FabFilter「Pro-MB」の5つの魅力と使い方【ミックス・マスタリング】
- 2024.06.30
- 2024.07.29
- ソフト・プラグイン・機材
今回は、FabFilter公式が解説する「Pro-MBの紹介」をまとめました。
一言で言うと「マルチバンドコンプレッサー」のこのプラグインですが、この記事を読むと「一体どんな使い方ができるのか?」「なぜこれだけ世界中で多くのプロに愛されるプラグインなのか?」がお分かり頂けます。
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- 1. FabFilter社「Pro-MB」の5つの魅力とは?
- 2. FabFilter社「Pro-MB」の魅力1:わかりやすいグラフィック
- 3. FabFilter社「Pro-MB」の魅力2:自由自在に直感的に操作できる
- 4. FabFilter社「Pro-MB」の魅力3:CompressorとExpanderの両方が使える
- 5. FabFilter社「Pro-MB」の魅力4:編集できるパラメーターが豊富
- 6. FabFilter社「Pro-MB」の魅力5:音にクセが出にくく、自然な音のまま編集できる
- 7. おまけ:Downward CompressionとUpward Compression、Downward ExpansionとUpward Expansion
- 8. FabFilter社「Pro-MB」の5つの魅力と使い方のまとめ
FabFilter社「Pro-MB」の5つの魅力とは?
FabFilter社「Pro-MB」にはたくさんの魅力がありますが、大きく分けて5つあります。
2.自由自在に直感的に操作できる
3.CompressorとExpanderの両方が使える
4.編集できるパラメーターが豊富
5.音にクセが出にくく、自然な音のまま編集できる
それでは、1つずつ解説していきます。
FabFilter社「Pro-MB」の魅力1:わかりやすいグラフィック
FabFilter社「Pro-MB」の1つ目の魅力は、「キレイでわかりやすいグラフィック」という点です。
Pro-MBはマルチバンドコンプレッサーで、最大6つのバンドを使うことができます。
この6つのバンドを使用するとこのような画面になりますが、どのバンドがどこにあり、どの範囲でどのように動作しているのか、どのバンドではどのように設定しているのかが非常にわかりやすくなっています。
パッと見て見やすいカラーリングだけでなく、思わず気分が上がる美しいグラフィックも、DTMerにとっては嬉しいポイントです。
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FabFilter社「Pro-MB」の魅力2:自由自在に直感的に操作できる
FabFilter社「Pro-MB」の2つ目の魅力は、「自由自在に直感的に操作できる」という点です。
「魅力1」でお伝えしたわかりやすいグラフィックのおかげもあり、「どの音をどうしたいか」を思いついたとき、直感のままにすぐ操作できます。
「複数のバンドをまとめて操作したい」「パラメーターを上げたい・下げたい」なども、自分が思った通りに動かしやすい操作性のよさです。
ゲインリダクションを最大3dBになるようにしたい
→Rangeを-3dBまで下げる
複数バンドをまとめて3dB上げたい
→バンドをまとめて選択し、そのまま上にドラッグする
バンドの境目をゆるやかにしたい(スロープの勾配を変えたい)
→スロープのマークを上下にドラッグ
1:10~1:26
→Alt/Optionキーを押しながらバンドをドラッグ
1:27~1:34
→マウスのホイールを上げ下げする
1:35~1:43
操作中の動画(0:10~)↓
FabFilter社「Pro-MB」の魅力3:CompressorとExpanderの両方が使える
FabFilter社「Pro-MB」の3つ目の魅力は、「CompressorとExpanderの両方が使える」という点です。
Pro-MBは「マルチバンドコンプレッサー」と紹介されていますが、実はエキスパンダー(Expander)としても使えます。
Expanderに切り替える方法は簡単で、「EXPAND」のボタンをクリックするだけです。
そのため、「この周波数帯域はコンプレッサーを使って抑えたいけど、この周波数帯域の音は際立たせたい」という操作を、このプラグイン1つだけで行うことができます。
Expanderモードの使用例(1:41~)
「CompressorとExpanderの違い」については、こちらの記事で詳しく解説しています↓
【DTM用語】Expander(エキスパンダー)とは?アップワードとダウンワードの違いも解説!
