「音楽大学・専門学校 vs 個人教室」メリットとデメリットは?
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今回はNicky Vが解説する「音楽学校は行く価値があるか?」をまとめました。
現在はアメリカ・ナッシュビルでスタジオミュージシャンやギター講師として活躍しているNickyは、LAの有名音楽学校「Musicians Institute」を卒業しています。
そんな彼が、音楽大学をはじめとする「音楽系の学校」に行くメリットとデメリットを解説します。
※ここからは、音楽大学・音楽専門学校・そのほか音楽系教室やスクールをまとめて「音楽学校」と表記します
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音楽大学や専門学校など大規模なスクールのデメリット
音楽大学や専門学校などかなり大規模なスクールは、卒業までに時間がかかり、学費も高いことが大きなデメリットです。
高い学費である学校ほど入学・卒業のハードルが高いので、卒業生による体験談や情報を得るのも大変です。
音楽系の学校は学費が高い傾向にあり、1年間で$25,000の学費が必要になることもあります。
2025年時点、日本円で400万円程度。
音大で有名なバークリー音楽大学はこの2倍の金額です。
プラス、そのような学校はLAなどの物価が高い地域にあることが多いので、学校の近くに住もうとすると生活費も高くなります。
例えばバークリー音楽大学があるボストンの家賃相場は、東京23区の2~3倍と言われています。
生活費だけで$20,000~25,000ぐらいかかるとすると、学費も合わせて年間$50,000の出費になります。
2025年時点、日本円で800万円程度
2年制の学校なら、卒業までに学費と生活費を合わせて$100,000かかる計算です。
2025年時点、日本円で1600万円程度
音楽学校に行く前に覚悟するべきこと
残念ながら、1600万円かけて2年制の学校を卒業したからと言って、その金額を回収できるほどの給料がある仕事に就けるとは限りません。
「音大卒」という学位は、あなたに将来の仕事を約束してくれるものではありません。
音楽の先生になりたい人でない限りは、音楽の学位は意味がないと言ってもいいでしょう。
音楽大学や専門学校に行くメリットとは?
音楽大学や専門学校では「何をどれだけ頑張って学んだか」「与えられた環境を十分活用できるか」によってはとても有意義な時間になります。
例えば授業の内容、周りの学生の意欲やレベルの高さ、学校の設備、そして学校の先生のレベルが大きなポイントです。
プロとして数多くの経験を積んでいる先生がいるなら、非常にタメになる内容を学べるでしょう。
一方で、プロとしての経験が浅いもしくは全くない先生なら、教室で「〇〇の弾き方」を教わって終わってしまうでしょう。
そして、音楽学校に行ったならそこにある設備や先生、与えられる環境を十分に活用しなければいけません。
音楽学校にしかない環境をしっかり活用できるのであれば、音楽学校に行くメリットを十分感じられると思います。
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プロのミュージシャンになるのに最も必要なスキルとは?
プロのミュージシャンになるのに最も必要なスキルは、万能(オールラウンダー)であることです。
プロの現場では「どんな仕事であってもきちんとこなせること」「どんなバックグラウンドやスタイルを持った人たちとも一緒にやっていけること」などが求められるからです。
僕が音楽学校にいたときは、ファンク、ジャズ、フュージョン、ポップ、カントリー、ロックなど、さまざまな音楽ジャンルを学びました。
音楽学校に行かなかったときよりも、オールラウンダーになれている可能性はとても高いです。
プロのミュージシャンになるなら初見のスキルは必要?
音楽のプロになるにあたって、ポイントとなるのが初見のスキルです。
初見とは、楽譜を一度見ただけですぐ楽器に演奏できるスキルのことです。
僕が今住んでいるナッシュビルでは「ナッシュビルシステム」と呼ばれる独自の表記方法があるので、特に困ることはありません。
しかし、テレビ番組での演奏の仕事などでは通常の表記方法で楽譜を渡されるので、すぐに読めるようにしておく必要があるでしょう。
音楽学校と実務経験、どちらを優先するべき?
