法律知識ゼロの自分がマンションの騒音問題を民事調停で解決した話(役に立った本も紹介)
- 2024.06.30
- 2024.11.02
- 防音・吸音・遮音・騒音
以前、住んでいたマンションで騒音被害に遭いました。
隣接している部屋から「ドンッ」「ドカン」「ドンドンドンドン」などの物音が長時間、毎日夜中まで続き、一睡もできない日々が何ヶ月も続いた結果、完全にノイローゼ状態になって体調を崩し、仕事にも支障が出ました。
壁や天井がペラッペラな木造住宅に住んでいるのであればしょうがないと思えましたが、そのマンションはそうではなかったことと、他に住んでいる人や前にその部屋に住んでいた人も静かだったこと、他の住人も自分と同様の被害を受けていたことから、結果的にその人の住まい方の問題であることがわかりました(ちなみに相手の方は単身でお住まいの方でした)。
この問題を解決すべく、法律の知識が全くなかった自分が弁護士や警察などいろいろな人に相談し、結果的に民事調停で慰謝料をもらってスッキリ解決することができました。
この記事では、この経験で学んだことや役に立った情報について話していこうと思います。
・騒音問題を解決したいが、自分はどうしても引っ越せない
・法律の知識はゼロ(民事調停って何?というレベル)
・弁護士に相談するのはちょっと躊躇する…
このような人であれば、この記事がきっと役に立つと思います。
1.騒音問題に遭ったらするべき5つのこと
2.騒音問題に遭ったらしてはいけない3つのこと
3.法律の知識がなくても民事調停は大丈夫なのか?
4.騒音問題に遭ったら覚悟した方がいい3つのこと
5.騒音問題解決のために役に立った本
(いろいろな本を読みまくった結果、個人的によかったと思った本)
書けることはできるだけ詳しく書いたので長くなっていますが、この下にある目次なども活用しながら、ご自身が興味のある部分を読んでいただけたらと思います。
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- 1. 騒音問題に遭ったらするべき5つのこと
- 2. 騒音問題に遭った時にしてはいけない3つのこと
- 3. 民事調停を行うまでの手順(民事調停の申し立て方法)
- 4. 実際に民事調停を行った体験談(当日の流れ)
- 5. 民事調停で無事、騒音問題を解決できた
- 6. 騒音問題に遭ったら覚悟した方がいい3つのこと
- 7. 騒音問題解決のために役に立った本(法律の知識ゼロの人にもおすすめの本)
- 8. 最後に
騒音問題に遭ったらするべき5つのこと
警察や弁護士などいろいろな人に相談しまくった自分の経験から言うと、マンションやアパートなどの集合住宅で騒音問題に遭ったら、まずは以下の5つをやることが大切だと感じました。
・ひどければ警察に通報をする
・証拠を残す(録音と撮影の両方)
・民事調停と訴訟についての基礎を知っておく
・弁護士に相談する
※上から順にやっていくといいと思います。自分はこの順番でやりました。
自分はこれら全てをやりましたが、騒音問題を解決して改めて「これらの5つがあったから解決できた」と強く感じています。
それでは、これらがなぜ重要なのかを順番に説明していきます。
騒音問題でやるべきこと1:管理人や管理会社に苦情を出す
自分のケースでは、まず騒音が出ている部屋を確実に特定した上で、マンションの管理人(管理会社)に苦情を出しました。
「〇〇号室の人が、毎日深夜まで物音がひどくて眠れないので、注意していただけませんか?」のような形です。
のちに紹介しますが、「相手の部屋(家)に行って直接苦情を言う」はおすすめしません。
これは警察の人にも言われたのですが、直接話し合うとお互いに感情的になりやすく、全く話にならなかったり、「うるさい vs うるさくしていない」の堂々巡りになってしまいやすいからです。
また、特に「若者」「単身」「女性」「小柄」などに該当する方は、もし相手が強気な人だった場合にナメられたり、逆に怒鳴り込まれたりする可能性があるので、相手とはあまり顔を合わせない方法で苦情を出すことをおすすめします、とのことでした。
騒音の苦情は何回か出してみた方がいい
