バークリー音大卒のプロが語る「学費が高い音大は行く価値があるか?」
- 2025.01.28
- 2025.01.29
- プロになる方法・音大進学
今回はBob Reynoldsが解説する「音楽大学は高い学費を払ってでも行く価値があるか?」をまとめました。
アメリカのバークリー音楽大学の卒業生で、グラミー賞受賞作品にも携わったプロのジャズサクソフォーン奏者のBobが「本当に高い学費を払ってでも音大に行くべきなのか?」について語ります。
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バークリー音楽大学の学費はいくら?
音楽大学として有名なアメリカのバークリー音楽大学ですが、4年間通うと学費は$80,000ほどかかります。
※2025年現在、日本円で1200万円ぐらい
※日本の私立音楽大学は4年間で800万~1000万円程度が相場です
少し乱暴な言い方ですが、学位をもらうために$80,000のお金を支払うことになります。
とても高額なので、場合によっては奨学金を借りたり学生ローンを組んだりと「借金」になることもあります。
しかし、音楽業界では学位が必須ではありません。
他の職業のように「この学部を卒業してこの学位がないと、この職業には就けません」ということもありません。
それどころか「学位があるから有利です」ということもそこまでなく、結局は知識と実力で決まることが多いです。
それなのに、音大に行く意味が果たしてあるのかと考えてしまう人も多いでしょう。
お悩み相談「音大に合格したが、プレッシャーで押しつぶされそう」
先日、視聴者の方から次のようなメッセージをいただきました。
今は個人レッスンにもほとんど行っていません。
さらに”バークリー音大に行ったら絶対に成功しなければいけない”というものすごいプレッシャーがあり、押し潰されそうです。
シングルマザーとして自分を育ててくれた母は、数ヶ月前に亡くなりました。
その母は、自分には経済的に安定している職に就いて欲しいと願っていました。
母の願いも考えると、他の職を選ぶべきなのではないかと、大学に合格した今でも考えてしまいます。
兄弟には「地元に残って、少しでも学費が安い大学に行った方がいい」と言われています。
加えて、母が亡くなってしまったことで学費を自力で払わなくてはいけなくなりました。
僕(Bob)は、この視聴者の方の気持ちがよくわかります。
僕もシングルマザーのもとで育ったので、親が経済的に安定した職を子供に望む気持ちもわかります。
僕は親がとても温かくサポートしてくれたので助かりましたが、中には親に反対されて悩んでいる人や、学費が高すぎて進学を躊躇っている人も多いでしょう。
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音大に行きたいが親に反対されている人へ
実は他にも相談のメッセージをもらっているのですが、こちらも「親は経済的に安定した職に就くことを望んでおり、音大進学を反対されている」という内容でした。
このように、自分は音大に行きたいが学費が高すぎて「経済的に無理」と親に反対される人、「音楽では食っていけないから音大に行く意味はないだろう」と反対される人は多いでしょう。
このようなとき、みなさんが考えるべきなのはまず「なぜその人たちが音大進学を反対するのか?」です。
基本的に、このような人たちはみなさんのことを心配しており「お金を稼げず路上生活を送るようなことにはなって欲しくない」と思っている人が大半でしょう。
このような反対は、あなたを愛しているがゆえに起こることでもあります。
音大進学に反対する人はどんな人?
