音楽大学・専門学校の入学前後に考えるべきこと【リスクも解説】
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今回は、カナダの大学・Humber Polytechnicの卒業生であるSamurai Guitaristが教える「音楽大学・専門学校は行くべきか?」をまとめました。
大学の音楽学部で音楽の学位(ギター専攻)を取得した彼が、音大や音楽専門学校に行く前に考えるべきことと、入学した後にやるべきことを解説します。
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結論:音楽大学・専門学校は行くべきか?
「音楽大学・専門学校は行くべきか?」という質問ですが、統計的には「NO」が答えです。
僕が大学を卒業したときには同級生が120人ほどいましたが、ミュージシャンとして成功したのはこのうちの10%ぐらいしかいません。
学校を中退した人も含めると、この数字はさらに低くなります。
「医学部に行った学生の98%は医者になれる」ということを考えると、この数字はものすごく低いと感じられます。
音楽大学や専門学校の卒業生の就職先・進路は?
卒業生の多くは、個人で音楽教室を開いたり、イベントに出演したり、別の音楽関係の仕事に就いたり、修士号や博士号を取得後に大学に戻ったりします。
「成功」の定義は人それぞれなので、「ミュージシャンとして活動すること」が自分にとって魅力的でなく、それ以外の道を目指すのであればそれもよいでしょう。
とは言え、僕の友達には「有名なバンドに入って世界ツアーに参加している」という夢の仕事に就いた人もいます。
まさにわかりやすく成功した人たちです。
ただし、そのような「成功した人」の人数は本当に少ないです。
音楽大学や専門学校の問題点とは?
音楽大学や専門学校は、在籍するために多額のお金が必要です。
しかし、オープンキャンパスや学校説明会ではいいところだけを見せてくるでしょう。
綺麗で豪華な設備や、ほんの数%しかいない優秀な卒業生のストーリーを見せてきます。
学生を集めるために、そのような「音大ビジネス」をしているのです。
もし成功した卒業生を紹介されても、その人はあなたではありません。
自分の道は自分で切り開いていくしかないので、「学校を卒業すれば自分もそうなれるんだ」などと思わないよう注意が必要です。
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音楽大学や専門学校には行く意味があるか?
統計を見て考えると、ほとんどの人にとっては音楽大学や専門学校は行く意味がないと思います。
確かに、学校に行ったことで学べることはあります。
しかし、「音大卒」という学歴があってもそれだけで仕事が得られるわけではありません。
僕は大学卒業後にさまざまな職場に履歴書を送りましたが、ギター講師の仕事以外で「音大卒資格が必要」と書かれている仕事は1つもありませんでした。
結局、大学卒業後に仕事に就くことはできなかったので、自分でビジネスを始めることになりました。
音楽大学や専門学校に行くときにやるべきこと5つ
ここからは、音楽大学や専門学校に行くときにやるべきことを5つご紹介します。
音大に行くときにやるべきこと1.ゴールではないと認識する
音楽大学や専門学校に行くときにやるべきこと1つ目は「音大進学は旅の過程であり、ゴールではない」と考えることです。
繰り返しになりますが、音大卒業後に就職できるとは限りません。
音大に行くことや卒業することはゴールなのではなく、ゴールに行くまでに必要な過程にすぎないと考えることが大切です。
音大に行くときにやるべきこと2.学びを確実に生かす方法を考える
音大に行くときにやるべきこと2つ目は「学びを確実に生かす方法を考える」です。
僕の場合は、音大に行かなかったら習得や体験にもっと時間がかかっていただろうなと思ったことがたくさんあります。
カナダで最高峰のギタリストに直接指導してもらえたり、世界クラスの音楽スタジオでアシスタントの経験ができたり、音楽ビジネスや音楽の歴史など、幅広い音楽の知識を学ぶこともできました。
このような貴重で幅広い経験をすることができたからこそ、今のようにYouTubeでの活動もできています。
僕は卒業後に就職できなかったので、大学で学んだことを活かして自分で仕事を作る必要がありました。
「この授業で学んだことを使うとしたら、どんなビジネスを展開できるだろうか?」と考えたのです。