短期間の間にむやみやたらと何度も苦情を出すのはよくないかもしれませんが、「1度言っても改善されないからもう諦める」ではなく、何回か言ってみるのが重要です。
1度言っても改善されないときは、2回目以降は「スリッパを履いてください」「特に夜10時以降は眠れないので配慮をお願いします」など、具体案や具体例を出すと相手も改善してくれやすいと思います。
「何度言っても直らなかった」「改善策を提案しても直らなかった」というのは、もし民事調停や訴訟になった時にこちらにとって有利な証拠となります。
騒音問題でやるべきこと2:ひどければ警察に通報をする
自分のケースでは、夜0時ごろまで騒音が続き、全く眠れない日々が続きました。
そのため、110番や#9110を使って「この部屋からの騒音が酷くて毎日眠れず、今も酷いのですが、注意していただけないでしょうか?」と通報しました。
通報は匿名でできますので、「匿名での通報でお願いします」と言ってOKです。
※通報すると名前・住所・連絡先を聞かれますが、あくまで警察の人が通報者が誰だったのかを把握するための情報なので、自分が通報したことを相手にバラされることはありません
この時、警察が直接注意した上で、相手がどんな反応をしていたか、何と言っていたかを後から警察から事後報告してもらえます。
この情報はもし民事調停や訴訟になったときにとても重要ですので、ぜひメモしておいてください。
騒音問題で110番はしてもいいの?躊躇する人はまず#9110へ相談を
#9110は、「110番をするほど緊急性もなく命に関わるようなことはないけど、困っていることがあるので警察に相談したい」というときに使える相談窓口です。
ただし、受付時間が限られているので、深夜は110番にかけるしかなくなることもあります(自分もそうでした)。
むやみやたらと電話をかけるのは控えるべきだと思いますが、眠れないほどの音量や頻度の場合は、この「警察への通報」も遠慮なく行った方が、「警察に直接注意してもらったのに改善されなかった」という証拠になりますし、抑止力にもなります。
「正直、騒音で110番っていうのもなんだか気が引けるなぁ。本当はもっと大事なことに使う電話番号だよなぁ。」と申し訳なさもありましたが、警察の人には「またうるさくなったら110番していいですからね」と言ってくれたので、そう言ってもらえたのは救いでした。
騒音がひどいときに#9110に相談したときは、110番をした時と同じような対応で「警察官が相手の家に直接行って注意」をしてくれました。
自分のケースでは実際に警察に数回通報しましたが、「何度も通報したが改善されなかった」という事実が功を奏して慰謝料を受け取ることにつながりました。
通報するのは本当に緊張しますが、本当に困った時はぜひ頼ってみてください。
騒音問題でやるべきこと3:証拠を残す(録音と撮影の両方)
書面は残りますが、音は消えます。
そのため、リアルタイムで記録しないと証拠が残らず、誰に相談をしても「本当にうるさいんですか?」「あなたが神経質なだけじゃないですか?」と言われて終わりです。
また、騒音問題でより強い証拠を残すためには、スマホのアプリではなく、数十万円ぐらいのちゃんとした騒音計を使って騒音測定をする必要があります。
とは言っても、騒音問題のためだけに何十万円もお金を使いたくなかったので、騒音計は区役所に行って借りました。
※「市区町村の名前 騒音計」で検索すると、騒音計を借りられるのか、役所の何課に行けば借りられるのかを確認できます。
スマホで「騒音計」「時計」の両方が映るように撮影をし、「何時何分に、どれぐらいの音量がどれぐらいの頻度で、どんな音でしていたのか」を証拠として残せるようにしました。
そして撮影・録音だけでなく、文章でも「何時何分に、どんな音が何回あったか」を、聞こえた分は毎日全て記録し続けました。
こうすれば、最悪民事調停や訴訟になっても証拠として提出することができ、相手も第三者(調停員や裁判官など)も納得させることができます。
※一番いい証拠は自分で計測したものではなく専門機関=第三者に計測してもらったデータになりますが、何もやらないよりはやった方がいいと思います
正直、証拠を集めるのは根気が必要で、精神的にも肉体的にも疲れますし、自分の生活の行動も制限されます。
