ミュージシャン・音楽家が耳を守る方法3つ【難聴防止】
- 2025.03.05
- 2025.03.07
- ボーカル・楽器演奏

今回はIn The MixのMichael Wynneが解説する「音楽制作はあなたの耳にダメージを与えるか?」をまとめました。
音楽プロデューサーとして長年活躍しているMichaelが、自身の経験をもとに「音楽制作をしている人が耳の健康を守る方法」を3つ紹介します。
スポンサードサーチ
「ミュージシャン・音楽家が難聴を防ぐ方法」ポイントまとめ
はじめに、今回の解説のポイントをまとめてご紹介します。
・大きな音への耐性は鍛えられない
・難聴は無自覚のうちに悪化する
・難聴対策は「音量」と「時間」がポイント
・うるさいと感じなくても長時間はNG
それではここからは、難聴の原因と難聴を防ぐ方法を3つご紹介します。
耳が悪くなる原因は老化だけではない?
「歳を取ると耳が悪くなりやすい」というのはよく聞くでしょう。
しかし、だからと言って「若い人なら耳は悪くならない」というわけではありません。
若い人でも気をつけないと耳にダメージを与え、耳の健康を害してしまうことがあります。
基本的に耳のダメージは工夫次第で軽減できるので、今回はこの方法を3つご紹介します。
僕(Michael)は医者ではありませんが、大学でバイオメディカルエンジニアリングを専攻しており、耳の聞こえ方や健康についてはある程度知識がありますので、この経験をもとにお話していきます。
スポンサードサーチ
難聴になるとどんな聞こえ方になる?
まずは、難聴になると音がどう聞こえるようになるのかを体験していただきます。
ポップスの楽曲をBefore/Afterで再生しますので、音の聞こえ方がどう変わるのかを感じてみてください。
「なんだか音がこもったな」と感じたのが、難聴の方が聞いている音と近い音です。
難聴はなぜ起きる?
人間の耳は、ある一定の音量を一定の長さでしか耐えることができません。

上記画像のように「この大きさの音は、最大で○分しか耐えられない」というのがある程度決まっています。
残念ながら、この大きい音への耐性は鍛えることができません。
この表よりも長い時間で音を聞いてしまうと、耳に大きなダメージが与えられます。
ちなみに有名なマスタリングエンジニアのDaniel Dixonも、この表に沿った音量で日々マスタリングを行なっていると言及しています↓
ちなみに難聴になりやすいのは、長年音楽制作をしている40代以上の方や、毎日のようにクラブに行って爆音で音楽を聞いている20代の方などです。
難聴の何が怖い?
とても恐ろしいのが、多くの人が無自覚で難聴になっていくということです。
通常の難聴は急に音が聞こえなくなるのではなく、徐々に聞こえなくなっていきます。
ある日突然耳が聞こえにくくなる「突発性難聴」もあります
さらに、よほどの大きい音でなければ耳が「痛い」と感じることはなく、基本的には気づかないうちに神経や細胞にダメージが与えられます。
残念ながら、一度壊れた耳の細胞は二度と復活しません。
そのため、難聴は無自覚に、慢性的に発生するのです。
スポンサードサーチ
ミュージシャンが難聴を防ぐための3つの方法
耳のダメージを防ぐには「音量」と「時間」の2つがポイントです。
大きい音は、短時間聞いているだけでも耳のダメージにつながります。
逆に音量がそこまで大きくなくても、長時間聞くと耳のダメージにつながります。
ここからは、この「音量と時間」をもとにどのようにして難聴を防ぐことができるのか、その方法を3つご紹介します。
難聴を防ぐ方法1.耳の感受性が何度も失われていないか確認する
難聴を防ぐ方法1つ目は「耳の感受性が何度も失われていないか確認する」です。
長時間音を聴いていると、人間の耳はだんだん正確に音を聞き取れなくなっていきます。
そのため、作業中に「ちょっと聞こえにくいから、もうちょっとだけ音量を上げよう」とスピーカーの音量を上げてしまうことがあります。
一度だけなら問題ないのですが、「もうちょっと高音域がはっきり聞こえるように…」「ベースをしっかり聴きたいから、あと少しだけ音量を上げたい…」などと数分置きに繰り返してしまうときは注意が必要です。
