【音楽史】ベースの歴史【ウッドベース・エレキベース・シンセ】
- 2020.02.09
- 2024.10.03
- 用語解説・音楽ジャンル
何年ごろにエレキベースができて、いつからシンセベースが使われ始めたんだろう…?
今回はこのような疑問にお答えする内容です。
およそ500年に渡るベースの歴史を、当時使われていた楽器を用いて演奏しながら解説します。
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- 1. 1500年代ごろ:ビオラ・ダ・ガンバ
- 2. 1600年ごろ:コントラバス
- 3. 1700年ごろ:アンダーハンドグリップとジャーマン・ボウ
- 4. 1800年後期:フレンチ・ボウ
- 5. 1900年初期:「4弦ベース」が普及する
- 6. 1920年代:ジャズとプラックスタイル
- 7. 1950年代:カントリーミュージックとロカビリー
- 8. 1950年代終わり:エレクトリックベースの誕生
- 9. 1960年代:モータウン
- 10. 1970年代:多くのベースラインの誕生
- 11. 1980年代:ディスコ・ダンス
- 12. 1980年代中頃:シンセベース
- 13. 1990年代:多くのジャンルに大きな変化
- 14. 2000年代:シンセベースとテクノロジーの進化
- 15. ベースの歴史まとめ
1500年代ごろ:ビオラ・ダ・ガンバ
画像:動画より
最初は、ビオラ・ダ・ガンバという楽器が現在のベースに近い楽器でした。
1500年ごろに誕生した楽器で、ベースの祖先にあたる楽器です。
0:20~
Bach – Cello Suite No.2 i-Prelude
1600年ごろ:コントラバス
画像:動画より
それから100年後、さきほどのガンバは「コントラバス」に進化します。
0:39~
Gary Karr, Dragonetti Double-Bass Concerto in A major
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1700年ごろ:アンダーハンドグリップとジャーマン・ボウ
Domenico Dragonettiというイタリア人が、1700年代における有名なベース奏者でした。
あのハイドンやベートーベンも「彼は素晴らしい」と絶賛していたそうです。
そしてこの頃は、ジャーマングリップ(アンダーハンドグリップ)という持ち方で演奏され、「ジャーマン・ボウ」という種類の弓が使われていました。
ジャーマングリップ(アンダーハンドグリップ):手の甲を楽器側に向けて弓を持つ持ち方)
0:46~
ジャーマン・ボウを使った演奏スタイル
1800年後期:フレンチ・ボウ
画像:動画より
このころ、フレンチ・ボウという弓が誕生しました。
フレンチ・ボウを使う場合は、フレンチグリップ(オーバーハンドグリップ)で演奏されました。
フレンチグリップ(オーバーハンドグリップ):手の甲を客席側に向けて弓を持つ持ち方
フレンチ・ボウを普及させた人物は、Giovanni Botessiniというイタリアの音楽家です。
1:04~
Giovanni Bottesini Concerto for Double Bass No 2 in B Minor
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1900年初期:「4弦ベース」が普及する
このころになると、4本の弦を使ったベースが定番となります。
この4弦ベースは、ロシアの音楽家・Serge Koussevitzkyが広めました。
Serge Koussevitzky Bass Concerto in E major, op. 3
1920年代:ジャズとプラックスタイル
1920年代になるとジャズが現れ、演奏者たちは強く弦を弾く「プラック」の奏法を開発しました。
1:43~の演奏は、俗に言う「ツービート」で、マーチにおけるチューバを思い出させるベースラインです。
1:43~
DINAH Akst, Lewis, Young(1925)
1:59~の演奏は、各拍に4分音符で音を鳴らす「ウォーキングベース」という手法が使われています。
ツービートの後に生まれた奏法で、Wellnman Braudというアメリカのジャズベーシストが開発しました。
1:59~
ウォーキングベース
Duke Ellington – It don’t mean a thing
そして、ベースはアメリカのジャズベーシスト Jimmy Blantonのおかげもあり、ジャズにおいてスポットライトを浴びる存在となります。
このベースソロを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
2:06~
Oscar PettifordやCharles Mingus、Paul Chambers、など、他のソリストたちも非常に人気でした。
Duke Ellington – Jack the Bear
Oscar Pettiford – Tricotism
Charles Mingus – Better Get It In Your Soul
Miles Davis – So What
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1950年代:カントリーミュージックとロカビリー
一方で、カントリーミュージックでもベースが使われ始めます。
アメリカのベーシストFred Maddoxは、「ロカビリー」という音楽スタイルを作り出す「スラップ奏法」を使い始めます。
2:32~
Maddox Brothers & Rose – Paul Bunyan Love
1950年代終わり:エレクトリックベースの誕生
画像:動画より
そして1950年代終わりには、ついにエレクトリックベースが誕生します!
(以下:エレキベース)
アメリカの開発者Leo Fenderによって、1951年に使われたのがはじまりと言われています。
そう、あの大人気ブランド「Fender」の創始者です!
