【DTM】The Chainsmokers のヒット曲「Closer」で使われている作曲法3つ
- 2020.03.01
- 2024.09.08
- 作曲全般
ヒット曲ってどうやって作られているのかな?
今回はこのような疑問にお答えする内容です。
YouTube再生回数が5億回に近いこのヒット曲は、一見シンプルな曲にも思えますが、やはりプロらしいサウンドになっています。
一体どんなテクニックが使われているのでしょうか?
この記事では、この曲で使われている作曲方法を3つご紹介します!
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The Chainsmokers のヒット曲「Closer」で使われている作曲法3つ
The Chainsmokers のヒット曲「Closer」で使われている作曲法はこちらの3つです。
2.上手に「にごり」を作る
3.ペダルコードの使用
それでは、順に解説していきます。
ヒット曲の作曲法1:1コードを工夫してミニメロディーを作る
ヒット曲の作曲法1つ目は「1コードを工夫してミニメロディーを作る」です。
この曲のAメロ(Verse)は、Fm79コード(F Ab C Eb G)がベースとなるコードとして使われています。
言い換えると、このFm79コードをずっと弾いていても成立するセクションになっています。
しかし1コードで歌える曲だからと言って、例えばFmコードをずっとジャーンジャーンと鳴らしていてもつまらなくなります↓(1:34~1:49)
ここで、コードにバリエーションをつけてみます。
まず、Fマイナースケールの構成音を確認しましょう。
このうち、Fmコードと相性の悪いDbを除いた6音を、メロディーやFmコードに足して使っていきます。
※Fmコードの構成音「C」と半音違いになり、不協和音になるため
例えば、FmコードとFm7コードの2つを使いながらAメロ(Verse)を歌ってみると、Fmコードだけを使ったときよりもメロディアスになります↓(4:09〜4:43)
これにプラスで、9thの音(G)の音も足してFm79コードを使うと、「Fm」「Fm7」「Fm79」を使って演奏できるようになります。
1コードでもテンションを使えば「ミニメロディー」が作れる
このように、1コード(Fm)でもどのテンションを入れるか、トップノートをどの音にするかによって、ちょっとしたメロディーを作ることができます。
例えば「Fm」「Fm7」「Fm79」であれば、「E」「C」「G」の3音を使った簡単なメロディーを作ることができます。
Bbも入れれば、4音を使ったメロディーを作ることが可能です↓(4:48~5:43)
もちろん、テンションを足すだけではなくボイシングを変えてトップノートを変えてミニメロディーを作るのもよいでしょう。
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ヒット曲の作曲法2:上手に「にごり」を作る
ヒット曲の作曲法2つ目は「上手に”にごり”を作る」です。
「Closer」のBメロからはじまるベースには「Db」の音が使われており、コードはAメロから引き続き「Fm79」です。
実際の音はこちら↓(7:02~7:14)
コードが「F Ab C Eb」のとき、Dbを弾くとコードのCとベースのDbがぶつかってにごってしまいますが、この「にごり」が、逆にサウンドをリッチにしていきます。
Dbの音をコードに近い音程まで上げると違和感が大きくなりますが、音程を低くしておくと逆にキレイな和音に聞こえます↓(8:04~8:29)
スケールトーンを全て使い切る
コードがFm79(F Ab C Eb G Bb)のときにベースがDbを弾くと、Fmスケール全音を使っていることになります。
特にポップスでは、スケール上の音でどうしても使いづらい音があり、その音を使わないまま1曲が終わることもあります。
しかしこの「Closer」では、スケール音すべてを同時に使っているのにも関わらず、特に変な響きに感じさせないのがおもしろいところです。
同時に平行調も使っているように聞かせる
この曲でもう1つ面白いところが、コードはFmマイナーキーに聞こえるのにもかかわらず、メロディーはAbメジャーキーに聞こえるところです。
平行調なので、スケールのフラットの数が同じ、つまり使われている音は同じです。
ただし、ベースとなる音がFからAbに変わります。
コードはFmコードをずっと使っていますが、メロディーは「Ab」「Bb」「C」を中心に使っているので、コードだけ聞くとFマイナーキーに聞こえますが、メロディーだけ聞くとAbメジャーキーに聞こえます。
これもまた、この曲のおもしろい点の1つです。
ヒット曲の作曲法3:ペダルコードの使用
ヒット曲の作曲法3つ目は「ペダルコードの使用」です。
基本的なコードFmはそのままに、その他の音がいろいろ音を行ったり来たりしています。
たとえばFmコードがずっと鳴っている間、ボーカル(メロディー)では7th(Eb)や9th(G)などが使われています。
似ているテクニックに「ペダルトーン(ペダルノート)」がありますが、これは単音(主にベース)で同じ音をずっと鳴らしている間、メロディーやコードを変えるという手法です。
ペダルトーン(ベースペダル)関連記事
ケルト音楽やインド音楽などの民族音楽でも「ドローン」としてこのような手法が使われます↓
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ヒット曲が「ただのシンプルな曲」に聞こえない理由
ヒット曲「Closer」がただのシンプルな曲に聞こえない理由は、「1コード/1つのスケールを大いに活用しているから」です。
今回ご紹介したように、1コード「Fm」や1つのスケール「Fmスケール」をフル活用し、1つの素晴らしい楽曲に仕上げています。
The Chainsmokers のヒット曲「Closer」で使われている作曲法3つまとめ
以上が「The Chainsmokers のヒット曲「Closer」で使われている作曲法3つ」でした。
2.上手に「にごり」を作る
3.ペダルコードの使用
当サイトでは、他にもヒット曲の解説をまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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