【音楽理論】エオリアンモードを使ったゲーム音楽を解説! Part3【映像音楽】
今回は、8-bit Music Theoryが解説する「エオリアンモードの使い方」をまとめてみました。
この記事では「Part3」として、
・エオリアンモードを使って「大袈裟で荒々しい感じ」を演出する方法
これらについて解説していきます。
Part2:エオリアンモードの曲とそうでない曲の比較、エオリアンモードを使った「悲しい」ゲーム音楽、エオリアンモードによくあるコード進行
Part3:エオリアンモードによくあるコード進行、エオリアンモードを使って「大袈裟で荒々しい感じ」を演出する方法(当記事)
ゼルダの伝説シリーズやロックマンシリーズをはじめ、ゲーム音楽にはエオリアンモードを使った楽曲が数多くあります。
「モードを使った作曲にチャレンジしたい!」という方には必見の内容です!
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エオリアンモードのゲーム音楽の例:ストリートファイター2「ガイルのテーマ」
最初にご紹介するゲーム音楽は、「ストリートファイター2」の「ガイルのテーマ」です。
この曲ではCナチュラルマイナーキーで使われている音しか使われておらず、メロディーもマイナースケールに合わせて駆け上がるフレーズが見られます。
しかし、コードは「i – bVI – bVII – v」など、前回のPart2でお話した「エオリアンモードによくあるコード進行」が使われています。
それでは、楽譜を見ながら楽曲を聞いてみましょう。
エオリアンモードらしい曲に仕上げるコツ①
「Gm7 – Cm」のような「v7 – i」の進行は、バッハの時代から使われている進行です。
もともとこのような「ドミナント→トニック」の進行は解決感や進行感が強いのですが、この曲の場合はより破壊的な、アグレッシブな感じを演出するのに役立っています。
Part2でご紹介した楽曲のように、「b7th→1st」の音の移動を取り入れるなど、エオリアンモードでは解決感が弱いパターンも作ることができます。
これもまた、エオリアンモードらしさに繋がる要素となります。
エオリアンモードらしい曲に仕上げるコツ②
エオリアンモードらしい曲に仕上げるコツとして、1つ目は「b7th→1st」の移動でしたが、もう一つは「b6th→5th」の移動です。
次は、このパターンを使った良い例をご紹介します。
エオリアンモードのゲーム音楽の例:「ダブルドラゴン」より「スラム街 ブラックウォリアーズ出現」
「ダブルドラゴン」の「スラム街 ブラックウォリアーズ出現」の曲では、エオリアンモードで「b6th→5th」の移動が使われています。
基本的にはAマイナースケールですが、メロディーでは「b7→b6→5」の移動が多用され、最後は「b7→1」という移動が使われています、
それでは、楽譜を見ながら曲を聞いてみましょう。
ものすごくエネルギッシュな感じやモードらしさはありませんが、Aマイナーコードだけを使いながら、Aエオリアンモードを巧みに使っている良い例です。
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エオリアンモードのゲーム音楽の例:ロックマン2「メタルマンのテーマ」
次にご紹介するのは、「ロックマン2」の「メタルマンのテーマ」です。
「b7→1」のボイスリーディングの動きは「b6→5」の動きよりもよく使われるのですが、この曲でも「b7→1」の動きが使われています。
この曲では、フレーズの終わりに「bVI – bVII – bVI – bVII」という進行があり、その後にトニックに戻ります。
それでは、楽譜を見ながら楽曲を聞いてみましょう。
エオリアンモードのゲーム音楽の例:逆転裁判「異議あり!」
逆転裁判シリーズの「異議あり!」のテーマ曲では、「b6→b7→1」と、一段ずつ上がるような動きが使われています。
コードも「iv – v – bVI – bVII – i」と、わかりやすく一音ずつ上がっています。
それでは、楽譜を見ながら聞いてみましょう。
先ほどご紹介したストリートファイター2の「ガイルのテーマ」と同様に、この楽曲はたくさんの音とコードが使われています。
しかし感情が頻繁に大きく変わるような印象は少なく、楽曲のどの場面で止めても特に問題のないような楽曲です。
これもまた、エオリアンモードの特徴の一つです。
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エオリアンモードでメランコリックな楽曲を演出する方法
前回のPart2では、悲しくメランコリックな感じ(憂鬱な感じ)のするエオリアンモードの曲をご紹介しました。
一方、今回のPart3では比較的アグレッシブな楽曲を多くご紹介しました。
このPart3でご紹介したアグレッシブな楽曲は、実はゆっくりなテンポにすることで、メランコリックな感じ(憂鬱な感じ)を演出することができます。
例えば、先ほどご紹介したストリートファイター2「ガイルのテーマ」をゆっくりなテンポにしてみます。
リズムも、刻むのでなくできるだけ伸ばすようにし、サウンドも少し悲しい感じのピアノにしてみると、このようになります。
「アグレッシブなエオリアン」と「メランコリックなエオリアン」を上手に使い分けよう
同じエオリアンモードの曲でも、リズムやサウンド、テンポなどを工夫すると、全く異なる印象の音楽に変えることができます。
アグレッシブなエオリアンは「アップテンポ」や「エネルギッシュなリズム」がキーポイントとなります。
メランコリックなエオリアンは「スローテンポ」「静かに泣けるようなコード進行」「徐々に変化していくハーモニー」などがキーポイントとなります。
どちらも全く正反対の要素ですが、両方を組み合わせることも可能です。
のように、矛盾する要素を上手に組み合わせると、例えば「悲しい雰囲気のアクションシーン」などにピッタリの楽曲にできます。
エオリアンモードを使ったゲーム音楽の総まとめ
以上でエオリアンモードを使ったゲーム音楽の解説は終了です!
とても盛りだくさんの内容でしたが、エオリアンモードを使って楽曲にさまざまなバリエーションが加えられることをご理解いただけたかと思います。
・「b7th→1st」「b6th→5th」「b7→1」の移動
・「アグレッシブなエオリアン」と「メランコリックなエオリアン」の使い分け
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