というのも、例えば深夜まで騒音が発生している場合は、自分も深夜まで起きて、ずっと撮影・録音しなくてはいけないからです。
加えて、自分の生活音が録音データに入らないようにしたり、騒音をガッツリ聞かなくてはいけないので、精神が削られます。
これが「毎日」「長時間」も続けば、その分だけ撮影・録音しなければいけませんので、それだけ自分も拘束され、結構キツいです。
しかし、これをやらないと「別にたいしたことないじゃん」「これぐらい我慢しなよ」と誰も納得してくれませんので、ここは踏ん張りどころです。
騒音問題でやるべきこと4:民事調停と訴訟についての基礎を知っておく
管理人・管理会社にも警察にも、何度も通報しても騒音が改善されない…
そうなったとき、自分は民事調停を視野に入れました。
これはネットで知ったのですが、騒音問題は民事調停という「和解を目的とした話し合い」で解決できることがあります。
「訴訟」は、もう話し合いにならないとか、話し合いすら拒否するような人が相手だった時に行う「最終手段」です。
そのため、民事調停で調停員(話を聞いて和解を促してくれる人)に事情を説明し、相手と和解できるのが最も平和的な解決方法となります。
※ここで言う「和解」は「お金を払って解決とする」という方法も含まれますので、民事調停では慰謝料などの金銭の請求もできます
しかし、自分は法律の知識はゼロでしたし、「弁護士」「裁判」というものとは無関係の人生になると思っていたので、正直ビビりました。
そこで、弁護士に相談する前にある程度の知識はつけておこうと思い「民事調停」「民事訴訟」「少額訴訟」「本人訴訟」などのワードがタイトルにある本をひたすら読みまくりました。
ここで読んだ本のうち、役に立った本や法律初心者でも読みやすかった本はこの記事の最後にご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
読んでみて分かったのですが、これらの知識をつけておくと「交通事故」「給料未払い」「相続」など、誰にでも起こりうる他の問題にも対処できるようになるので、勉強しておいて損はありません。
騒音問題の失敗談:民事調停や裁判については騒音や体調が悪化する前に勉強しておくのがおすすめ
ここは自分で「失敗したな…」と思ったことなのですが、騒音によって体調が悪化している時に民事調停や訴訟関連の勉強をするのは結構キツかったです。
ただでさえ体調が悪いのに、証拠を集めたり、弁護士に相談したり、そのための準備もしなければなりません。
そのため、「あ、これは騒音だと言えるな」と思った時点で、民事調停や訴訟に関する基礎知識を身に付けておくことをおすすめします。
この記事の最後に法律初心者にもおすすめの読みやすい本をまとめていますので、こちらを読むだけで十分OKです。
※自分はこのおかげで、弁護士や調停員の方に「結構法律に詳しいんですね」「よく勉強されているんですね」と言ってもらえるレベルにはなれました
騒音問題でやるべきこと5:弁護士に相談する
管理人・管理会社にも何度も苦情を出し、警察にも何度も通報をして、証拠も集めて、民事調停や訴訟などの知識をある程度つけた後は、いよいよ弁護士への相談でした。
自分の地域の「法テラス」を調べて、そこで弁護士との相談を予約しても良いですし、最寄りの法律事務所に直接連絡をして事情を説明し、相談を受けてくれそうかどうかを聞くのも良いと思います。
自分は両方やって数人の弁護士に相談しましたが、30分5000円程度の相談をするだけでも、ものすごくタメになるアドバイスをもらうことができました。
4 民事調停をする前には弁護士に相談
ここで弁護士に相談してみて思ったのは、ネットにある情報だけを頼りに民事調停を起こして理想の結果を得るのは、法律の素人には少し難しいのではないかということです。
みなさんそれぞれに、それぞれのケースや事情がありますので、「自分のケースにはこういう方法がある」「自分は民事調停でこういうことを言っておいた方がいい・言わない方がいい」ということを知っておく必要があります。
弁護士に直接相談すれば、自分のケースに合った解決方法を提案してくれたり、「こういうことは言わない方がいい」なども教えてくれます。
