世界のプロがやっている「マルチバンドボーカルミキシングテクニック」

世界のプロがやっている「マルチバンドボーカルミキシングテクニック」

今回は、音楽プロデューサーのStreakyが教える「世界的プロがやっている”マルチバンドボーカルミキシング”」をまとめました。

メインボーカルはしっかり前に出て聞こえて、バッキングボーカルはそれを邪魔することなく、メインボーカルと一緒に楽曲を持ち上げていく感じ…

こんな理想的なボーカルミキシングをするには、一体どのようにしたらよいのでしょうか?

この記事では、世界的なプロエンジニアが実際に使っているテクニックをご紹介します。

PRO ENGINEER REVEALS: Multiband Vocal Mixing

スポンサードサーチ

はじめに:今回ミックスするボーカルを聞いてみよう

まずはじめに、今回ミックスするメインボーカル(1人)とバッキングボーカル(2人)を聞いてみましょう↓

0:45~0:55

PRO ENGINEER REVEALS: Multiband Vocal Mixing

悪くはありませんが、何だかアマチュアっぽく聞こえて、3人が一緒に歌っているように聞こえません。

また、バッキングボーカルがメインボーカルを邪魔してしまっていて、メインボーカルが「メイン」に聞こえない問題もあります。

それでは、ここから具体的にどのようにしてプロのようなボーカルにしていくのか、ミックスのコツを解説していきます。

ボーカルミキシングのコツ1:グループにまとめる(Busトラックを作る)

まずは、バッキングボーカルを「グループトラック」にまとめます。

「Bus」「サミングスタック」など、DAWによって呼び方は異なりますが、いわゆる「グループ」を作ります。

グループとしてまとめることで、複数トラックあるバッキングボーカルを1つにまとめ、同じ処理を一気に行うことができるようになります。

これはただ便利なだけでなく、「同じ処理を行うことでどのトラックも同じような音にすることができる」、つまりまとまりのある音に仕上げることにもつながります。

スポンサードサーチ

ボーカルミキシングのコツ2:EQとマルチバンドコンプレッサーを追加する

次は、バッキングボーカルにEQとマルチバンドコンプレッサーを追加します。

最初に使うのはEQで、今回はFabFilter社「Pro-Q3」を使っています。

マルチバンドボーカルミキシングテクニック
https://www.youtube.com/watch?v=DSc9i4DpjQE

200Hz以下は必要ないのでカットし、200~300Hz付近はモコモコした音になる原因になりやすいので、ダイナミックEQを使用して減らすように設定しています。

次に使うのはマルチバンドコンプレッサーで、今回はFabFilter社「Pro-MB」を使っています。

https://www.youtube.com/watch?v=DSc9i4DpjQE
https://www.youtube.com/watch?v=DSc9i4DpjQE

このマルチバンドコンプを使うときのポイントは、主に3つあります。

・180~900Hz、900~5000Hz、5000Hz以上の3セクションに分割する
・180~5000Hzを抑える設定にして、音を少し薄くする
(900~5000Hzはレンジを広めに)
・5000Hz以上は少しだけアップワードコンプレッションをさせる
※Rangeをプラス方向に設定していると、Upward Compressionを行う。この場合は、Thresholdを超えなかった音の音量を上げる。
・どのバンドもAttackは中ぐらい、Releaseは速め

それでは、このEQとマルチバンドコンプを使ったバージョンの音と元の音を比較して聞いてみましょう(3:41~↓

PRO ENGINEER REVEALS: Multiband Vocal Mixing

バッキングボーカルはメインボーカルを邪魔せず、しかし両方ともしっかり存在感を出しています。

マルチバンドボーカルミキシングテクニックのメリット

先ほどご紹介したEQやマルチバンドコンプでは、バッキングボーカルの特定の帯域を減らしたり、抑えたりしました。

これは、メインボーカルにとって重要な周波数帯域を譲ってあげるためです。

バッキングボーカルもそのような周波数帯域をたくさん含んでしまうと、メインボーカルに含まれているこの周波数帯域と被ってしまい、お互いの音が邪魔してしまいます。

バッキングボーカルの方を抑えすぎてしまうと、メインボーカルは目立つかもしれませんが、バッキングボーカルはもはや消えてしまうかもしれません。

そのため、「メインボーカルもバッキングボーカルも両方存在感はありながら、メインボーカルの方が優先して前に聞こえる」という塩梅を探すことが大切です。

スポンサードサーチ

リバーブをかけるとさらにプロっぽくなる

ここで、リバーブ(Valhalla VintageVerb)を使って、さらにプロっぽいバッキングボーカルにした例もお聞きいただきます(5:02~5:13)↓

PRO ENGINEER REVEALS: Multiband Vocal Mixing

リバーブも合わせると、たった3本のトラックでもプロのようなサウンドに仕上げることができます。

ぜひお試しください。

なお、当サイトでは他にもたくさんのボーカルミキシングテクニックをご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓

【KSHMR解説】DTMerのためのリバーブ講座 Part1 【KSHMR解説】DTMerのためのリバーブ講座 Part1 リバーブ(Reverb)をもっと上手に使えるようになりたい! 世界的に有名なプロからテクニックを学びたい! 今回はこのようなご要望にお答えする内容です。 数々のプラグイン・サンプルを販売する「Splice」が監修「Lesson of KSHMR」をまとめました。 今回はそのうち「リバーブに関するテクニック」の前半部分をご紹介します。 リバーブ講座Part1 「リバーブにサイドチェーンをかける」「リ […]
【DTM&MIX】プロが教えるリバーブの「Pre Delay」の上手な使い方 【DTM&MIX】プロが教えるリバーブの「Pre Delay」の上手な使い方 今回は音楽プロデューサーのMarc Daniel Nelsonが教える「リバーブのパラメーター”Pre Delay”の使い方」をまとめました。 多くのリバーブプラグインにある「Pre Delay」のパラメーターですが、これを上手に活用する方法とは一体何なのでしょうか? ここからは、海外プロが実際に使っているテクニックを交えて解説します! The Mystery of Predelay, SOLVE […]
The Weeknd スタイルのボーカルミキシング方法【リバーブ編】 The Weeknd スタイルのボーカルミキシング方法【リバーブ編】 今回は、Beat Academyが解説する「The Weeknd スタイルのボーカルミキシング方法」をまとめました。 この記事では「リバーブ編」として、ボーカルに対してどのようにリバーブを使っていけばよいのか、そのコツをご紹介していきます。 ディレイ編はこちら ※今回はAbleton Liveを使った制作方法をご紹介していますが、どのDAWでもお試しいただける内容です Creating The W […]

今回の解説で登場したプラグイン一覧はこちら↓