いい曲なのに売れない・ヒットしない理由とは?海外プロが解説

いい曲なのに売れない・ヒットしない理由とは?海外プロが解説

今回は、音楽プロデューサー・オーディオエンジニアのJustin Collettiが解説する「いい曲であるだけでは不十分な理由」をまとめました。

Justinは長年音楽業界でプロとして活躍しており、音楽プロデュース、ミキシングエンジニア、マスタリングエンジニア、音楽大学の講師など、幅広い分野で活躍しています。

そんな彼が「いい曲であるだけではヒットしない理由」「ヒット曲を作るために必要な5つの要素」を解説します。

Releasing Good Music Isn't Enough (To Get You Noticed)

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よくあるアドバイス「売れるには音楽が第一だ」

「どうやったら自分の曲がもっと多くの人に聴いてもらえるのか?」
「どうやったらヒット曲を作れるのか?」

このような質問に対してよくある回答は、「とにかく音楽が第一」「音楽に集中しろ」というアドバイスです。

これは決して間違っておらず、音楽で重要なのは「音楽」であることは間違いありません。

しかし、世の中にはどんなにいい曲でも全然試聴されていない音楽が山ほどあります。

マスタリングエンジニアが見たアーティストの厳しい現実

僕(Justin)はマスタリングエンジニアとして長年仕事をしており、アマチュアから有名なアーティストまでさまざまなアーティストのマスタリングを担当してきました。

その経験で感じたことは、世間的に「とても活躍している」と思えるようなビッグなアーティストでも、その楽曲が音楽製作費をしっかり回収できないことはザラにあるということです。

メジャーレーベルのアーティストであっても、音楽プロデューサーやマスタリングエンジニアを雇う費用に対して、実際の楽曲の売上はかなり低いことはよくあります。

僕がマスタリングを担当したアーティストの中には、本当に素晴らしい才能とクオリティの楽曲を持ったアーティストもいます。

しかしそんな彼らは、たくさんリスナーがいるわけでもなく、有名になっているわけでもなかったりします。

それでは、いい曲なのに売れない・ヒットしない理由とはいったい何なのでしょうか?

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いい曲なのに売れない・ヒットしない理由とは?

いい曲なのに売れない・ヒットしない理由は「リスナーに届けるものが音楽以外にないから」が大きな理由の1つです。

もしあなたのゴールが「自分の音楽がたくさんの人に聴かれること」や「音楽で生活費が稼げるレベルになること」であるとしたら、あなたがリスナーに提供するものを音楽以外に作る必要があります。

繰り返しになりますが、音楽で最も重要なのは「音楽」であることに間違いありません。

しかし、リスナーに届けられるものが「音楽だけ」だと、曲を全く聴いてもらえなく可能性が高くなります。

それでは、具体的に「音楽以外でリスナーに提供できるもの」を作るにはどうしたらいいのでしょうか?

曲が売れる・ヒットするのに必要なこと1つ目

曲が売れる・ヒットするのに必要なこと1つ目は「アルバムとシングルを戦略的にリリースする」です。

全くの無名で全然リスナーがいない状態で12曲収録されたフルアルバムを作っても、リスナーは増えないでしょう。

これは、存在しない「リスナー」に対してアルバムを作っているようなものです。

そのため、アルバムはリスナーをきちんと獲得できてからリリースする方がよいでしょう。

まずはシングルをリリースしてファンを作り、ある程度ファンの数が増えてからそのファンたちに向けたアルバムを作るのがおすすめです。

もちろん、試聴回数やファンの数などを気にせず「アルバムを作りたいから作っているんだ」「お金にならなくてもいい」という場合は、いきなりアルバムをリリースしても全く問題ありません。

しかし「家族や友人だけでなく、見知らぬ人にも聴いてもらいたい」「音楽をリリースすることでお金を稼ぎたい」と思っているのであれば、戦略的に楽曲をリリースする必要があります。

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曲が売れる・ヒットするのに必要なこと2つ目

曲が売れる・ヒットするのに必要なこと2つ目は「クオリティの高い動画を作る」です。

残念ながら、多くの音楽家がこの動画制作で大きなミスをしています。

音楽はとてもよく作られているのに、MVなどの動画のクオリティが低いので、音楽と動画のクオリティが見合っていないのです。

とりあえず行き当たりばったりで映像を作って、「あとは作った曲を乗せて終わりでいいや」「シンプル・イズ・ザ・ベスト」だからMVはシンプルでいいんだ!

