【DTM・作曲】90年代風のフレンチハウスの作り方【ダフトパンク・Nu Disco】
- 2023.02.26
- アレンジ
今回は、Estueraが解説する「90年代風フレンチハウスの作り方」をまとめてみました。
Daft Punk(ダフトパンク)が有名な90年代フレンチハウスは、そのクールなサウンドで今でも根強い人気を誇っています。
今回は、DTMerなら一度は作曲してみたいこのジャンルの作り方をご紹介していきます!
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はじめに:フレンチハウスとは?
フレンチハウスは90年代中盤〜後期に人気となったジャンルで、ニューディスコ(Nu Disco)と呼ばれることもあります。
個人的には、ディスコの曲をサンプリングしてフィルターをかけて使うことが多いことから「フィルターハウス」「フィルターディスコ」と呼んだりもしています。
なぜ「フレンチハウス」と呼ばれるかと言うと、おそらくこのジャンルの先駆けとなったアーティストにフランス出身のプロデューサーが多かったからでしょう。
例えば、Thomas Bangalter(Daft Punk)やStardust、Bob Sinclar、Cassius、Modjoなどのアーティストはフランス出身です。
フレンチハウスの作り方
それではここから、フレンチハウスの作り方を1つずつ順に解説していきます。
1.Rhodesでコードバッキングを作成
まずは、Rhodesを使ってコードを弾きます。
今回はArturia社のRhodes(The Stage 73V)を使います。
(Arturia社の製品を含むRhodesのサウンドが使えるおすすめの音源は、記事下にまとめて掲載しています)
2.KORG MS-20とM1でベースラインを作成
次は、KORG MS-20とM1でベースラインを作ります。
MS-20を使うと70年代らしい、Daft Punkのファンクらしさを出すことができます。
ベースラインを強調するため、M1のサウンドも使います。
実際にフレンチハウスでM1が多用されていたかは定かではありませんが、昔も今も多くのスタジオにこのシンセがあり、ベースラインを強調するサウンドとしてとても使えるため、こちらを利用します。
さて、ここまでのコードとベースのサウンドを同時に聞いてみましょう。
3.ドラムサンプルでドラムパターンを作成
フレンチハウスでは様々なドラムサンプルが使われ、生ドラムのサンプルが使われることもあれば、ループや909(ドラムマシン)が使われることもあります。
今回は、まずTR606を使います。
ここに、909のサウンドを足していきます。
また、よりよいグルーヴにするため、ドラムマシンの「SHUFFLE」はONにします。
そして、生ドラムのキックとハイハットのサウンドも足し、アクセントも足していきます。
最後にステップフィルターをかけ、ドラムのグルーヴに動きをつけていきます。
4.ミキシング(各パートにコンプレッション)
フレンチハウスのスタイルは、ミキシングが重要です。
基本的にはたくさんのコンプレッサーを使い、ラジオ感のある、目の前に音があるようなサウンドに仕上げていきます。
まずはRhodesのサウンドにコンプレッサーをかけます。
こうすると、鍵盤を押していない時に鳴っているやリバーブ(残響)など、小さい音が持ち上がり、よりダイレクトなサウンドになります。
コンプレッサーON/OFFを比較して聞いてみましょう。
次は606のキックにコンプレッサーをかけます。
このようなスタイルの曲にはあまり重たいズンとしたキックは必要ありませんが、パンチは欲しいですね。
パンチがあるキックにするため、コンプレッサーのAttackは少し遅めに、Releaseは中くらいに、Thresholdは低めに、MAKE UP GAINは高めに、Ratioも高めに設定します。
5.ミキシング(ドラムとベース)
次は、ドラムとベースをグループチャンネルに送り、まとめてミキシングを行います。
とても強くコンプレッサーをかけるのですが、ここではパラレルコンプレッションを行います。
パラレルコンプレッションとは、元々の音(コンプレッサーをかけていない音)と、コンプレッサーをかけた後の音を混ぜるテクニックです。
ハウスミュージックではよく使われます。
試しに、元々の音に強くコンプレッションをかけた後の音をだんだん足していきましょう。
特にTomの音がはっきり持ち上がったことがわかりますが、他のパートも、些細な差ではありますが、違いが出ていることがわかります。
6.フィルター
次は、フレンチハウスの大きな特徴でもあるフィルターサウンドです。
MS-20にあるフィルターやSherman Filterbankなどを使っても良いですし、自分が使っているDAW付属のフィルターを使ってもOKです。
今回は手軽にフィルターをかけるため、Cubase付属のフィルター「morph filter」を使います。
すべてのパートにフィルターをかけたいので、Sub Mixにフィルターをかけます。
7.ボーカルサンプル
ここで、ピッチを上げたボーカルサンプルを入れるアイデアを思いついたので、これを足していきます。
トラックに入れてみると、よくマッチしていることがわかります。
さらに短いボーカルサンプルを入れ、曲の展開に良いアクセントを加えていきます。
このボーカルサンプルには、Tape Delayを少しかけます。
8.FX
最後に、レーザースウィープ(Lazer Sweep)のエフェクトを入れます。
これは自分でMS-20で作ったもので、Dropに入る合図となるサウンドです。
9.完成!
これで楽曲は完成です!
今回解説した通り、強いコンプレッションをかけるので、あまりいろいろな音を足したりレイヤーしすぎるとごちゃごちゃしてしまいます。
そのため、このジャンルでは「Less Is More」がキーポイントとなります。
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「90年代風のフレンチハウス」におすすめのプラグイン・音源
最後に、90年代風のフレンチハウスを作るときに使えるおすすめのプラグイン・音源をご紹介します。
Arturia社「Analog Lab V」「V Collection 9」「The Stage 73V」
今回の解説でも使われていた「The Stage 73V」「Rhodes」「MS-20」のサウンドを作るときにおすすめの音源です。
「The Stage 73V」「Rhodes」「MS-20」をはじめ、数多くのキーボードサウンドが網羅されている最強バンドル「V Collection 9」
「The Stage 73V」「Rhodes」などのサウンドが同梱されているリーズナブルなバンドル「Analog Lab V」
「The Stage 73V」単品
Spectrasonics社「Keyscape」
今回の解説でも使われていた「Rhodes」のプリセットが豊富に入っています。
SPECTRASONICS ( スペクトラソニックス ) / Keyscape
Arturia社「Filter MS-20」
今回の解説で使われていた「MS-20」のフィルターサウンドを作るときにおすすめです。
Cherry Audio「PS-20」
今回の解説で使われていた「MS-20」のサウンドを作るときにおすすめの音源です。
Audio Damage社「Filterstation2」
今回の解説で少し触れていた「Sherman Filterbank」のフィルターサウンドを実現するのにおすすめのフィルタープラグインです。
D16 Group社「Nithonat」
今回の解説で使われていた「TR606」のサウンドを作るのにおすすめのプラグインです。
Wave Alchemy社「Revolution」
今回の解説で使われていた「TR606」「TR909」のサウンドを作るのにおすすめのプラグインです。
Minimal Audio社「Morph EQ」
今回の解説で登場したMorph系のサウンド作りにおすすめのプラグインです。
Zynaptiq社「MORPH 2」
今回の解説で登場したMorph系のサウンド作りにおすすめのプラグインです。
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