大学に行っていなかったら、このような考えはできなかったと思います。
音大に行くときにやるべきこと3.人脈を大切にする
音大に行くときにやるべきこと3つ目は「人脈を大切にする」です。
音大に行くほとんどの学生は、最初からプロを魅了するようなスキルや魅力を持っていないと思います。
そのため、いきなり成功した卒業生とつながるのは難しいでしょう。
しかしはじめに自分の同級生とつながりを持つことができれば、それがいずれ上級生とのつながりに発展し、そして成功した卒業生とのつながり、世界中のプロとのつながりに発展することがあります。
このような人とのつながりを持ちやすいというのは、音楽大学や専門学校の魅力の1つです。
音大には練習室があるのでずっと引きこもって練習することもできますが、できるだけ他の学生と交流することもおすすめします。
もちろん、友達と交流することばかりに時間を注ぐのはNGです。
練習と人間関係のバランスはきちんと取りましょう。
音大に行くときにやるべきこと4.先生の強みと弱みを理解する
音大に行くときにやるべきこと4つ目は「先生の強みと弱みを理解すること」です。
音大の教授の中には、本当に素晴らしい音楽家として活躍している人もいます。
しかし、素晴らしいミュージシャンではあっても、音楽ビジネスに関しては全く知識がない人もいます。
その先生が何を得意としていて、何の分野の知識は乏しく、その先生のどのアドバイスを参考にするべきかは自分で考える必要があります。
音大に行くときにやるべきこと5.燃え尽き症候群の対策をする
音大に行くときにやるべきこと5つ目は「燃え尽き症候群の対策をすること」です。
これは、僕が3年間ジャズの練習を必死にやったときに起きました。
1つのことを熱心にやりすぎると「もうやりたくない」「もうやることがない」という気持ちになってしまうことがあります。
勉強や練習はバランスよくやることをおすすめします。
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高校卒業後すぐに音楽大学・専門学校に行くリスクとは?
高校を卒業してすぐに音大や専門学校に行くのは、あまりおすすめしません。
「自分の人生に本当に必要なものは何か?」がよくわからないまま、高額な学費を払って進学してしまうことになるからです。
僕は高校を卒業して3年後に音大に入学しました。
もしこの3年の期間がなかったら、音大で得られる環境や教育を十分に享受することなく、時間とお金を無駄にしていたと思います。
高校卒業直後は、それぐらい精神的に未熟だったのです。
確かな目的がないまま音大に行くとどうなる?
僕のように、高校卒業後に「学校」という場を離れ、実生活で人生経験を少し積んでからの方が「自分はなぜ音大に行きたいのか?」「音大で学びたいことは何か?」「本当に音大に行く必要があるのか?」を考えられると思います。
残念ながら、僕の大学では入学後に中退し、何も学ばないまま学生ローン(返済が必要な奨学金)だけが残ってしまった人を見たことがあります。
確かな目的を持たないまま進学してしまうと、手元に残るのが借金だけになってしまうかもしれません。
それなら、高校卒業後の時間とお金を別のことに使った方がいいでしょう。
音楽大学・専門学校に行きたい人へのアドバイス
音楽大学・専門学校への進学を考えている人には、ぜひ時間をかけて決断をしてほしいです。
じっくり考えた結果、音楽系学校への進学が最適解だと思ったのであれば、行くべきでしょう。
もちろん、そのような学校を卒業しても音楽関係の仕事に就ける保証がないことは覚悟しなければなりません。
今回の話を聞いて「音楽学校・専門学校に行く気がなくなった」と思う人もいると思いますが、それはネガティブな気持ちでもなければ、間違った判断でもありません。
「音楽系の学校には行かない」という選択肢が、あなたにとって賢明な選択になることもあるからです。
以上が「音楽大学・専門学校の入学前後に考えるべきこと」でした。
当サイトでは他にもバークリー音大やジュリアード音楽院の現役生・卒業生による体験談をまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてください。
(音大進学に関しては肯定的な意見から否定的な意見までさまざまありますので、ぜひいろいろな意見を見てみてください)
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