世界的ヒット曲の法則と作り方【マックス・マーティンから学ぶ】
今回はこのような疑問にお答えする内容です。
テイラー・スウィフトやアリアナ・グランデ、ケイティー・ペリーなど、世界中の誰もが知るトップアーティストをプロデュースするマックス・マーティン。
第1回目のテーマは「マックス・マーティンが手がけたヒット曲の共通点」です。
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音楽プロデューサー「マックス・マーティン」って誰?
マックス・マーティンは、世界中で活躍しているスウェーデンの音楽プロデューサーです。
テイラー・スウィフトやケイティ・ペリー、The Weeknd、Maroon 5、ジャスティン・ティンバーレイク、アリアナ・グランデなどをはじめ、誰もが知る世界的ヒット曲を多数プロデュースしており、そのラインナップを見るだけでとてつもないヒットメーカーであることがわかります。
ここからは、このマックス・マーティンのヒット曲ではどんな作曲法が使われているのか、じっくり解説していきます。
メジャーキーとマイナーキーの使用比率
マックス・マーティンのヒット曲のうち、73%はメジャーキー、27%はマイナーキーでした。
メジャーキーの場合、特にGメジャーキーがよく使われています。
メジャーキーにおける楽曲分析
ここからは、メジャーキーにおける楽曲の特徴をご紹介します。
メジャーキーの楽曲でよく使われているダイアトニックコード
よく使われているコード進行
vi – IV – I – V
マイナーキーにおける楽曲分析
ここからは、マイナーキーにおける楽曲の特徴をご紹介します。
マイナーキーの楽曲でよく使われているダイアトニックコード
よく使われているコード進行
「4コード」のコード進行がよく使われています。
4コードとは、この4つのコードで構成されるコード進行のことです。
例えばCメジャーキーだと、このようなコード進行になります。
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ヒット曲の楽曲構成と歌詞の特徴
次は、楽曲の構成や歌詞に関する特徴です。
ヒット曲の特徴1.1分以内にサビが始まる
多くの楽曲が、楽曲開始から1分以内にサビが登場しています。
およそ40秒ごろからはじまり、早くて30秒から始まっています。
ここからわかる現代音楽の特徴として、「リスナーが楽曲を注意して聞ける時間は短い」ということです。
すぐサビに行ったり、すぐ楽曲の注目ポイントに行かないと、リスナーは遠ざかってしまいます。
楽曲のテンポを考慮しよう
サビに到達するまでの時間について考えるときは、小節数ではなく秒数で考えましょう。
速いテンポのときは遅いテンポの2倍の小節数で40秒に達するかもしれないし、遅いテンポのときは、速いテンポの半分の小節数で40秒に達するかもしれません。
ヒット曲の特徴2.わかりやすい歌詞
2つ目のポイントは「理解しやすい歌詞」です。
ほとんどの楽曲が、小学4年生レベルの英語の歌詞でした。
最もレベルが低いと言えるものは、小学1年生レベルの英語です。
Pinkの「So What」に関しては「0年生レベル」で、歌詞のほとんどが「na na na ~」です。
もっとも英語レベルが高かったのは、日本人にはおなじみのテイラー・スウィフトの「We Are Never Ever Getting Back Together」と、ケイティーペリーの「E.T」でした。
理解しやすい歌詞にするメリット
誰にでもわかるようなかんたんな歌詞にすることで、「理解しやすい歌詞=近づきやすい」曲にすることができます。
ポップスが「インテリ性を感じないゴミだ!」というわけではありませんが、老若男女に幅広く愛される楽曲にするには、歌詞にも注目するとよいでしょう。
マックス・マーティンの母国語は英語ではない
ここで重要なのが、マックス・マーティンの母国語は英語ではないというところです。
彼はスウェーデン人で、英語歌詞の曲を聞いて育っていますが、英単語をすべて知っているわけではありません。
彼は、その言葉が持つ音や形、メロディーにどうフィットするかに注目しているのです。
実際に、彼はインタビューでもこのように答えています。
「僕らはいいなと思った音や言葉に惹かれている」
「いいメロディーであっても、ダメな歌詞に壊されてしまうことがある」
「英語のネイティブじゃない」が強み
マックス・マーティンを見ていると、英語のネイティブスピーカーが正しい言葉の意味や文法・構文に取り付いてしまう一方で、ネイティブではない人の方がメロディーに合った音を持った言葉で歌詞を作りやすいこともある、と感じます。
ネイティブでない人の方が、シンプルな歌詞を好んだり、純粋にサウンド(音)だけで判断する傾向があるのかもしれません。
そのため、「英語が堪能に話せないから英語の歌詞で曲を作ってもダメなんだ」と思う必要はないでしょう。
ヒット曲の特徴3.超シンプルなハーモニー構成(3~6コード)
3つ目の特徴は「とてもシンプルなハーモニー構成」です。
マックス・マーティンの曲では、たったの3~6コードしか使っていないことがほとんどです。
コード進行のバリエーションに頼らず、シンプルなコード進行だけを使って3〜4分間の楽曲を上手に展開させているのは、彼の楽曲の魅力の1つでしょう。
ヒット曲の特徴4.短くユニークなイントロ
4つ目の特徴は「短くユニークなイントロ」です。
ありきたりなパターンではなく、聞いたことのないような短いフレーズをはじめに聞かせることで、リスナーをすぐ曲に引き込むことができ、「次に何が来そうか」「どんな感じの曲か」を考えさせることができます。
これも前述の「1分以内にサビがはじまる」と同様、速いテンポの曲なら1小節だけだったり、遅いテンポの曲なら4小節だったりします。
サビ(もしくはサビの一部)をイントロとして扱う場合も、マックス・マーティンは2秒で曲を把握させることができるのです。
ヒット曲の特徴5.だんだん発展していく+新しい要素を1つだけ加える
5つ目の特徴は「1度に加える新しい要素は1つだけ。そして曲をだんだん発展させていく」です。
私たちの耳は、一度に何個もの新しい要素を聞き取る(理解する)ことができません。
マックス・マーティンはこれに非常に気を配っていて、新しく追加した要素をどのように聞かせるか、どのように曲を発展させていくかをよく工夫しています。
このようにすることで要素を付け足しすぎることも防ぐことができるので、これがマックス・マーティンにとってもっとも大きな「シンプルの哲学」と言えるでしょう。
「シンプルさ」を使って曲のバランスを整える
これを応用して、たとえば「Aメロは忙しい感じにし、Bメロはゆったりした感じにする」「Bメロにワンノートメロディーを使うが、サビには使わない」などの工夫ができます。
↓ワンノートメロディーについてはこちらで解説しています
以上で今回の解説は終了です。
こちらの記事では、別の解説者がマックス・マーティンの作曲術について分析した動画の内容をまとめています。
今回出てこなかった作曲術も紹介しているので、こちらもぜひご覧ください↓
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