アレンジ・打ち込み

ジャスティン・ビーバーの曲に使われたサウンドの作り方【DTM】

今回は、サンプル・プラグインを販売するSpliceのインタビューで、音楽プロデューサーのlaxcityが語った「ジャスティン・ビーバーの曲で使われたサンプルの作り方」をまとめました。

laxcity(@laxcity)はイギリスの音楽プロデューサーで、Spliceにもサンプルパックを登録・販売している人物です。

そんな彼が作ったとあるサンプルが、2020年2月にリリースされたジャスティン・ビーバーの「Running Over」で使われていることが判明しました。

Justin Bieber - Running Over (CHANGES: The Movement) ft. Lil Dicky

ジャスティン本人からもTwitterで感謝されるなど、ジャスティンの曲において非常に大きな役割を果たしたそのサンプル。

いったいどのように作られているのか、laxcity本人が解説しました。

ジャスティン・ビーバーの曲と使われたサンプル

2020年2月14日に公開された、ジャスティン・ビーバーの「Runnning Over (feat. Lil Dicky)」はこちら。

Justin Bieber - Running Over (feat. Lil Dicky)(Audio)

冒頭から「ポンポンポンポン」と飛び跳ねるように刻むパターンが聴こえますが、これがlaxcityが作ったサンプルです。

https://twitter.com/Darby__Music/status/1228237971251290113?s=20

ちなみに本人はこのツイートを受けて、自分が作ったサンプルがジャスティンの曲で使われていると知ったといいます。

Spliceで配信されている実際のサンプルはこちら

Spilice「MDSN_LXCTY_melody_good_morning_clone_80_C#min.wav

世界に通用するサンプルの作り方

それではここからは、このループの作り方をご紹介します。

ちなみに記事中にはサンプル作成手順の動画もありますので、ぜひチェックしてみてください。
(「What was the sound design process behind the loop? Do you remember what instrument you used?」)

使用プラグイン

基本的なサウンドには、FL Studio付属のプラグイン「Wasp」を使います。
(ちなみにFL Studioを持っていない方でも、ベーシックなサイン波・矩形波(スクウェア)を作れるシンセならなんでもOKです)

これに加え、Xfer Recordsのマルチバンドコンプ「OTT」EQで調整していきます。

Xfer RecordsのOTTは無料で、こちらからダウンロードできます。

関連記事

サンプルを作る手順

ここからは、実際にこのサンプルを作る手順をご紹介します。

1.Waspを使って、ローパスした矩形波(スクウェア)を作る


画像:記事中動画より

こうすると、短いプラックサウンドのようになります。

2.EQで音作り


画像:記事中動画より

EQで音作りをしていきます。

3.マルチバンドコンプで高域を強めにコンプレッション


画像:記事中動画より

OTTを使い、高域に強くコンプレッションをかけます。

これにより音がポップになりすぎず、ちょっとこもった感じになります。

4.サイン波でベースパートを作る


画像:記事中動画より

ベーシックなサイン波のトラックを新しく作ります。

ベースの役割をさせたいので、低域のみ残し、中域以上はカットします。

このとき、ほんのちょっとだけディストーションをかけます。

5.EQで低域を削る


画像:記事中動画より

サイン波のベースとぶつからないよう、矩形波のローをがっつり削ります。

7.バウンス→Blur(ぼかし)→レイヤーする


画像:記事中動画より

これまで作った音をバウンスしてオーディオファイルにします。

バウンスしたものは、FL StudioのBlurツールを使ってぼかした音に仕上げます。
Blurツール:コンボリュージョンリバーブと同じ効果をもたらすツール

そして、ぼかしを入れていないオリジナルの音の上に乗せてレイヤーします。

完成!

まとめると、最終的にはこのようなレイヤーになります。

レイヤー1: 矩形波(ローカット)+サイン波(ローのみ+ディストーション)
レイヤー2: レイヤー1にBlurでコンボリュージョンリバーブ(ぼかし効果)をかけたもの

音自体はシンプルですが、このように工夫を加えることで、一気にプロっぽいサウンドになります。

ぜひお試しください。

当サイトでは他にも有名アーティストの楽曲で使われている作曲テクニックをまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


人気記事

1

今回は、Waves社のリミッタープラグイン「L4 Ultramaximizer」の新機能と基本的な使い方をまとめました。最新作「L4 Ultramaximizer」は、これまでLシリーズを使ってきた方にもそうでない方にも非常におすすめできるプラグインですので、ぜひチェックしてみてください。

シンセのLFOとは? 2

今回は、Underdog Electronic Music Schoolが解説する「シンセの学び方」をまとめました。この記事では「基礎編」として、シンセを使いこなすために最低限必要な知識をやさしく解説していきます。

3

DTMをしていると、DAWのプロジェクトファイルや作曲に関わる資料が大量に作られてしまい、ファイル探しに難航したり、データを紛失したり、容量がすぐいっぱいになってしまいます。そこでこの記事では、このような「膨大な量のファイルを適切に整理する方法」と「ファイルを守るためのバックアップ術」について解説します。

4

今回は、DTMでおすすめのオーケストラ系楽器がすべて使える音源をまとめました。1つ購入するだけで弦楽器・金管楽器・木管楽器・打楽器すべてが揃うだけでなく、世界中のプロが愛用する高品質の製品ばかりですので、まだお持ちでない方はぜひチェックしてみてください。

5

今回は、これからDTMをはじめたいという方向けに「Amazonで買えるDTM初心者セット」を3つご紹介します。「これからDTMをはじめたいけど、何を買ったらいいかわからない」「とりあえずこれさえ買っておけばOKみたいなセットはない?」このような方のための記事ですので、ぜひ参考にしてください。

6

今回は、Spliceが解説する「自宅の音響を整える方法」をまとめました。スピーカーを使ってDTMをしている音楽のプロが必ず行っているのが、部屋の音響を整えることですが、質がいい吸音材ほど値段が高く、数万〜数十万円する製品も少なくありません。そこでこの記事では、できるだけ安価に音響を整える方法を3つご紹介していきます。

7

今回は「FLUX:: Pure Analyzer Systemの使い方」をまとめました。このプラグインは、世界中の音楽プロデューサー・DTMerに愛用されているアナライザープラグインです。とてもキレイな見た目をしていますが、いったいどのようなプラグインで、どのように活用すればいいのでしょうか?

8

この記事では、AmazonのKindle Unlimitedで読めるおすすめのDTM・作曲関連本をご紹介します。Kindle Unlimitedは、月額1000円程度で対象本がすべて読み放題になるサービスです。月に1冊読めば元が取れるので、2冊以上読むと非常にお得です。ぜひこの機会に登録してみてください!

9

今回は、Cableguys社が解説する「ドラムにパンチを加えるプロのテクニック」をまとめました。ほんの少しの工夫でドラムがかっこよくなるテクニックですので、ぜひお試しください。

10

ボーカルの録音に使うリフレクションフィルターって必要? 何のために使う?今回はこのようなお悩みにお答えする内容です。リフレクションフィルターはどのような効果があるのか?をまとめました。よくアーティストのレコーディング風景で見られるリフレクションフィルターは、マイクの後ろにつけるアイテムですが、この効果をご紹介します。

-アレンジ・打ち込み