一緒にベストな解決策を考えてくれますので、民事調停の前にはぜひ「直接弁護士に相談する」をしてみてください。
弁護士に相談する前にやってよかったこと
自分は数人の弁護士に相談をしましたが、いずれのケースでも「事前に状況や資料をまとめておく」というのはやってよかったことの一つです。
弁護士に相談すると、基本的には1回30分〜1時間ぐらいの時間制限があるので、スムーズに状況を説明できるようにする必要があります。
そのため、自分は集めた証拠や今までに起こったことは簡単に書類や音声データとしてまとめ、相談するときに渡して説明しました。
このおかげでかなりスムーズに相談することができたので、事前準備は大切だと思います。
騒音問題に遭った時にしてはいけない3つのこと
ここからは、管理人・管理会社、警察、弁護士に何度も相談して感じた「騒音問題に遭ったときにやってはいけない3つのこと」をお話します。
騒音問題でしてはいけないこと1.相手に直接苦情を言う
先ほども少しお話しましたが、相手の部屋(家)に行って直接苦情を言うのはおすすめできません。
警察の方に言われたのですが、直接話し合うとお互いに感情的になり、全く話にならなかったり、「うるさい vs うるさくない」の堂々巡りになってしまいやすいからです。
特に「若者」「単身」「女性」「小柄」に該当する人は、もし相手が強気な人だった場合にナメられたり、逆に怒鳴り込まれたりする可能性があるので、相手とはあまり顔を合わせない方法で苦情を出すことをおすすめします、とのことです。
苦情や通報は、マンション・アパートの管理人や管理会社、もしくは警察を介して行う方が良いようです。
騒音問題でしてはいけないこと2.相手へのやり返し(壁ドン・天井ドン・怒鳴るなど)
騒音問題に遭うと、あまりのストレスで「うるせぇ!」とムカついて思わず相手の部屋の壁や天井を「ドンッ」と叩いたり突きたくなることもあると思います。
しかし、これは誰のためにもならないので全くおすすめできません。
一度でもやってしまえば、相手に「あなただってやったじゃないですか!」と言われてスキを突かれてしまったり、相手が逆上してさらに問題がこじれてしまいます。
特に、もし慰謝料請求などを考えているのであれば、こちらには何の落ち度もないことがとても大切なので、相手へのやり返しはおすすめしません。
騒音問題でしてはいけないこと3.民事調停をせずにいきなり訴訟をする
自分は数人の弁護士に相談しましたが、全員が口を揃えて「まずは民事調停ですね」と話していました。
先ほども少しお話しましたが、訴訟は「もう話し合いにならない」「お互いに一歩も引かず、決着がつかない」と分かった時の最終手段です。
そのため、騒音問題が起こった時のおすすめの手順はこちらです。
2.民事調停(和解を試みる)
3.民事訴訟(強制的に決着をつける)
もし民事調停をすっ飛ばして訴訟をしてしまうと、「民事調停にも応じないほど、相手はこの騒音問題に対して不誠実である」という証拠(事実)が残せなくなります。
民事調停(話し合い)すらできない(成立しない)のであれば訴訟もやむを得ませんが、いきなり訴訟をするのは、弁護士の方もおすすめしていませんでした。
弁護士に相談したり訴訟に関する本を読みまくった結果、訴訟はあくまで最終手段として考え、まず民事調停で話し合いをしてみるのがベストのようです。
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民事調停を行うまでの手順(民事調停の申し立て方法)
あくまで自分が実際に行った手順ですが、民事調停を行うまでの流れを書いていきます。
1.民事調停を申し込むための「申立書」を書き、裁判所に提出する
騒音問題の場合は厳格な形式が決まっていないので、自分は「民事調停 申立書 書き方」などでググって出てきたものを使いました。
申立書には、自分の住所とフルネーム、そして相手の住所とフルネーム、申し立ての趣旨(なぜこの民事調停を行いたいのか、簡単な説明)を記入する必要があります。
「申し立ての趣旨」も、ネットで検索すれば書き方の例が出てきます。
裁判所から必要な収入印紙代と郵便切手代を聞く
裁判所で申立書を提出すると、必要な収入印紙代と郵便切手代について説明されました。
