【MIX】ドラムのブリード(他楽器の音の混入)の対処法【レコーディング】
楽器の生演奏をレコーディングすると、近くで鳴っていた別の音も拾って録音されてしまうことがあります。
例えばドラムの場合、「キック用のマイクにスネアの音が入ってしまった」ということがあるでしょう。
これを「ブリード(Bleed)」と言います。
特にドラムはさまざまな楽器が密集しており、音量も大きいため、マイクが他の楽器の音を拾ってしまいやすいです。
そこで今回は、Home Recording Made Easy.comが解説する「ドラムブリードを除去する方法」をまとめました。
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ブリード除去におすすめのプラグイン
今回メインで使うのは、Wilkinson Audio社の「DE-BLEEDER」です。
かんたんに言うとゲート(Gate)と近い機能を持っていますが、ただのゲートではなく、ブリード除去に適したゲートと言えます。
※今回はこのDE-BLEEDERを使ったブリード除去方法を解説しますが、内容を理解すれば、他のプラグインでも応用できます
通常のゲートプラグインはどう?
通常のゲートの場合、ある音量以下の音はすべてバッサリ削除されてしまうため、不自然に音が切れたように聞こえたり、人工的で安っぽい音に聞こえてしまうことがあります。
今まで多くのゲートプラグインを試してきましたが、ドラムのゲートとしていいなと思うプラグインは少ないです。
その中でも、特に一番良かったのがSlate Digital社の「GATE: DRUMS」と「GATE: CLASSIC」でした。
どちらも、以下のSLATE DIGITAL「Slate Gates Bundle」に同梱されています↓
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しかし今回ご紹介する「DE-BLEEDER」の方が、ドラム用のゲート(ブリード除去)としては良いと思います。
各パラメーターの機能について
はじめに、このプラグインの各パラメーターの機能について解説します。
※先にブリードの除去方法を確認したい方は、次の「キックのブリードを除去する」に飛んでください
このDE-BLEEDERには、4つのシンプルなツマミがあります。
FUNDAMENTAL
「FUNDAMENTAL」では、ドラムの音の根幹となる部分の音程を設定するパラメーターです。
例えばキックにこのプラグインを使っている場合で、キックの根幹となる周波数が53hzだった場合は、このパラメーターを53hzに設定します。
右下にある「BANDWIDTH」のツマミでは、FUNDAMENTALで設定した周波数を軸として、どれぐらい狭く・広く周波数帯域を検知するかを設定します。
RANGE
RANGEのパラメーターでは、FUNDAMENTALで設定した周波数帯域の限界値(リミット)を決めます。
ここで決めた値によって、「ここからここまでは必要な音、それ以外の音はブリードの音(除去するべき音)」を定めることになります。
REDUCTION
REDUCTIONのパラメーターでは、どれだけリダクション量を取るか(どれだけ音を減らすか)を決めます。
右にあるカーブの絵柄のスイッチによって「Knee」の設定ができ、ソフトに(緩く)かけるか、ハードに(強く)かけるかを決められます。
RELEASE
RELEASEのパラメーターでは、コンプレッサーなどのRELEASEと同様に、このブリード除去をどれぐらいの長さで行うかを決めます。
設定した数値を確認する
プラグインの画面右上にある「i」のマークをクリックすると、自分が設定したパラメーターの値を数字で確認することができます。
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キックのブリードを除去する
それでははじめに、キックのブリードを除去してみます。
キックのトラックを聞いてみると、奥で小さくスネアやハイハットの音が鳴っていることがわかります。
「キック専用のマイクが、スネアとハイハットの音も拾ってしまっている」という状態です。
なぜブリードは除去しないといけないのか?
もしブリードを除去せず、この状態でコンプレッサーやEQをかけてしまうと、スネアやハイハットの音にもコンプレッサーやEQがかかり、場合によってはこれらの音も目立ってしまうことになります。
不要な音はしっかり削除し、必要な音(キックの音)だけにエフェクトがかかるようにするため、ブリードの除去はしっかり行う必要があります。
プラグインを使ってみよう
それでは、DE-BLEEDERを使ってみましょう。
FUNDAMENTALでキックの中心となる音域を設定し、RANGEやREDUCTION、RELEASEのツマミを動かしていきます。
(この時にAUDITIONボタンをONにすると、FUNDAMENTALで設定した周波数の音域が聞けるようになりますので、中心となる音域を探しやすくなります)
キックがしっかり鳴り、かつブリード(スネアやハイハット)の音がきれいになくなるように調整していきます。
例えば今回の場合、REDUCTIONの値が大きくても、RANGEの値が小さければブリードはしっかり除去されていません。
そのため、まずREDUCTIONをある程度の値まで上げてから、RANGEをゼロから少しずつ上げて、適切に除去されるところまで上げていきます。
逆に、RANGEの値をある程度上げてから、REDUCTIONをゼロから少しずつ上げて、適切に除去されるところまで上げていっても良いでしょう。
THRESHOLDやRELEASEのツマミも同様に、ゼロから少しずつ上げて、ベストな位置を探してみます。
RELEASEはどれだけ早くプラグインの効果をOFFにするかを決めるパラメーターのため、RELEASEがゼロだと通常のゲートに近い、極端な形で音がカットされます。
場合によってはかなり不自然に聞こえたり、必要な音が消えてしまう or 不必要な音が残ってしまいますので、注意しましょう。
このプラグインではそれぞれのツマミの組み合わせによってサウンドが変わりますので、ぜひそれぞれのツマミでベストな値を探してみてください。
ブリード除去前/除去後の音を比較してみよう
それでは、ブリード除去前と除去後の音を比較してみましょう。
スネアやハイハットの音はしっかり除去しながらも、ドラムのテール(余韻や部屋鳴り)はしっかり残しています。
スネアのブリードを除去する
次は、スネア専用のマイクに入ったブリードを除去してみます。
スネアの他に、タムやキック、ハイハットの音が入ってしまっていることがわかります。
それでは先ほどと同様に、FUNDAMENTALのツマミから順に設定していきましょう。
今回はスネアのため、FUNDAMENTALは150hzにしています。
キックに比べてスネアはテール(リリース)が長いため、RELEASEの値の設定は非常に重要になります。
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まとめ
今回は、Wilkinson Audio社の「DE-BLEEDER」を使ってブリードを除去する方法を解説しました。
数千円で買える便利なプラグインのため、特に生ドラムをミックスする方にはおすすめの製品です。
またこのプラグインを持っていなくても、今回の解説でブリード除去に関するポイントはご理解いただけたと思いますので、他のプラグインでもぜひ応用してみてください。
今回ご紹介したプラグイン
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