【DTM】生ドラムのスネアのMIXテクニック【4ステップ】
- 2024.09.10
- 2024.11.27
- ミキシングのコツ
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今回は、Glenn Frickerが教える「今まで学んできた中で一番使えるスネアのミックステクニック」をまとめました。
Glenn本人が「ほぼ全ての楽曲に使っている」というほど使えるテクニックですが、実はたったの4ステップしかありません。
他の楽器にも応用できますので、ぜひマスターしてください!
※解説分の該当箇所から動画が再生されるように設定していますので、ぜひ動画を再生しながらお楽しみください
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ミックスで一番重要なこととは?
ドラムに限らず、ミックスをするときに一番重要なのは「正しいツールを、正しい順番で使うこと」です。
これをしっかり心がけてミックスをすれば、このようにドラムの音をカッコよくすることができます。
Before/After↓(0:49~0:58)
ものすごく劇的な変化ですが、すべてDAW上だけで行っており、ルームマイクの音に対してほんの少しコンプをかけているぐらいで、クローズマイクのような根幹となる音にはコンプをかけていません。
それではここからは、僕(Glenn)が愛用しているツール「aix DrumEQ」を使って、スネアのミックステクニックの解説を進めていきます。
aix社「DrumEQ」は、かんたんに言うとドラムの音が持つ周波数帯域を適切に調整できるプラグインです。
スネアの音だけで聞いてみよう
今回スネアは「Top」「Bottom」「Snare(スネアのBusトラック)」の3つあります。
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スネアだけで音を聞いてみましょう。
最初はミックス済みの音を鳴らしますが、徐々にリバーブなどのエフェクトを切っていきますので、最後に聞こえる音が「ミックス前の音」となります。
1:40~1:49
ここからは具体的にミックスの手順を解説していきますが、「手順1」は主に生ドラムのレコーディングをした場合に使えるテクニックですので、ドラム音源を使って打ち込んだという方は飛ばしても構いません。
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ミックスの手順1.ブリードの処理をする
今回は、スネアを「Top」と「Bottom」に分け、ゲートを少しかけました。
使ったのはaix社「MULTI BAND GATE」です。
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このプラグインはドラムのブリード(他の楽器の音の混入)処理にとても有効で、もちろんスネア用にブリード処理をすることもできます。
特に生ドラムをレコーディングした場合は、このブリード処理で苦戦することがたくさんありますので、そんな時にこのプラグインはとても役に立ちます。
ドラムのブリード処理についてはこちらの記事でも解説しています↓
このプラグインはマルチバンドなので、周波数帯域ごと(Low,Mid,High)にゲートをかけることができます。
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それぞれの周波数帯域のパラメーターを動かしながら、不要なブリードを除去していきます。
これを、スネアのTopとBottomの両方それぞれで行います。
2:37~3:09
ブリードはどこまで残すか?
この時点で少しブリードが残っていますが、全て除去しようとすると部屋鳴りや雰囲気もなくなってしまうので、完璧に消そうとせず、必要な分だけブリードが除去できていればOKです。
また、「どれだけ長く音を残すか」も大きなポイントです。
音が長く残っていると(サステインやリリースが長い)と、次に来る音と音が被ってしまう原因にもなります。
Topのブリードの処理
スネアのTopには、スネアよりも上にセッティングされているシンバルやハイハットなどのブリードが含まれることが多いです。
スネアのTopであれば「パンッ」というアタック音があれば十分ですので、シンバルやハイハットなどのブリードが消えるよう、できるだけ音を短くするなどの工夫ができます。
4:07~4:14
Bottomのブリードの処理
Bottomは、このようにキックのブリードが含まれることが多いです。
4:24~4:26
ブリードの処理はTopとBottom別々で行う
このように、マイクを分けるとマイクの場所も異なるため、TopとBottomで含まれるブリードの音が変わります。
Topはシンバル類、Bottomはキックのブリードが多く含まれることが多いので、適切に処理していきましょう。
それでは、ブリードを除去したTopとBottomの音と、一緒に鳴らしたときの音を聞いてみましょう。
5:00~5:24
音を明るくしたいとき、逆に暗くしたいときはTopとBottomそれぞれの音量を調整すれば良いので、たくさんEQを使わなくても理想の音に近づけることができます。
ミックスの手順2.EQをする
次は、冒頭にご紹介したaix社「DrumEQ」を使ってEQをかけます。
まずは、EQをかけた後の音をお聞きいただきましょう。
5:33~5:44
EQだけで、こんなに音がカッコよくなります。
ドラム専用のEQをおすすめする理由
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僕がなぜこのEQをおすすめするかというと、これはドラムに特化したEQだからです。
ドラムは打楽器のため、叩くごとに特定の周波数帯域が大きく変わるということがなく、「その音が特に強く持つ周波数帯域=根幹となる周波数帯域」があります。
このEQなら、その根幹となる周波数帯域に合わせてEQをかけることができるため、本来ドラムの音が持つ特徴を殺すことなくEQをかけることができます。
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「TUNE FREQUENCY」のパラメーターは、この「根幹となる周波数帯域」を設定する場所です。