申立書に書いてある内容によって金額が異なるので、自分は提出した時に聞きました。
自分は「収入印紙」というものを買った経験がなかったので心配でしたが、近くの郵便局に行って「収入印紙を○○円分、何円分の郵便切手を○○枚ください」と言うだけでOKです。
ここで買った収入印紙代と郵便切手をあらためて裁判所に行き、申立書に不備がなければ「申し立て完了」になりました。
2.民事調停の日にちが決まり、連絡が来る
申立書の提出が完了してから1~2週間後に、民事調停の日にち(期日)が決まります。
自分の場合は裁判所から電話で連絡が来て、候補日をいくつか提示され、そこで日にちを決めました。
日にちが決まると相手に「通知書」が来ますが、相手が必ず調停に出席するとは限りません。
相手が出席しないとそもそも調停ができないので「不成立」となりますが、そこは仕方ありません。
不成立になって問題が解決しない場合は、泣き寝入りするか、訴訟に発展させるかのいずれかになるでしょう。
ADR(紛争解決センター)も騒音問題におすすめ
ちなみに、ADR(紛争解決センター)も騒音問題の解決におすすめです。
裁判所で行う「民事調停」と似ているのが、弁護士会が主宰している「ADR(紛争解決センター)」です。
中身はほぼ同じで、弁護士が双方の話を聞いて、和解を促してくれるというものです。
自分が調べたときは、値段は若干ADRの方が高かったのですが、何かしらの理由で民事調停ができない・やりたくない人は、ADRの窓口で事情を話してADRをしてみることをおすすめします。
自分もADRについて弁護士の方から説明を受けていて、こんな方法もあるんだなぁと勉強になりました。
法律の知識がなくても民事調停は大丈夫なのか?
自分は「法律」「裁判」とは無縁の人生を送ると思っていましたし、この騒音被害に遭うまで「民事調停」という言葉すら知らないほどの「法律ド素人」でした。
しかし、そんな人間でも民事調停はできましたし、慰謝料ももらえました。
特に、これまでお話した「騒音問題でやるべきこと」をやっている方なら、民事調停も問題なくできると思います。
実際に民事調停を行った体験談(当日の流れ)
民事調停の当日、裁判所の窓口に行って「○○時からの民事調停で参りました〇〇です」と伝えると「待合室」に案内されました。
しばらく待合室で待つと、裁判所の方が来て簡単な説明を受けます。
※このとき「相手と顔を合わせずに進めることもできますが、どうしますか?」と聞かれたので、相手と一切顔を合わせずに調停を進めることもできます。一応原則としては、顔を合わせずに進めることになっているようです。
はじめに説明を受けた後、自分と相手が交互に「調停室」に入って、それぞれが調停員の方と話をして、「相手がこう言っていましたが、どうですか?」ということをひたすら交互に続けます。
待合室は相手と別々なので、顔を合わせる心配はありませんでした。
調停員の方は思ったよりもラフに話してくれましたし、テレビでよく見る「証拠をバッチリ見せてガッチガチに相手を説得する」みたいなこともありませんでした。
※必要であれば、証拠書類や音声データなどを見せたり聞かせることができたり、提出を求められることもあります
民事調停はあくまでも「和解」を目標としているので、お互いの意見や事情を踏まえて、譲り合って、妥協点を探して「合意」を目指します。
自分の場合は、「このような騒音がこれぐらいの音量で、これぐらいの頻度で聞こえています。証拠はこちらにあります。そして、この騒音の影響でこういった被害を被り、これによって〇〇に対して○○円支払わなければいけなくなり、損害を受けました。そのため、弁護士とも話した結果、和解案として慰謝料○○円を求めたいです。」のように話しました。
「こういう書類はありますか?」というのは数回聞かれましたが、「証拠を全部見せなきゃ納得できないからダメ!」など、厳格な雰囲気はありませんでした。
そのため、自分が必死こいて集めた証拠をさほど見せることもなく、相手が慰謝料の支払いに合意して終わったのですが、仮に調停が不成立になった場合、次は訴訟しようと思っていたので、「訴訟になったときのための必要材料だったんだ」と思って納得しています。
民事調停の時の持ち物は?
