MIXがしっかりできているか判断する方法【マスタリング準備】
- 2025.03.24
- ミキシングのコツ

今回は、音楽プロデューサー・オーディオエンジニアのJustin Collettiが解説する「あなたの曲はマスタリングの準備ができているか?」をまとめました。
Justinは長年音楽業界でプロとして活躍しており、音楽プロデュース、ミキシングエンジニア、マスタリングエンジニア、音楽大学の講師など、幅広い分野で活躍しています。
そんな彼が、マスタリングエンジニアの視点から「自分のミックスがちゃんとできているか判断する方法」を解説します。
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よくある質問「自分はちゃんとミックスできていますか?」
マスタリングエンジニアをしていると、ミキシングエンジニアなどミックスを担当した人から次のような質問や相談のメッセージを頂きます。
正直なところ、僕はマスタリングをする前にこの質問に答えることはできません。
マスタリングをやってみないと、ミックスの問題点はわからないからです。
マスタリングをやってみないとミックスの問題点がわからない理由
マスタリングエンジニアはマスタリングをする音源ファイルを受け取った後、イスに座って30分かそれ以上じっと耳を澄ませて音を聞き、問題がないかをチェックします。
そしてEQやリミッターなどのツールを使いながら、何をすれば明るい音になるか、何を使えばバランスのいい音になるかなどを確認します。
つまり、マスタリングをやってみてはじめてその曲の問題点を洗い出すことができるのです。
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ミックスがしっかりできているか判断する方法
ミックスがしっかりできているかどうかを確認するには「マスタリングでやることがあるかどうか」で判断できます。
例えば僕は「ミックスはちゃんとできていますか?」と聞かれたら、まずはマスタリングをやってみて、マスタリングの工程で行ったことを1つずつメモして渡しています。
もちろん、一度聞いて直感で「うーん、なんだかバスドラムがちょっと大きすぎる気がするな」などと感じることはあります。
しかし、具体的にバスドラムの何が原因で大きすぎて聞こえるのか、他の楽器の何がバスドラムが大きく聞かせているのかはわかりません。
そのため、マスタリングの工程で行うようなEQの微調整などをやってみないと、ミックスのフィードバックはできないのです。
マスタリングエンジニアとして僕が心がけていること
僕はマスタリングエンジニアとして「ミックスの問題点は、マスタリングをしてみてからでないとわからない」ということを知っています。
そのため、クライアントにマスタリングを頼まれたり質問・相談をされたら、無償でフィードバックをし、再マスタリングも行っています。
まずはクライアントからマスタリングする音源ファイル(2mix)をもらい、それをマスタリングします。
もしマスタリングのときに問題点を見つけたら、「問題点は何か」「その問題点を解決した方法」を添えてクライアントに渡します。
クライアントはそれをもとに再度ミックスを調整し、新しいバージョンの音源ファイルを送ってくれるので、僕はそれをマスタリングして完了となります。
はじめに異なる2バージョンの音源ファイルを送ってもらった場合は、それぞれにフィードバックをお送りすることもしています。
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超一流のアナログ音楽スタジオでは再マスタリングが難しい理由
超一流のマスタリングエンジニアは、素晴らしいアナログ機材を数多く取り揃えたスタジオでマスタリングをすることがあります。
このようなマスタリングエンジニアの場合は、僕のように無償で再マスタリングをすることはかなり難しいと思います。
アナログ機材を多数使っていると、設定を復元するのに時間がかかってしまうからです。
アナログ機材は1つ1つのツマミの位置(向き)などを調整して使うので、「この曲ではEQの高音域のツマミは1時の向きで、コンプレッサーのアタックは10時の向きで…」などをすべて復元するのに時間がかかります。
そのため、同じように設定したつもりでも、やはり人間ですから、若干音が違っていたりもします。
一方、DAWのプラグインのみを使っている場合やアナログ機材を少ししか使っていない場合は、DAWのプロジェクトファイルを開き、アナログ機材を少し調整するだけで設定を復元できます。
そのため「前のバージョンより少し高音域を増やした音源をください」と言われても、すぐにお送りすることができます。
AIマスタリングにはできないこととは?
最近では、1曲数百円〜1000円程度でマスタリングをしてくれる「AIマスタリングサービス」も誕生しています。
マスタリングエンジニアはそのようなサービスと戦っていかなくてはいけない時代になりました。
しかし、AIはクライアントと具体的な会話や相談ができません。
長年経験を積んだマスタリングエンジニアであれば、これまで手がけてきた作品や聞いてきたヒット曲のデータが頭に入っているので、クライアントの理想と自分の知見をもとに細かく設定を調節することができます。
その人に合ったマスタリングをするための会話やフィードバックができるので、これはAIには負けないポイントだと思います。
余談ですが、AIマスタリングサービスを使うと「より大きく聞こえても、より悪く聞こえるようになる」と個人的には感じています。
以上で解説は終了です。
当サイトでは他にもミックスのコツやマスタリング準備についてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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