの歴史まとめ

以上が「ベースの歴史」でした。

1500年代ごろ:ビオラ・ダ・ガンバ
1600年ごろ:コントラバス
1700年ごろ:アンダーハンドグリップとジャーマン・ボウ
1800年後期:フレンチ・ボウ
1900年初期:「4弦ベース」が普及する
1920年代:ジャズとプラックスタイル
1950年代:カントリーミュージックとロカビリー
1950年代終わり:エレクトリックベースの誕生
1960年代:モータウン、ロックンロール
1970年代:多くのベースラインの誕生、ジャズ・フュージョンの影響
1980年代:ディスコ・ダンス、メロディックなベースライン
1980年代中頃:シンセベース、新しい楽器の誕生
1990年代:多くのジャンルに大きな変化
2000年代:シンセベースとテクノロジーの進化

当サイトでは他にも楽器の歴史についてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓

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