民事調停の当日に必要だった持ち物+あった方がよかったものは、こちらの3つです。
・通帳
・暇つぶしになるもの
1つ目の「証拠書類やそのデータが入ったパソコン」は、調停員の方に見せるためのものです。
このとき、書類やデータは自分自身が混乱しないようにしっかり整理をしておくと、「具体的にどういった騒音ですか?」「こういう書類はありますか?」と聞かれた時にすぐ提出できます。
2つ目の「通帳」は、自分がお金をもらう形で調停成立(合意・和解)となった場合に相手にお金の振込先を伝える必要があるので、この時に必要です。
3つ目の「暇つぶしになるもの」は、スマホでも本でも何でもOKです。
相手が調停員と話している間、自分は待合室で待ち続けなければいけないのですが、これが何回もあったり、1回につき数十分ぐらい待ち時間があったりするので、暇つぶしになるものはあった方がいいと思います。
どうしても相手の言い分に納得できない、和解条件に納得できない場合は?
どうしても相手の言い分に納得できない、和解条件に納得できない場合や、そもそも相手が出席しない場合は「調停不成立」となります。
もし不成立になっても、2週間以内に訴訟手続きをすれば、民事調停のために支払った費用はそのまま訴訟に横流しできるので、金銭的な負担を少し減らせます。
自分は、もし調停不成立になったら少額訴訟をする予定でした。
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民事調停で無事、騒音問題を解決できた
自分のケースでは、民事調停で数回の話し合いを重ねた末、自分が慰謝料をもらう形で無事に和解することができました。
お互いに言いたいことを言ったり、譲りあって妥協点にたどり着くと、調停員の方に「それでは、この内容でよろしいですか?」と最終的な決定を確認されます。
YESと答えるとこれで「調停成立」となります。
※この時も、自分が希望すれば相手とは顔を合わせずに手続きできます
あとは家に帰り、後日裁判所から調停調書の送付にかかる郵便切手代について連絡があり、その郵便切手を購入して裁判所に提出して終わりです。
調停成立の数日後、「調停で決定した事柄が書かれている書類(調停調書)」を自分と相手が受け取って「完全に終了」となります。
※この時に、書類の送料として数百円程度の郵便切手を裁判所に提出する必要があります
今回の件があったからこそ「法律」「民事調停」「訴訟」などについて知ることができ、ここで得た知識は今後の人生で起こるであろうトラブルを解決することにもつながることも知ることができました。
特に証拠を集めている時が一番しんどかったのですが、人生で1度体験できてよかったなと思う出来事でした。
もちろん、生活が崩壊するのでもう騒音はこりごりですが…
騒音問題に遭ったら覚悟した方がいい3つのこと
自分の体験から言うと、もし騒音問題に遭ったら覚悟した方がいいことは3つあります。
2.警察や管理人&管理会社は注意しかできないこと
3.民事調停やADRになったら相手に自分の名前がバレること
1.長期戦になる可能性があること
覚悟した方がいいこと1つ目は、問題解決までに時間がかかり、長期戦になる可能性があることです。
1回苦情を出して改善された、1回警察に注意してもらったら直った…程度であればいいのですが、自分のように何度も注意しても直らない場合もあります。
そして民事調停やADR(最悪の場合は訴訟)となると、注意して改善を待つ期間、証拠を集める期間、民事調停・ADR等の準備する期間、民事調停・ADR等が実際に行われるのを待つ期間(1ヶ月程度)があります。
つまり、騒音問題を解決するまでには数ヶ月かかる可能性があります。
相手に改善してもらえない場合は、この数ヶ月間ずっと耐え続けなければなりません。