このように考えてしまう人はたくさんいます。

特に「動画はシンプルでいい」というのは、言い訳としては使いやすいですし、真っ当な理由に聞こえるかもしれません。

シンプル=美徳であると考えれば、なんでも許されるような気がしてしまうでしょう。

しかし、この「シンプルであること」を「動画制作をサボるための言い訳」として使っていると、シンプルなのではなく「ただただ雑」「手抜き」になります。

もちろん、キレイでかっこいい動画を作っていれば必ず曲が売れるというわけではないのですが、MVなどの動画のクオリティも大きな要因の1つになるということは心に留めてほしいです。

曲が売れる・ヒットするのに必要なこと3つ目

曲が売れる・ヒットするのに必要なこと3つ目は「ストーリーを作る」です。

音楽に限らず、人々が商品を買うときに考えるのは「ストーリー」です。

その商品自体のストーリー、その商品を作った人のストーリー、その商品を売る場所のストーリーなど、1つのモノに対して発生するストーリーはたくさんあります。
企業の開発ストーリーなどは、そのうちの1つです

「ストーリーを作る」「ストーリーを売り出す」と聞くと、なんだかよくあるビジネスやマーケティングの手口で、お金儲けのために行う汚いことだと思ってしまうかもしれません。

しかし、音楽において「たくさんの人に聴いてもらいたい」と思うのであれば、マーケティングは欠かせません。

楽曲をもっとたくさんの人に聴いてもらうには、リスナーとの心のつながりが必要です。

そしてそのためには、ストーリーを見せてリスナーとの心理的なつながりを作ることが非常に大切です。

このストーリーを見せるときに特に重要な要素は「その人が持っている美学」です。

ビリー・アイリッシュが見せている「ストーリー」とは?

Billie Eilish – bad guy

「bad guy」でおなじみのビリー・アイリッシュの例を見てみましょう。

まず「ビリー・アイリッシュ」という名前を聞いたとき、彼女のユニークなファッションを思い出す人が多いでしょう。

そして、彼女のパーソナリティに関するストーリーを思い浮かべる人も多いでしょう。

彼女がトゥレット症(チック症)を持っていることや、自宅の一室で兄・フィニアスと一緒に音楽制作をしているところなどを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。

彼女の楽曲だけでなく、このようにストーリーも一緒に思い出させることができている時点で、彼女がいかにアーティストとしてのブランドやストーリーをしっかり築けているかがよくわかります。

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曲が売れる・ヒットするのに必要なこと4つ目

曲が売れる・ヒットするのに必要なこと4つ目は「リスナーが入れるコミュニティを作ること」です。

「仲間としてのつながりを持てる場所を作る」ということは、ファンを作る上で非常に重要な要素です。

例えば、ライブ・コンサートを開催することもそのうちの1つです。

同じ音楽・同じアーティストが好きな人が集まって、一緒に同じ時間を楽しむということは、「自分はこの人たちと仲間である」ということを感じられる大切な瞬間です。

まるで、現実世界から一時的に離れているような感覚にさえなります。

もちろん、何かイベントを開催したり新しいSNSアカウントを開設しても、全然人が来なかったり、全く返信が来なかったり、全然いいねがつかなかったりもするでしょう。

しかし、それでも何回でも挑戦し続けることが大切です。

「仲間としてのつながりを持てる場所」の例
・ライブやコンサートなどの対人イベント
・コメントができるSNS
・会員限定のメルマガや会報誌
・アーティスト自身が作ったプレイリスト

アーティストがファンを作るのが難しい理由

ここまでで、アーティストがより多くのリスナー&ファンを獲得するにはどうしたらいいのかをご紹介してきました。

「よし、やってみよう」と思った方もいるかもしれませんが、これらを実際にやるのは非常に大変です。

一時的にやることはできても、長期的に継続するのは本当に大変です。

逆に言えば、本当に大変だからこそ、長期的に成功できるアーティストが少ないのです。

ストーリーを伝えることやファッションがメインの仕事ならまだしも、みなさんのメインの仕事は音楽ですから、音楽以外のことにこれだけの労力を使うのは非常に大変です。

人に協力して手伝ってもらうこともできますが、そうするとその協力してほしい人にも自分のストーリーを伝えて、共感してもらう必要があります。

成功するには、村1つ分の力が必要なのです。

アーティストがファンを作るときにおすすめの書籍

今回ご紹介した「より多くのリスナー・ファンを獲得する方法」に関しては、「ファンベース」という本が非常に参考になります。

「どうしたらファンを増やせるのか?」「短期的なファンでなく、長期的なファンを獲得するにはどうしたらいいのか?」などが非常に詳しく書かれており、この記事でも登場した「ストーリー作り」や「コミュニティづくり」に関してもより具体的に解説されています。

音楽家・アーティストには必見の内容ですので、ぜひチェックしてみてください。



以上で解説は終了です。

当サイトでは他にもファンを作る方法やプロになる方法についてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓

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