【DTM】ピーク(Peak)とRMSの違いとは?【ミックス・マスタリング】
- 2023.04.25
- 2024.09.23
- ミキシングのコツ
今回は、Underdog Electronic Music SchoolのOscarによる「ピークとRMSの違い」をまとめました。
上手にミキシングやマスタリングをするためには欠かせない知識であるこれらについて、図を使いながらじっくり解説していきます!
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MIXで大切な「ピークボリューム」「RMSボリューム」「ダイナミックレンジ」
ミックスをする上で大切なのは、こちらの3つです。
RMSボリューム(RMS Volume)
ダイナミックレンジ(Dynamic Range)
今回のテーマは「ピークボリューム」と「RMSボリューム」の2つですが、これらが3つ目の「ダイナミックレンジ」に大きく影響します。
そのため、ここからは3つの言葉の意味と、ピークとRMSがそれぞれどのようにダイナミックレンジに影響してくるのかを解説していきます。
ピークボリューム(Peak Volume)とは?
ピークボリュームとは、名前の通り「一番音量が大きいところのボリューム」を指します。
単位はdB(デシベル)です。
上の図で言うと、赤線の波形のてっぺんがこの波形の図で一番音量が大きい部分になるので、ピークは緑破線のラインになります。
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RMSボリューム(RMS Volume)とは?
RMSは「およそ0.5秒間における音量の平均値」です。
※「Root Mean Square」の略ですが、これを知ると逆にややこしくなるので、覚えなくてもOKです
上の図で言うと、波形が見えている部分のうち、だいたい真ん中あたり(青破線)がこれにあたります。
ピークが「一番大きいところ」なので、RMS(平均)はそれよりも低い位置になります。
RMSは音圧(ラウドネス)や「いい曲かどうか」に影響する?
我々人間の脳は、「音が大きい=いい音」と感じるようになっています。
ピーク(瞬間的な音量)というよりは、RMS(平均音量)が大きいと「いい曲だな」と感じやすい傾向にあります。
これはなぜかというと、大きい音の方が温かみやパンチ、アナログ感、カリっとした感じ、明るさがあるように聞こえるからです。
そのため、「音圧(ラウドネス値)を上げて曲が大きく聞こえるようにしたい」という方は、ぜひこのRMSにも注目してみてください。
ダイナミックレンジ(Dynamic Range)とは?
一番静かなところと一番大きなところの差を「ダイナミックレンジ」と言います。
静かなところと音量が大きなところの差が大きければ大きいほど、「ダイナミックレンジが広い曲」ということになります。
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ピークとRMSの値が近いとどうなる?
それでは、先ほどとは違う波形を見てみましょう。
波形の縦幅が狭く、ピークとRMSの値が近い状態です。
これを見ると、一番音が小さい部分が一番大きい部分(ピークの位置)とそこまで変わらないです。
つまりこの曲(Example Song2)の場合は、先ほどの曲(Example Song1)よりもダイナミックレンジが狭いということになります。
Example Song1に比べると、ピークとRMSとの距離が狭いです。
プロがミキシングやマスタリングを手がけると、Example Song2のような、コンプレッションをかけた波形になることが多いです。
※しかし、コンプレッションをかければかけるほど良い、というわけではありません。こちらについては後述+別記事で解説します
自分の曲と参考曲を比べてみよう
よりプロフェッショナルなサウンドに近づけるには、参考曲(リファレンス曲)と比べてみるとよいでしょう。
DAWに自分の曲と参考曲を両方取り込んで、同じ音量にし、A/Bテストをしてみましょう。
おそらく参考曲(プロの曲)と比較して聞くと、悔しい思いをするでしょう。
参考曲の方が、もっと大きく、パンチが効いて、もっと明るく、カリっとしていたり、より丸みがあってスムーズで…のように聞こえることが多いと思います。
これは、参考曲(プロの曲)の方が、あなたの楽曲よりもRMSが高いからだと言えます。
逆に言えば、参考曲と同じRMSにすることができれば、あなたの曲も同じぐらいの音量や明るさ、温かさで聞こえることになります。
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ミックスにおけるRMSの調整方法
RMSを揃える練習をするには、まず参考曲の音量を、自分の曲と同じぐらいまで下げます。
この状態で、自分の曲と参考曲を交互に聞いてみます。
こうすると、「音量が大きく聞こえるから参考曲の方が良い曲に聞こえる」など音量にまどわされることなく、純粋に曲を構成する各要素のバランスを見極めることができます。
「自分の曲にはこの要素が多すぎる」「自分の曲にはこの要素が足りない」などのバランスの問題が見えてくるので、あとはそちらを調整するだけです。
ボリュームメーターの見方
最後に、ボリュームメーターの見方を解説します。
例えばAbleton Liveの場合、ボリュームメーターはこのようになっています。
濃い緑のゲージと、薄い緑のゲージがあります。
濃い緑のゲージが「RMS」で、薄い緑のゲージが「ピーク」を指しています。
そのため、このように「自分の曲」のトラックと「参考曲」のトラックを隣に並べてボリュームメーターを見てみると、おおよそのRMSやピークがわかります。
ピーク(Peak)とRMSの違い、ダイナミックレンジまとめ
今回は、ピーク(Peak)とRMSの違い、そしてダイナミックレンジについても解説しました。
RMS:およそ0.5秒間における音量の平均値
ダイナミックレンジ:一番音が小さいところと大きいところ(ピーク)の音量差
よりプロレベルのミックスをするためにはとても重要なワードですので、ぜひ覚えておきましょう!
そして次は、これらの知識を活用した「リミッターを使った上手なミックスの仕方」を解説していきます↓
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