実家や友人の家などに泊まらせてもらうなどができれば理想ですが、そうもいかない場合は体力的・精神的にかなり厳しい期間になると思います。
2.警察や管理人&管理会社は注意しかできないこと
覚悟した方がいいこと2つ目は、警察や管理人&管理会社はあくまでも「注意」しかできないということです。
「その音が騒音にあたるかどうか」は、正直、人それぞれの感覚です。
そのため「足音がうるさい」「ドアを閉める音がうるさい」などの生活音程度では、「明らかにこれは犯罪」と言えるレベルでない限り、相手に強く警告することは難しいようです。
それゆえ、警察や管理人・管理会社はあくまでも「注意」しかできません。
「逆上して家に乗り込んで殴りかかってきた」なら警察も強く対応してくれますが、そうでない限りは「うるさいという通報がありましたので、お静かにお願いします」で終わります。
警察や管理人・管理会社の立場を考えれば納得できるのですが、騒音被害を受けている側からすると、正直不十分な対応なのではないかと思ってしまうと思います。
ただ、現実としてこれが限界のようですので、本当に酷い場合は民事調停や法的措置を取る必要があるでしょう。
3.民事調停やADRになったら相手に自分の名前がバレること
民事調停やADRになった場合は、相手に自分の名前がバレます。
民事調停・ADRを申し立てる書類には相手方の名前と住所を書く必要があり、その書類は自分と裁判所(ADRの場合は弁護士会)に加えて、相手にも渡されます。
正直「相手に自分の名前を知られたくない」と思うかもしれませんが、民事調停やADRをする場合は避けて通れないので、こちらは覚悟が必要です。
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騒音問題解決のために役に立った本(法律の知識ゼロの人にもおすすめの本)
最後に、今回のマンションの騒音問題を解決するためにいろいろな本をめちゃくちゃ読みまくった結果、読みやすいと思った本、役に立ったと思った本、自分のような法律初心者にもおすすめの本を紹介します。
「民事調停」だけを取り扱っている本は少なかったのですが、訴訟系の本には民事調停の話も掲載されていることが多かったです。
そのため、訴訟のことだけでなく「民事調停とは何か」「民事調停がダメだった時にはどうすればいいか」もセットで知ることができますので、どの本もおすすめできます。
自分の場合は民事調停が不成立になった時には訴訟を考えていたので、訴訟(少額訴訟も含む)についても同時に学べたのはとてもよかったです。
※自分はこれらの本を読んだおかげで、弁護士や調停員の方に「結構法律に詳しいんですね」「法律のことをよく勉強されているんですね」と言ってもらえるレベルにはなれました
「マンションの音のトラブルを解決する本」井上勝夫
サクッと読めるとても読みやすい本で、タイトルの通りマンション・アパートの騒音問題をどう解決すれば良いのかが書かれています。
「管理会社側は何をすればいいか」も書かれているので、「管理会社にできることはこれぐらいなんだな」という、別の視点も得ることができます。
騒音問題が始まったばかりのときも、「本格的に訴訟するぞ!」と思っている人も、まずはこの本を読んでみるといいと思います。
「自分でできる少額訴訟ハンドブック―事例にみる実務と実践」
自分のケースでは結果的に少額訴訟はしませんでしたが、この本を読んでいたおかげで「相手が民事調停に応じなかった場合や和解できなかった場合は少額訴訟をしよう」というプランを立てられました。
個人的には証明責任(立証責任)について学んだことで、できるかぎり証拠を残そうという気持ちになれたのが大きかったです。
この本に書いてあった内容を事前に知っておくことは、「訴訟になったらこうすればいいんだな」という安心材料になりました。