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FabFilter社「Pro-MB」の魅力4:編集できるパラメーターが豊富
FabFilter社「Pro-MB」の4つ目の魅力は、「編集できるパラメーターが豊富」という点です。
Pro-MBは、マルチバンドコンプレッサーとして非常に細かくパラメーターを調節できるため、自分のしたい処理がしやすく、理想の音作りが可能です。
Expert Tabでさらに細かい調整が可能
例えば、デフォルトで表示されているベーシックなパラメーター「Threshold」「Ratio」「Attack」「Release」「Output」のほかにも、Expert Tabを開けばさらに細かい設定をすることが可能です。
「Side Chain」の欄では、どの音をトリガーとして、どのようにサイドチェインをかけるかを決めることができます。
このサイドチェインには「In」モードと「Ext」モードがありますが、これらの上手な使い方は後述します。
Pro-MBでピッキングしているギターをもう少し際立たせる方法
例えばピッキングをしているギタートラックにPro-MBを使っており、「ピッキングをするたびに中低音域をもう少し上げたい」という時は、このような設定も可能です。
・「In」モードにして、Pro-MBを使っているトラック(ギター)をトリガーにする
・「EXPAND」モードにして、ピッキングをしたときに中低音域の音量を上げるようにする
5:10〜5:33
Pro-MBで、キックに合わせてギターの低音域だけにサイドチェインをかける方法
「キックが鳴っているとき、キックの低音域を邪魔しないように、ギターの低音域にだけサイドチェインをかけたい」という時もあるでしょう。
通常、サイドチェインをかけるときは全ての周波数帯域に対してサイドチェインがかかってしまいますので、普通にやってしまうと「キックが鳴っているときは、ギターの音量が全部減ってしまう」となってしまいます。
ここで使えるのが、マルチバンドコンプレッサーのPro-MBです。
キックが鳴っているとき、キックを邪魔してしまいそうな低音域にだけサイドチェインをかけるようにすれば、ギターの中音域以上はそのまま残すことができます。
・「Ext」モードにして、サイドチェインの対象をキックのトラックにする
5:36~
もちろん、これは「ボーカルとギター」「キックとベース」など、マスキングしやすい他の組み合わせでも行えます。
「Stereo Link」でMS処理をする
「Stereo Link」では、設定した効果をMid(真ん中から聞こえる音)だけに適用するのか、MidとSideの両方に適用するのか、Side(左右から聞こえる音)だけに適用するのかを設定することができます。
2:02~2:06
また、「OUTPUT」のパラメーターの外側の円では、Pro-MBの効果を得る情報をMid/Side基準で調整できます。
例えばこのPanを左端まで振ると、今選択しているバンドのSideの音量がゼロになります(Monoになります)。
逆にPanを右端まで振ると、今選択しているバンドのMidの音量がゼロになります(Sideだけになります)。
Mix(Dry/Wet)の調整もできる
元の音とPro-MBを使った後の音をどの割合で混ぜるか、いわゆる「パラレルコンプレッション」も、このプラグイン内で調整できます。
画面の右下にINPUTとOUTPUTレベルを調整する欄がありますが、この下にあるゲージが「Mix」のパラメーターです。
もちろん、このパラメーターはオートメーションで調整することができます。
そのため、「サビだけはコンプレッションを強くしたい」などの細かい設定も可能です。
Mixの調整例(3:11~3:36)↓
FabFilter社「Pro-MB」の魅力5:音にクセが出にくく、自然な音のまま編集できる
FabFilter社「Pro-MB」の5つ目、最後の魅力は「音にクセが出にくく、自然な音のまま編集できる」という点です。
少しマニアックな設定になりますが、FabFilter社「Pro-MB」では、プロセッシングモードとして「Dynamic Phase」「Linear Phase Mode」「Minimum Phase」のモードを使うことができます。
マルチバンドコンプレッサーは複数のバンドが使えるため、それぞれのバンドやバンド同士の境目をどう処理するかによって、音が変わります。
場合によっては、「マルチバンドコンプは、たくさんバンドを使えるのはいいけど、その分音が悪くなるからな…」と、使用をためらう人がいるようです。
この問題を解決するために、Pro-MBでは3つのプロセッシングモードから選択することができます。
バンド同士の境目を変更した時もスムーズで、位相ズレもなく、最もナチュラルな音が得られるモード。
ただし、プリリンギング・ノイズが発生してしまう。
プリリンギングノイズ(Pre-Ringing Noise):オーディオ(トランジェント)が始まる前に聞こえてしまうノイズ
フィルターを使って各バンドを分ける、最もオーソドックスなモード。
レイテンシーは少ないが、複数バンドを使ったときにフェーズ(位相)にズレが発生する。
上記のLinear PhaseとMinimum Phaseの「いいとこ取り」をしたようなモードで、FabFilter公式の推奨モード。
位相ズレの問題は多少は発生するものの最小限で、プリリンギング・ノイズやレイテンシーなどの問題もない。
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おまけ:Downward CompressionとUpward Compression、Downward ExpansionとUpward Expansion
FabFilter社「Pro-MB」ではコンプレッサー(COMPRESS)とエキサイター(EXPAND)の両方が使えますが、これに加え、それぞれの「Upward」と「Downward」モードも使えます。
それぞれ「何モードで」「Rangeがプラスかマイナスか」によって、効果や動作が異なります。
「COMPRESS」使用時
Rangeをマイナス方向に設定していると、Downward Compressionを行う。
この場合は、Thresholdを超えた音を抑える。
Rangeをプラス方向に設定していると、Upward Compressionを行う。
この場合は、Thresholdを超えなかった音の音量を上げる。
「EXPAND」使用時
Rangeをマイナス方向に設定していると、Downward Expansionを行う。
この場合は、Thresholdを超えなかった音の音量を下げる。
Rangeをプラス方向に設定していると、Upward Expansionを行う。
この場合は、Thresholdを超えた音の音量を上げる。
FabFilter社「Pro-MB」の5つの魅力と使い方のまとめ
以上が「FabFilter社”Pro-MB”の5つの魅力と使い方のまとめ」でした。
この5つの魅力を見れば、なぜこのプラグインが世界中のプロから愛されているのか、よくお分かり頂けたかと思います。
Pro-MBはこちらから購入できますので、ぜひチェックしてみてください↓
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