ここで設定した値に合わせて、倍音成分の調整をすることができます。
根幹の周波数帯域を探してブーストしよう
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例えば、まずスネアの音を鳴らすと、上記画像のポインタがある位置が最も音量が出ているので、この部分を「Oct2」の縦線に合わせます。
(今回はスネアなので、Oct1の音域ではなくOct2の音域が根幹の周波数となります)
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そして、この付近をEQでブーストしてみましょう。
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すると、根幹の周波数帯域がブーストされたので、とてもパワフルな音になりました。
6:36~6:50
レゾナンスの処理
しかし、これだけではまだ変な音が聞こえます。
これは「レゾナンス(特定の周波数帯域が強く鳴っている)」が原因です。
このスネアの場合は、男性が裏声で「フーッ」と言っているような音がしており、この音があると違和感を覚えます。
そのため、このプラグインでは「MASTER TRANSPOSITION」のパラメーターを動かしてレゾナンス部分(2番目に音量が大きく出ているところ)を設定し、画面右下の「RESONANT NOTE FILTER」でレゾナンスに対してEQをかけます。
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6:59~7:10
それでは、このレゾナンスを調整するとどのように音が変わるのか、見ていきましょう。
7:25~7:33
さらに上のレゾナンスも調整したい場合は、Oct1~Oct8のエリアをクリックすることで自動でオクターブが移動するので、あとはRESONANT NOTE FILTERをそれぞれ調節するだけでOKです。
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7:36~8:00
OCTAVE FILTERを使って高音域をブーストして、明るさやアタック感を加えてもよいでしょう。
8:32~9:03
EQをするだけで、こんなに大きな変化をつけることができます。
さらに今回はドラム専用のプラグインを使っているので、ドラムの音作りも適切かつスムーズに進めることができます。
他のドラムの音と合わせて聞くと、非常によくミックスできていることがわかります↓
8:47~9:03
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ミックスの手順3.コンプレッサーをかける
次はコンプをかけますが、ここで使っているのはパラレルコンプです。
トラックに直接使うのではなく、AUX(Send)を使って、コンプをかけた音とかけていない音を混ぜて音作りを行います。
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さらに言うと、今回はスネアだけでなく、キック・スネア・タムのクローズマイクの音すべてに対してこのパラレルコンプをかけています。
比較して聞いてみると、音の違いをお分かりいただけると思います。
9:17~9:28
今回使っているのは、aix社「INTUITION COMPRESSOR」です。
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今回はFETタイプのコンプを再現するため、「アタック最速、リリース中ぐらい、ソフトニー、レシオ高め」に設定しました。
「FET」をはじめ、コンプレッサーのタイプの違いについてはこちらの記事で解説しています↓
パラメーターを動かし、画面のグラフを見ながら音作りを進めていきます。
10:08~10:27
そして、Sendの量を変えて調整していきます。
10:28~10:38
ミックスの手順4.リバーブをかける
次はリバーブを使って、奥行きや立体感をつけていきます。
使っているのは、aix社「ICONIC REVERB」です。
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Reverb TIMEは0.1秒、80%Dryに設定しているので控えめな数値ですが、これぐらいだとちょうどよい3D感を出すことができます。
バイパス時と比較して聞いてみると、スネアの音に立体感が出たことがお分かりいただけると思います。
11:12~11:41
ドラム全体と混ぜて聞いてみると、部屋の雰囲気やサイズ感を演出しながら、しっかり馴染んでいることがわかります。
11:42~11:50
ちなみに、強いリバーブをかけるとこのような音になります。
12:27~12:52
よくあるドラムミックスのお悩み「音が薄くてペラッペラになる」
ドラムのミックスをしていてよくあるのが、「音が薄くてペラッペラに聞こえる」という問題です。
アタック感を出そうとして10kHz付近をブーストすると、今度は音がペラッペラに聞こえる…
僕もよくありますが、こんなときはぜひ「そもそも今どんな音を扱っているのか?」を振り返ってみましょう。
それらの音には何が足りないのか?
今、どんな音が必要なのか?
今回ご紹介したテクニックを使えば、このような問題もしっかり解決できるでしょう。
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生ドラムのスネアのミキシングテクニックまとめ
今回は、「ゲート」「EQ」「コンプ」「リバーブ」の4ステップでミックスを進めました。
「Top」「Bottom」「スネア全体」「ドラム全体」など、どこにどんな処理をするのかをしっかり見極めれば、たったのこれだけで音が劇的に変わります。
ぜひお試しください。
当サイトでは他にもドラムミキシングに関するテクニックをまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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