もう一つ、このような反対をする理由として考えられるのは「音楽で食っていけている人が身近にいないから」です。
親戚がプロの音楽家ばかりの人なら、「音楽でも食っていける」「音大に行く意味はある」「音楽の仕事はたくさんある」という理解があるでしょう。
しかし、基本的には「音楽ではどんな方法で稼ぐことができるのか」を知らない人の方が多いです。
職業としての音楽家についてあまりよく知らないから、あなたの音大進学を反対している可能性があります。
だから「ミュージシャンは現実的な仕事じゃない」とか「音大に行っても食っていけない」と考え、反対するのです。
もちろん、プロの音楽家になるのは簡単なことではないので間違いではありませんが、本当のそのような反対意見に従うべきなのかどうかはよく考えた方がいいでしょう。
音大に行くこと=プロになれる約束ではない
「バークリー音楽大学に行くのがずっと夢だったんです」「自分と同じぐらい音楽に真剣に取り組んでいる人に毎日囲まれて勉強できるなんて、夢のような環境です」と、音大に憧れる人はたくさんいます。
しかし、覚えていて欲しいのが「音大に行くことがプロになるための解決策ではない」ということです。
音大に行くことはあくまでも「増強」で、もともとあったスキルや知識を広げるための場所だと思ってください。
エレキギターはアンプがなくても音は出ますが、アンプがあるともっと大きくかっこいい音を出せるのと同じです。
学費を払えればプロになれるとか、授業に出ればプロに必要な知識が全部身につくとか、毎日大学に行けば絶対に音楽をどんどん好きになれるということはありません。
音大に行かないとプロになれないとか、音楽の仕事に就けないとか、そのようなこともありません。
プロになるためのスキルを増強するために、あの高い学費を払うのです。
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「音大はコスパが悪すぎる」と思っている人へ
「音大は学費が高い割に、将来の経済的な安定が期待できない」「音大はコスパが悪い」と思う人もいるでしょう。
しかし、中には「学費が高い割に得られるものは少ないかもしれないけれど、ほんの少しでも自分のスキルアップにつながるのなら、惜しみなく投資をしたい」と考えている人もいます。
実際に在学中に小さなチャンスを掴んだ結果、それがやがて大きなチャンスに変わり、大成功を収める人もいます。
たとえ小さなチャンスしか掴めないとわかっていたとしても、そのチャンスさえも逃したくない人は音大に行くべきです。
「コスパがいいかどうか」ではなく「自分がそこから得られるものが少しでもあるかどうか」で考えてもよいのです。
何があなたをプロにするかは、誰にもわかりません。
プロの音楽家になる夢はあるがモチベーションがない人へ
「プロのミュージシャンになりたい」という夢があるにも関わらず、「毎日練習する気が起きない」「モチベーションがない」という人がいます。
もしそのような人が既に音大に行っているのなら、厳しいことを言いますが、大学は辞めた方がいいでしょう。
残念ながら、音大にはそのような下向きな気持ちを持たず「音楽をもっとやりたい」「もっと上手くなるために死ぬ気で練習するぞ」とやる気に満ち溢れた人がたくさんいます。
モチベーションがないまま高額な学費を払って通い続けても、そのようなやる気がある人たちほどの成果は期待できず、その人たちよりもいい音楽家になれる可能性は少ないでしょう。
先ほども言った通り、音大はあくまでも「増強」の場であって、全くないモチベーションを勝手に作ってくれるような施設ではありません。
場合によっては、音楽のプロ以外の道を考えた方がいいかもしれません。
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お金はないが音大に行きたいと思っている人へ
最近では、大学を出ても仕事が見つからなかったり、大学に行くために多額の借金(奨学金や学生ローン)を抱える人がたくさんいます。
このようなときに考えて欲しいのが、「学位がなくてもその道のプロになれる」ということです。
実際に、学位がなくてもできる仕事は何かを考え、行動し、スキルアップをした結果、素晴らしい職に就いた人もいます。
幸いにも、プロのミュージシャンは学位が必須であることがかなり少ない職業ですので、音大に行かなくてもプロへの道を開く方法はいくらでもあります。
そのため、たとえ音大に行けなくても夢を諦める必要はありません。
「音大進学」以外の選択肢を持っていない人へ
学校は「プロになる夢を叶える場所」ではなく「プロになる夢を叶えるために必要な環境を提供する場所」です。
また「音大に行けなければ終わり」と考える人や「この音大じゃないとダメ」とこだわりを持つ人もいますが、そんなことはありません。
むしろ、このように「音大以外の選択肢を持っていない人」はかなり危険です。
そのような人がもし音大在学中に「自分は音楽に向いていないかも…」「やっぱり、音楽はもういいかな」と思ってしまうと、これから何をしたらいいか分からず絶望してしまうからです。
「自分には音大に行くしか道はないんだ」と思っている人よりも「音大に行かなくてもプロになる方法はあると思うが、音大に行った方が可能性がもっと広がると思う」と思っている人の方が安心できるでしょう。
ちなみに「音大在学中に音楽を諦めたときの大学側のサポートの問題」については、ジュリアード音楽院卒のNahre Solが指摘しています↓
バークリー音大卒業生が語る「学費が高い音大は行く価値があるか?」まとめ
以上で解説は終了です。
・少しでも成長するためなら高い学費を惜しまない人
・自分でモチベーションを維持できる人
・音大以外の選択肢を持っていない人
・自分でモチベーションを作れない人
・音大に行けばプロになれると思っている人
・プロの音楽家になる方法がよくわかっていないからかもしれない
・「経済的に安定した音楽家」に会ったことがないからかもしれない
・あなたに路頭に迷ってほしくなくて心配しているのかもしれない
→音大進学を反対することは必ずしも間違ってもいないが、絶対に正しいとも言えない
・「音大に行かなくてもプロになれる方法は自分で作れる」ということを理解しよう
・音大に行けないからと言って、プロの道を諦める必要はない!
当サイトでは他にも「音大に行くかどうか悩んでいる人のための記事」を掲載していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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