Jonathan Wynerが教えるマスタリングEQのコツ10選
- 2019.06.04
- 2024.09.01
- マスタリングのコツ
今回は、iZotopeのEducation DirectorでありプロのマスタリングエンジニアのJonathan Wynerが教える「マスタリングEQのコツ」をまとめました。
すぐ実践でき、即効果を実感できるテクニックを10個ご紹介します。
「ミキシングとマスタリングのツールの違いって何?」
「すぐ使えるマスタリングEQテクニックが知りたい!」
こんな疑問や要望をお持ちの方におすすめです!
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マスタリングをするときの「大切なマインドセット」
マスタリングにおいては、EQなどのベーシックなツールをマスターすることが最も大切です。
エキサイターやリバーブなど、最終的には多くのツールを使いますが、結局はEQなどベーシックなツールを使った作業に最も時間をかけるからです。
また「ベーシックでないツール」は文字通りいつも使うわけではないので、いつも使うツールを使いこなせる状態にしておくことが最優先です。
ベーシックなマスタリングツールの使い方記事↓
EQとは「復元」である
そもそもEQは、まだ発展途上だった電話回線の音声を復元するために発明・開発されたものです。
(当時は特に高音域が削られてしまっていました)
そのため、EQとは「音のバランスを復元するために行うもの、正しくするためのもの」として捉えることが大切です。
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プロが使うマスタリングにおける使用機材は?
Jonathan Wynerが個人的に使っているのは、スピーカー「Yamaha NS-10」です。
※NS-10は販売終了しています
ミキシングにおいて重要な「楽器同士の音量レベル関係」を確認するのに非常に良いスピーカーです。
正直、フルスペクトラム(低音域から高音域までのすべて)を聞くことに関しては少しだけ物足りなさもあります。
そのため、このスピーカーで音を厳密に判断しバランスを取るようなミキシングするのは非常に難しいですが、高音域・中音域・低音域をそれぞれ測ることにおいては問題ありません。
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マスタリングエンジニアの役割
マスタリングエンジニアの役割は「ミキシングエンジニアが本来意図していたバランスの復元」です。
ミキシングエンジニアが使っているスピーカーや本人の耳のせいで、低域が足りない楽曲や、逆に低域が多すぎる楽曲になっていることがあります。
そのため、マスタリングにおけるEQは「明確さ・明瞭さを復元したり、バランスを取ること」を大切にします。
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ミキシングのツールとマスタリングのツールの違い
ミキシングのツールとマスタリングのツールの大きな違いは、ユーザーインターフェース(UI)やインタラクション、レイアウト、そしてこれらとの関わり方です。
実は使うツール自体はそんなに変わりはなく、その活用の仕方が違うだけなのです。
例えばiZotope社「Neutron」と「Ozone」のEQの場合、大部分は共通しており、同じような機能が使えます。
しかし「調整したときの変化にスケールの違い」があります。
例えば、Ozoneで調整したときよりも、Neutronで調整した時の方が変化が小さくなります。
また、プラグインを使うときには「このEQは他のEQよりも音がいいだろうか?」ということに気を取られすぎないことが大切です。
「自分がやろうとしていることに対して、どんなことを助けてくれるプラグイン・機能だろうか?」を考え、プラグインを選び、練習していくことが大切です。
マスタリングでビジュアライザーは役に立つ?
マスタリングで、ビジュアライザーは非常に役に立ちます。
(peak-readingメーター、averagingメーター、LUFSメーター、phaseメーター、トーンバランスメーターなど)
自分が聞いている音について考えていることを確認したり、問題を明確にするのに非常に効果的です。
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マスタリングの準備方法
最初に各トラックを聞く時は、しっかりと椅子に座り、トラックを最初から最後まで聞きましょう。
これで全体のアレンジを理解していきます。
また「何が聞こえたか」「このトラックの好きなところ」「直したいと思ったところ」などをメモしましょう。
30~45分ぐらい作業していると、だんだん行き詰まっていき、広い目でトラックを見ることができなくなります。
そのため、前もって一種のアジェンダや基準になるようなメモを作っておくことが大切です。
このおかげで、最初に聞いた時の感覚をいつでも取り戻すことができます。
最初にトラックを聞く時に気をつけるポイントの例
「ボーカルは大きすぎないか?」
「キックの低域がカットされすぎていないか?」
EQフィルターのシェイプ選びについて
マスタリングで全体のトーンバランスを整えたい時は、Q幅が非常に広い「Bell」や「Shelf」のシェイプを使いましょう。
「リッチにしたい」「明るくしたい」など全体のトーンを変えたい時は、大きくバランスを変えたいわけではないからです。
また狭いQ幅のフィルターを使ってしまうと、特定の楽器だけ引き立ってしまう可能性があります。
同じ楽器でもスケール中のある音だけ強調されたり、逆にある音だけ聞こえにくくなってしまうこともあるため、マスタリングでは広めのQ幅でEQを行うことが基本です。
EQで「削る」作業をする
先ほどは「マスタリングでは広めのQ幅でEQを行いましょう」とお伝えしましたが、うるさいなと思うところは、狭いQ幅のEQを使って削っていきましょう。
例えばボーカルの子音「S」「CH」「T」「K」などがキツすぎると耳が痛くなることがあります。
このようなときは、ピンポイントでその音だけ整えられるよう、狭いEQで少しだけ削りましょう。
AB比較モードを活用しよう
AB比較モードを使って、どんな風に変わったのかをチェックすると便利です。
いろいろなところで立ち止まって、比較、立ち止まって、比較…を繰り返しましょう。
「もうこれ以上よくできないな」と思ったら、作業をストップしましょう。
以上が「マスタリングEQのコツ10選」でした。
他にもマスタリングのコツはさまざまありますが、書籍で学びたい方にはこちらがおすすめです↓
また当サイトでは、このようなマスタリングテクニックもご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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