【映像音楽】自然系ドキュメンタリー番組のフォーリーに関する4つの驚きの真相
- 2023.04.18
- 2024.11.18
- レコーディング
フィールドレコーディングをしたサウンドの編集の仕方が知りたい!
今回はこのような疑問にお答えする内容です。
自然に関するニュースを発信しているEarth Touchが語る「ドキュメンタリー番組で流れるサウンドに関する驚きの真相」をまとめてみました。
テレビやネットなどで、自然を題材にしたドキュメンタリー映像を見たことがある方は多いでしょう。
これらの言葉を見るだけでも、その映像や音がすぐに思い浮かびます。
しかしここで思い出す「音」は、実はみなさんの思ってるプロセスで録音されていないかもしれません…
今回は、この音に関する驚きの真相を4つご紹介していきます。
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はじめに:フォーリーとは?
フォーリーとは、映像に合わせて実際にあるモノで音を作っていくこと・その人を指します。
たとえば、映画のケンカのシーンでお腹にパンチを入れた場面では、フォーリーアーティストが豚肉の塊を思いっきり殴った音を使ったりします。
実際に人間が人間のお腹にパンチを入れた音よりも、別の物体をパンチしたときの方が映像が、いきいきとしてリアル感が増すこともあるのです。
さてこのフォーリーは、いったいどのようにしてドキュメンタリー番組で使われているのでしょうか?
ここからは、この動画で紹介されている「フォーリーに関する4つの驚きの真相」をご紹介していきます!
フォーリーの驚きの真相1:マイクなしのカメラで撮影した映像に音を足す
フォーリーの驚きの真相1つ目は、「マイクなしのカメラで撮影した映像に音を足すことがある」です。
大自然の中で撮影をするときは、もちろんカメラやマイクを持参して撮影します。
しかし、必ずしも現場で録った音を番組で使うというわけではありません。
なぜなら、実際の音を使うよりも、音を差し替えたり、足したり、修正した方がその映像に合ったサウンドを作れることがあるからです。
ときには、マイクなしのカメラで撮影し、無音の状態から「それっぽい音」をフォーリーで作ってしまうこともあります。
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フォーリーの驚きの真相2:環境音は別録り
驚きの真相2つ目は、「環境音は別録りにすることがある」です。
こちらは、自然の中でゾウが歩いている映像です。
1:30~1:45
2つ目のパターンは、カメラで撮影したと同時に録音した音です。
2つ目の音声は「ザー」というノイズや風の音が強く、周りにいる人が話す声も聞こえます。
正直、2つ目の方が聞き取りづらい、心地いい音ではないと感じるのではないでしょうか?
現地での撮影・収録ではこのようなサウンドになることがあるため、環境音だけ後から別撮りすることがあります。
収録音の修正方法
2つ目のパターン、つまり実際にレコーディングした音を修正するには、別録りしたキレイな状態の環境音(ambience)を加えます。
この「キレイな状態の環境音」は、フィールドレコーディング用のマイクで360度の方向からレコーディングしたもの。
いわゆる「汎用性の高い環境音」をレコーディングしておき、あとで使えるようにしておきます。
周りに観光客などが周りにいて会話をしている場合は、その人たちがいなくなるまで待ち、5分ほどレコーディングします。
2:05~2:22
フォーリーの驚きの真相3:被写体が遠い場合は音を後付けする
フォーリーの驚きの真相3つ目は、「被写体が遠い場合は音を後付けする」です。
肉食動物のライオンや遠く離れた岩の上にいるペンギンの群れなどは、近づいて撮影することが困難です。
たまに動物たちの方から近づいてきてくれることもありますが、そうでないことがほとんど。
またライオンのような猛獣の場合は、近づいてきた方が命の危険を感じることもあります…
3:09~3:49
そのため、カメラで撮影するときはその被写体から離れ、かなりズームすることなります。
しかし、カメラはズームで近寄れても、マイクは近づけません。
ドキュメンタリー番組では動物の鳴き声や歩く音がかなり鮮明に録れているように聞こえますが、いったいこれはどのようにしてレコーディングしているのでしょうか?
場面に合った音を編集作業中に「作っていく」
ドキュメンタリー番組の編集作業では、何日・何時間もかけて撮影したものを、数分から30分程度にまとめなくてはなりません。
映像の編集だけでも大変なのに、現地収録した音を全て切り貼りするのは非常に大変です。
そのため、場面に合った音を編集作業中に「作っていく」ことになります。
ドキュメンタリー映像のサウンド編集作業の手順
こちらは、実際にレコーディングされた映像と音声です。
4:15~4:38
一見普通の映像と音声ですが、これをよりリアルな感じに聞かせるために、修正していきます。
まずは、先ほどの「自然を感じる環境音」を入れます。
これまで録り溜めてきた「環境音」のライブラリから、今回の映像に合いそうなものをピックアップ。
4:50~5:04
そして、次はいよいよ「フォーリー」をしていきます。
藁をグシャっと踏んだり握った音は、動物が歩いた時の動作に使っていきます。
フォーリーである自分が息を吐く音を、動物が呼吸をする音として使うことも…
5:20~5:31
こういったフォーリーの音を使うことにより、より映像に没入感を与え、カメラで撮影したものを、自分がその場で見ているかのような印象を与えるのです。
5:36~
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フォーリーの驚きの真相4:実際には絶対に聞こえない音を入れる
フォーリーの驚きの真相4つ目は、「実際には絶対に聞こえない音を入れる」です。
自然系のドキュメンタリー番組では、大海を泳ぐ魚たちの映像もよく使われますよね。
6:18~6:27
では、海の中の音はどのようにしてレコーディングされているのでしょうか?
大海を感じさせる音を追加する
お察しの通り、海の中の音を録るのは非常に大変です。
ずっと「ゴーッ」という低い音ばかりで、「サメが飛び込んできた」「小魚の大群が一斉に逃げる」という動きをダイレクトに感じられる音は、なかなか録れません。
そのため、本来海の下では聞こえないような音を追加し、視聴者が海の中にいるように感じられる映像にしていくのです。
たとえば、こちらの映像をご覧ください。
6:29~6:47
シンバルの「シャーッ」とした音や、海の中に別の生物が飛び込んできたバスドラム の「ダーン」とした音が入っていることがわかります。
よく考えると実際の海では聞かない音なのですが、映像とマッチしており、海の中にいるかのような没入感を与えていることがわかります。
自然系ドキュメンタリー番組のサウンドに関する4つの驚きの真相まとめ
以上、こちらの4つが「自然系ドキュメンタリー映像の驚きの真相」でした。
2.環境音は別録り
3.被写体が遠い場合は音を後付けする
4.実際には絶対に聞こえない音を入れる
今回はフォーリーのような「リアルな音」をレコーディングする場面がありましたが、このように「より鮮明な音をレコーディングするコツ」はいくつかありますので、ぜひ下記記事もご覧ください↓
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