【DTM】The Chainsmokers のヒット曲「Closer」で使われている作曲法3つ

【DTM】The Chainsmokers のヒット曲「Closer」で使われている作曲法3つ
世界的にヒットした曲で使われているテクニックを知りたい!
ヒット曲ってどうやって作られているのかな?

今回はこのような疑問にお答えする内容です。

数々の音楽教育を行なっているPyramindが解説する「The Chainsmokers “Closer”で使われている理論・アレンジの解説」をまとめました。

YouTube再生回数が5億回に近いこのヒット曲は、一見シンプルな曲にも思えますが、やはりプロらしいサウンドになっています。

The Chainsmokers – Closer (Official Video) ft. Halsey

一体どんなテクニックが使われているのでしょうか?

この記事では、この曲で使われている作曲方法を3つご紹介します!

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The Chainsmokers のヒット曲「Closer」で使われている作曲法3つ

The Chainsmokers のヒット曲「Closer」で使われている作曲法はこちらの3つです。

1.1コードを工夫してミニメロディーを作る
2.上手に「にごり」を作る
3.ペダルコードの使用

それでは、順に解説していきます。

ヒット曲の作曲法1:1コードを工夫してミニメロディーを作る

ヒット曲の作曲法1つ目は「1コードを工夫してミニメロディーを作る」です。

この曲のAメロ(Verse)は、Fm79コード(F Ab C Eb G)がベースとなるコードとして使われています。

言い換えると、このFm79コードをずっと弾いていても成立するセクションになっています。

しかし1コードで歌える曲だからと言って、例えばFmコードをずっとジャーンジャーンと鳴らしていてもつまらなくなります↓(1:34~1:49)

The Chainsmokers – Closer | Theory & Arrangement Breakdown

ここで、コードにバリエーションをつけてみます。

まず、Fマイナースケールの構成音を確認しましょう。

F G Ab Bb C Db Eb

このうち、Fmコードと相性の悪いDbを除いた6音を、メロディーやFmコードに足して使っていきます。
※Fmコードの構成音「C」と半音違いになり、不協和音になるため

例えば、FmコードとFm7コードの2つを使いながらAメロ(Verse)を歌ってみると、Fmコードだけを使ったときよりもメロディアスになります↓(4:09〜4:43)

The Chainsmokers – Closer | Theory & Arrangement Breakdown

これにプラスで、9thの音(G)の音も足してFm79コードを使うと、「Fm」「Fm7」「Fm79」を使って演奏できるようになります。

1コードでもテンションを使えば「ミニメロディー」が作れる

このように、1コード(Fm)でもどのテンションを入れるか、トップノートをどの音にするかによって、ちょっとしたメロディーを作ることができます。

例えば「Fm」「Fm7」「Fm79」であれば、「E」「C」「G」の3音を使った簡単なメロディーを作ることができます。

Bbも入れれば、4音を使ったメロディーを作ることが可能です↓(4:48~5:43)

The Chainsmokers – Closer | Theory & Arrangement Breakdown

もちろん、テンションを足すだけではなくボイシングを変えてトップノートを変えてミニメロディーを作るのもよいでしょう。

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ヒット曲の作曲法2:上手に「にごり」を作る

ヒット曲の作曲法2つ目は「上手に”にごり”を作る」です。

「Closer」のBメロからはじまるベースには「Db」の音が使われており、コードはAメロから引き続き「Fm79」です。

実際の音はこちら↓(7:02~7:14)

The Chainsmokers – Closer | Theory & Arrangement Breakdown

コードが「F Ab C Eb」のとき、Dbを弾くとコードのCとベースのDbがぶつかってにごってしまいますが、この「にごり」が、逆にサウンドをリッチにしていきます。

Dbの音をコードに近い音程まで上げると違和感が大きくなりますが、音程を低くしておくと逆にキレイな和音に聞こえます↓(8:04~8:29)

The Chainsmokers – Closer | Theory & Arrangement Breakdown

スケールトーンを全て使い切る

コードがFm79(F Ab C Eb G Bb)のときにベースがDbを弾くと、Fmスケール全音を使っていることになります。

Fマイナースケール:F G Ab Bb C Db Eb

特にポップスでは、スケール上の音でどうしても使いづらい音があり、その音を使わないまま1曲が終わることもあります。

しかしこの「Closer」では、スケール音すべてを同時に使っているのにも関わらず、特に変な響きに感じさせないのがおもしろいところです。

同時に平行調も使っているように聞かせる

この曲でもう1つ面白いところが、コードはFmマイナーキーに聞こえるのにもかかわらず、メロディーはAbメジャーキーに聞こえるところです。

平行調なので、スケールのフラットの数が同じ、つまり使われている音は同じです。

ただし、ベースとなる音がFからAbに変わります。

コードはFmコードをずっと使っていますが、メロディーは「Ab」「Bb」「C」を中心に使っているので、コードだけ聞くとFマイナーキーに聞こえますが、メロディーだけ聞くとAbメジャーキーに聞こえます。

これもまた、この曲のおもしろい点の1つです。

ヒット曲の作曲法3:ペダルコードの使用

ヒット曲の作曲法3つ目は「ペダルコードの使用」です。

基本的なコードFmはそのままに、その他の音がいろいろ音を行ったり来たりしています。

たとえばFmコードがずっと鳴っている間、ボーカル(メロディー)では7th(Eb)や9th(G)などが使われています。

似ているテクニックに「ペダルトーン(ペダルノート)」がありますが、これは単音(主にベース)で同じ音をずっと鳴らしている間、メロディーやコードを変えるという手法です。

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ヒット曲が「ただのシンプルな曲」に聞こえない理由

ヒット曲「Closer」がただのシンプルな曲に聞こえない理由は、「1コード/1つのスケールを大いに活用しているから」です。

今回ご紹介したように、1コード「Fm」や1つのスケール「Fmスケール」をフル活用し、1つの素晴らしい楽曲に仕上げています。

The Chainsmokers のヒット曲「Closer」で使われている作曲法3つまとめ

以上が「The Chainsmokers のヒット曲「Closer」で使われている作曲法3つ」でした。

1.1コードを工夫してミニメロディーを作る
2.上手に「にごり」を作る
3.ペダルコードの使用

当サイトでは、他にもヒット曲の解説をまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓

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