2:45~
しかし、Lionel HamptonのバンドでベーシストだったMark Montgomeryぐらいしかエレキベースを使う人はいなかったといいます。
Lionel Hampton & Clifford Brown – Blue Boy
1960年代:モータウン
1960年代になると、「モータウン」とよばれるアメリカのデトロイトで開業したレコード会社「モータウンレコード社」が生み出した、ポップな黒人音楽が流行します。
この音楽にはエレキベースが使われていました。
セッションプレイヤーのJames Jamersonは、8分音符をベースとした8ビートを用いて、より「ドンドン」と鳴るようなサウンドに仕上げていきました。
3:00~
Uptight – Stevie Wonder
The Marvelettes – Please Mr. Postman
Ashford & Simpson – Ain’t No Mountain High Enough
ロックンロール
そしてついに、ロックンロールの時代がやってきます。
「マッシュルームカット」が特徴のベースプレイヤーやシンガーたちは、ベースギターを重要なポジションとして見るようになったのです。
3:12~
George Harrison – Taxman
そして、ロックとファンクのグルーヴが人気を高めていきます。
ジャクソン5が歌う、Gordy Perren Mizelland Richards作曲の「I WANT YOU BACK」などもこの頃です。
ここから、ベースはバンドにおいて重要な役割を担っていきます。
3:27~
I want you back – The Jackson 5
James Brown – I Feel Good
そしてベースプレイヤーたちは、新しいテクニック・奏法を開発し始めます。
たとえばJohn Entwistleの「フィンガープラック奏法」、Larry Grahamの「スラップ奏法」です。
3:36~
The Who – My Generation
Sly & The Family Stone – Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)
1970年代:多くのベースラインの誕生
非常にたくさんの耳に残るベースラインが、1970年代ごろに生まれました。
ベーシストのNathan Watts、John Paul Jones、Chris Squire、Roger Waterなどが有名です。
3:57~
Stevie Wonder – Sir Duke
Led Zeppelin – Black Dog
Yes – Roundabout
Pink Floyd – Money
よりエピックに…ジャズ・フュージョンの影響
そして、どんどんサウンドはエピックになっていきます。
メインストリーム音楽におけるファンキーなベースラインは、ジャズ・フュージョンの影響を受けていました。
画像:動画より
あのロングヘアが特徴のJaco Pastoriusは、ネックにあるフレットを剥ぎ取り、新しいベースを誕生させたのです。
Jacoはアップライトベースの音をエレキベースで再現しようとしましたが、これは見事な温かみとアコースティック感のあるサウンドでした。
4:24~
Led Zeppelin – The Ocean
Jaco Pastorius – Teen Town
1980年代:ディスコ・ダンス
画像:動画より
1970年代から1980年代に移ると、ディスコ・ダンスの時代がやってきます。
ベースにとっては、まさに「黄金時代」と言えるでしょう。
The Commodores – Brick House
Parliament – FLASHLIGHT
Cheryl Lynn – Got To Be Real
Boogie Oogie Oogie – A Taste Of Honey
メロディックなベースライン
そしてこの頃から、ポップスにおいてベースがメロディックなラインを弾くことがスタンダードになっていきます。
もっとも印象的なベースのサビ(Hook)には、これらの楽曲が挙げられます。
Chick – Good Time
Queen – Another One Bites the Dust
Rick James – Super Freak
Queen – Under Pressure
おそらく、みなさんにもなじみのある楽曲ばかりです。
5:01~
また、5弦ベースもこの頃に普及し始めます。
(ちなみに最初に作られたのは1965年、Fenderの「Fender Bass V」がはじまりでした)
画像:動画より
Michael Jackson – Billie Jean
1980年代中頃:シンセベース
画像:動画より
1980年代中頃からは、シンセベースが使われ始めます。
キーボードでシンセベースを弾く音楽がたくさん出始めました。
べースにとっては、実験的な時期であったと言えます。
5:50~
Oingo Boingo – Weird Science
Eurythmics – Sweet Dreams
a-ha – Take On Me
新しい楽器の誕生
画像:動画より
そしてこの頃、新しい楽器が誕生し、さまざまなアーティストに使われ始めます。
たとえば「チャップマンスティック」(タッピングで発音する電子楽器)は、1970年代に発明されたものですが、1980年代にもよく使われました。
6:09~
チャップマンスティック
King Crimson – Elephant Talk live
King Crimson – Thela Hun Ginjeet
また、NED STEINBERGERのベースもこの頃に誕生しました。
画像:動画より
NED STEINBERGERのベース
1990年代:多くのジャンルに大きな変化
1990年代になると、多くのジャンルにおいて大きな変化が訪れます。
ファンクの”ルネッサンス時代”は、このころFlea(レットホットチリペッパーズ)とともに訪れました。
またソロベースにおいては、Victor Wootenが傑作を残しています。
6:34~
Red Hot Chili Peppers – Around The World
Victor Wooten – Classical thump
そして、またかつての「ベース論」が戻ってきます。
Edgar Meyerは、ブルーグラス(カントリーをベースとしたジャンル)とクラシック音楽で人気を博しました。
6:50~
Edgar Meyer- Froglike
2000年代:シンセベースとテクノロジーの進化
テクノロジーが進化したおかげで、2000年代のベースは非常に”巨大なもの”になっていきます。
Native Instruments社の「Massive」などのシンセにより、ミュージシャンがダブステップやワブルベースなど、新しいサウンドを作り出せるようになりました。
7:09~
Skrillex – Scary Monsters And Nice Sprites
ベースの歴史まとめ
以上が「ベースの歴史」でした。
1600年ごろ:コントラバス
1700年ごろ:アンダーハンドグリップとジャーマン・ボウ
1800年後期:フレンチ・ボウ
1900年初期:「4弦ベース」が普及する
1920年代:ジャズとプラックスタイル
1950年代:カントリーミュージックとロカビリー
1950年代終わり:エレクトリックベースの誕生
1960年代:モータウン、ロックンロール
1970年代:多くのベースラインの誕生、ジャズ・フュージョンの影響
1980年代:ディスコ・ダンス、メロディックなベースライン
1980年代中頃:シンセベース、新しい楽器の誕生
1990年代:多くのジャンルに大きな変化
2000年代:シンセベースとテクノロジーの進化
当サイトでは他にも楽器の歴史についてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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