それは耳に疲労が溜まっているから聞こえにくくなっているのであって、本来であれば適切な音量であるはずだからです。
耳が疲れたら1時間以上休もう
耳が疲れてきたり、「そういえばさっきから音量を上げ続けているな」と感じたら、1時間以上の休憩を取りましょう。
休憩後に作業に戻ると、自分がどれだけ音量を上げて作業をしていたか、驚いてしまうはずです。
休憩するときは、散歩や食事などでもよいですが、音を聞かない作業であれば何でもOKです。
例えば書類仕事をしたり、DAWのプロジェクトファイルを整理してもよいでしょう。
難聴を防ぐ方法2.耳が痛くならない音を長時間聞いていないか確認する
難聴を防ぐ方法2つ目は「耳が痛くならない音を長時間聞いていないか確認する」です。
「毎週クラブやコンサートに行ってるから、大きい音の耐性はついてる!」
このように 考える人がいますが、実はそうではありません。
科学的には、大きな音への耐性は鍛えることはできません。
そのため、「耐性がついている」という人は「慣れている」「うるさいと感じない」というだけで「全くダメージをくらっていない」というわけではないのです。
まずは「耳が痛くならない音であっても、長時間聞き続けてしまっていないか?」を確認することが大切です。
もし長時間聞き続けている場合は、DAWプロジェクト内のトラック名を整理したりして耳を休めましょう。
また、大きな音量で聞きたいときは細かい音もチェックしたいときであることが多いので、小さい音量でも確認できる作業をしてもよいでしょう。
難聴を防ぐ方法3.イヤープロテクター(耳栓)をする
難聴を防ぐ方法3つ目は「イヤープロテクター(耳栓)をする」です。
コンサートに行ったり、自分でライブを開催したり、小さな部屋で何人ものミュージシャンと一緒に楽器を演奏したりすると、大きな音に耳を晒すことになります。
このように大きな音を聞く環境にいるときは、イヤープロテクター(耳栓)をすることを強くおすすめします。
最近では着用していても気にならないイヤープロテクターもありますし、聞こえ方が大きく変わらずに耳を守ることができる製品もあります。
「ライブ・コンサート用」「ドラマー用」などシーン別に製品が分かれていることもありますので、ぜひご自身のシチュエーションに合わせて選んでみてください。
自分に合ったイヤープロテクター(耳栓)の選び方やおすすめの製品についてはこちらでまとめています↓
この先何十年も音楽家として活躍するために必要なこと
プロ・アマチュア関係なく、この先20年〜30年と音楽活動をしたいのであれば、今のうちから耳を守ることをおすすめします。
何歳になっても音楽のプロとして活躍したり、音楽を楽しむためには、日頃から耳の健康を守るための対策が不可欠です。
特に仕事として音楽をやっている場合は、クライアントの満足感に直結する問題です。
難聴で音楽の仕事の幅が減る実例
僕の知人には、30代後半から40代前半で活躍している素晴らしいミュージシャンが何人かいます。
彼らはアレンジの才能もあり、演奏も非常に上手いのですが、難聴によって音のバランスが取れなくなっていました。
聞こえづらい音域があるので自分で適切なミックスができず、他の人にミックスを頼らざるを得ないのです。
同様に、もし耳の状態がよくないままミックスした作品をクライアントに渡しても、クライアントは満足しないでしょう。
「楽器を弾きすぎて手を怪我してしまい、後遺症で楽器が弾けなくなった…」ということは、耳にも起こり得ることです。
だからこそ、あなたが今何歳であっても、今から耳の健康を守る対策をしてほしいと思ってい
ます。
以上が「ミュージシャン・音楽家が耳の健康を守る方法3つ」でした。
当サイトでは他にも音楽製作中における健康の守り方について記事を掲載していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
-
前の記事
音楽の夢を諦めたくない人、音楽大学や専門学校を考えている人へ 2025.02.27
-
次の記事
ミュージシャン・音楽好きのための耳栓の選び方【難聴防止】 2025.03.05