ギターを持ってブロードウェイやナッシュビルに引っ越し、現地でギター関係の仕事を得ようとすれば、それだけでもかなり大きな経験になるでしょう。
実務経験を積むことでしか身につけられないスキルもあります。
一方で、音楽学校に行くとミュージシャンとしての基礎をしっかり訓練することができます。
プロとして必要な基礎知識を身につけられることは間違いありません。
「音大・専門学校 vs 個人レッスン」どっちがいい?3つのポイント
それでは、音楽を学ぶときに「週5で音大・専門学校に通う」のと「週5で個人レッスンを受ける」のではどちらの方がいいのでしょうか?
大きなポイントとなるのは、こちらの3つです。
・場所
・カリキュラムの柔軟性
「学費」については、同じ「週5」で通うとしても個人レッスンの方が安いでしょう。
音楽大学や専門学校は設備費・施設維持費などにもお金がかかり、とても高額になります。
「場所」については、個人レッスンならオンラインとオフラインを自由に決められるところが大きなメリットです。
音大や専門学校に通う場合は、基本的に対面で授業をするのでほぼ毎日キャンパスに通う必要があります。
しかし、個人レッスンであれば「実技は対面の個人レッスンを受ける」「音楽理論は家で勉強する」など、学習場所を細かく決めることができます。
「カリキュラム」についても、個人レッスンの方が柔軟性があると言えます。
音大や専門学校などの音楽学校に通うとカリキュラムがある程度決まっており、自分に合わせたカリキュラムを組み直すことは難しいです。
ある程度レベル別にクラスが分けられている場合であっても、「自分専用のカリキュラム」というわけではないでしょう。
一方、個人レッスンに通う場合は自由に練習方針を決めることができます。
例えば音大に週5で通うのではなく、5人の先生の個人レッスンを週5で受講するとします。
すると、5人の先生から「あなたはこういう練習をした方がいいよ」「こういうスタイルも合うんじゃない?」「当初の予定はこうだったけど、現状を見るとこういう方針に変えた方がいいかもね」などとフィードバックを受けながら、自分に合った練習方針を練ることができます。
個人レッスンなので、自分のスキルに合わせて内容を自由に決めることができるのが大きなメリットです。
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音大や専門学校に行っても仕事の保証はない
繰り返しになりますが、音大や専門学校に行っても、音楽の仕事を得られる保証はありません。
そして、多くの素晴らしいミュージシャンたちのほとんどが、音楽学校ではなく音楽スタジオなどの現場で活動してきた人たちです。
音大にも行かず個人レッスンにも行かなくてもプロになれているのは、彼らが非常に努力家であり、プロとして必要なスキルを持っているからです。
僕(Nicky)は音楽学校でさまざまなスタイルの音楽を経験したため、そのおかげで仕事をもらうこともできました。
例えば「全然違うスタイルの曲を1日で5曲作るので参加してほしい」と言われたこともありました。
これは、僕がいろいろなジャンルができるオールラウンダーだったからこそ呼んでもらえたのだと思います。
「音楽大学・専門学校 vs 個人教室」まとめ
僕個人の意見としては、まず音楽大学や専門学校は学費が高すぎる上に将来の保証がありません。
しかし学校では基礎を固めることはできるので、学校通う2~4年だけでなく、その後7年、10年と自分で継続して努力し続ければ素晴らしいミュージシャンになれるでしょう。
自分には何が必要なのかわかっていれば、音楽学校に行けなくてもプロになることはできます。
逆に言えば、音楽学校に行ったからと言っていいミュージシャンであるとは限りません。
音楽学校に行ったなら、そこにある設備や先生、与えられる環境を十分に活用しなければいけません。
これらをしっかり活用できるのであれば、音楽学校に行く意味があるでしょう。
以上が「音楽大学・専門学校 vs 個人教室 メリットとデメリット」でした。
Nickyがおすすめしていた個人の音楽教室については、おすすめのスクールをこちらの記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてください↓
当サイトでは他にもバークリー音大やジュリアード音楽院の現役生・卒業生による体験談をまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてください。
(音大進学に関しては肯定的な意見から否定的な意見までさまざまありますので、ぜひいろいろな意見を見てみてください)
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