「自分にも関係あるかも」と思えるような身近な実例を用いて解説されているので、読みやすく、とてもためになります。
訴訟に限らず、民事調停における振る舞い方・話し方・話す内容の参考にもなります。
「示談・調停・和解のやり方がわかる」神田将
「調停を有利&円滑に進めるための知識」を得られればいいなと思って読みましたが、自分の人生に起こりうる、あらゆるトラブルもこんな方法で解決できるんだという学びも非常に多かったです。
(交通事故、借金、離婚など)
この記事を読んでいるということは、騒音・近隣トラブルで法的手段を考えている人が多いと思いますが、今後の人生に非常に役立つと思いますので(みなさんの知人にもアドバイスできると思いますので)、ぜひ読んでみてください。
「弁護士の上手な探し方・頼み方」自由国民社
弁護士に相談する上で大切なことについて書かれています。
「弁護士の知人がいる」という人はかなり少ないと思うので、自分で弁護士を選び、相談するときに役立ちます。
「急にケガをしたときは”救急病院”に行けばいいが、急にトラブルに遭ったときの”救急弁護士”や”救急法律事務所”ない。だからこそ、困ったときに相談できる弁護士を一人でも知っておくことはとても大切」という文章は本当にその通りだと思いました。
「弁護士への相談は、法律初心者でも大丈夫…むしろ、法律初心者だからこそ弁護士に相談するべき!」ということを教えてくれました。
「わかりやすい訴訟のしくみ」石原 豊昭
民事調停だけでなく、民事訴訟、刑事訴訟などの訴訟に関する内容や、自己破産、交通事故、債権回収(借金関係)、行政事件などのトラブルの解決法まで、訴訟に関するあらゆる内容が網羅されています。
「マンガで概要が説明→文章で詳しく解説」という流れなので、マンガだけ読んでも勉強になりますし、とても読みやすい本です。
「訴訟をするならこの一冊」國部 徹
こちらも、先ほどの「わかりやすい訴訟のしくみ(石原 豊昭)」と同様、民事調停を含め、訴訟に関係する内容が網羅された一冊です。
他の本に比べると内容がびっしりで情報量が多いですが、法律知識ゼロの人に対しても現実的な対応や策が書かれているので、訴訟に関するコツやアドバイスを知ることができます。
裁判に関する書類の書き方も、ポイントを教えてくれているのでわかりやすいです。
「訴訟は本人で出来る」石原 豊昭・石原 輝・平井 二郎・國部 徹
もし訴訟(少額訴訟を含む)をする場合、「弁護士費用は高いから雇えない…じゃあ本人訴訟にしよう」と思う人もいると思います。
そのような方には、このような「本人訴訟(弁護士を雇わずに自分一人で訴訟をする)」に関わる本を読んでおくと安心です。
「訴えられたらどうする!!」高島秀行
タイトル通り「訴えられた側」のための本ではあるのですが、実際に訴えると相手にどういうことが起こり、訴えた自分もどのような手続きを踏んでいくのかなどが分かります。
騒音問題でも、相手に逆ギレされてこちらが訴えられる可能性もゼロではないので、そのような時も冷静に対応するための便利な知識になります。
実際、ある日突然裁判所から訴状が届いたらビビってどうしていいかわからない人の方が多いと思いますので、読んでおくと今後の人生も安心です。
ちなみにページ数は意外と少ないので、サクッと読めます。
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございました。
騒音問題を解決する道のりは大変かと思いますが、この記事を読んで「こういうやり方もあるんだな」「こういう本もあるんだな」と思ってもらえたら嬉しいです。
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