ミキシングのコツ

【DTM】MIXのコツ動画を100本見てわかった「MIXで大切な14のこと」後編

I watched 100 mixing tip videos in a day

今回は、Mastering.comが解説する「MIXのTips動画を100本見てわかったこと」をまとめました。

大量のMIXのコツ動画を見た中で多くの動画に共通していたこと、逆に「誰も言っていないけど本当は大切なこと」をご紹介しています。

この記事では後編として、残り4つのアドバイスと、Mastering.com本人によるまとめをご紹介していきます。

前編はこちら

ミックスのコツ11.何でもかんでもハイパスフィルターを使わない

前編では「ハイパスフィルターを使おう」と言及したので、ここで「ハイパスフィルターを使うな」と言ってしまうと「結局どっちなの?」と混乱してしまう方も多いでしょう。

しかし実際に、このように人によって正反対のアドバイスをしていることがあります。

つまり、このように意見が割れることに関しては「あまり気にしなくてもいい(人による)」とも言えます。

問題を解決するための作業をする

僕(Mastering.com)としては、前編でもお話しましたが、問題があるならハイパスフィルター(ローカット)を使い、問題がないなら何もしなくていいと思います。

ハイパスフィルターを使い過ぎると、音が薄くなって貧相なミックスになってしまうリスクもあるからです。

ミックス中に行うプロセスは、「問題を解決するための作業」であることが大切でしょう。

ミックスのコツ12.直感と知性の両方を活かす

こちらは素晴らしいエンジニアの一人であるJack Joseph Puigの昔の動画で言及されているMIXのコツで、「直感と知性を両方大切にしながら、45分以内でサクサクと作ったミックスはいい出来になることが多い」です。

直感がうまく機能するシーンと、知性(テクニックなど)がうまく機能するシーンは異なるため、両方を兼ね備え、適切なシーンでそれぞれを使い分けることが大切だと言及しています。

非常に的を得ているミックスのコツです。

ミックスのコツ13.まずはじめに音量バランスを整える

次もエンジニア界の巨匠であるChris Lord-Algeの動画で言及されているミックスのコツで、「まずはじめに音量バランスを整える」です。

EQやコンプレッサーを使う前に、まず各トラックの音量だけを変えて、音量バランスだけ整えます。

それぞれのトラックが適切な音量バランスになった後、EQやコンプなどのプラグインを使いながら各トラックの問題を解決していきましょう。

ミックスのコツ14.サチュレーションやレイヤーを有効活用する

サチュレーションを使うことで、高音域の音抜けがよくなります。

EQやRenaissance Bass(Waves社)を使う代わりに、このようなサチュレーションを使うのもよいでしょう。

また、ボーカルの場合はピッチをオクターブ上・下に下げたトラックを作ってレイヤーすることで、温かみを加えたり、音に明るさを加えることもできます。

EQを頼らずにできることもたくさんありますので、ぜひ活用しましょう。

ここまでのミックスのコツまとめ

さて、ここまでで動画を100本見終わりましたので、多くの動画に共通していた9つの項目をまとめてみます。

9つのポイント

  • リファレンス(参考曲)を使う
  • 休憩時間を作る
  • オートメーションを活用する
  • AUX(Send)にEQを使う
  • 正しい素材を使う(良いレコーディングや良いサンプル)
  • 楽曲に前後感を作る
  • モノラルでチェックする(ずっとモノラルでミックスするべきという意味ではない)
  • すべての音や作業に意図を持つ
  • パラレルプロセッシングを活用する

ベテランエンジニアによるミックスのコツ

Dave PensadoやChris Lord-Alge、Jack Joseph Puigなどのベテランエンジニアたちが言及していたTipsも、非常に有益なものがありました。

・「クリエイティブ」と「テクニカル」
・「直感」と「知性(論理)」

世間的には「左脳」と「右脳」という組み合わせもよく聞きます。 

「主観」と「客観」

個人的には、「主観」と「客観」も大切なポイントだと思いますが、これについて触れている動画はありませんでした。

「クリエイティブなことから始めるか、テクニカルなことから始めるか」「これらの2つをどう組み合わせていくか」なども言及している動画がなかったように思います。

テクニックがないのにクリエイティブになろうとしてしまう問題

一般的には、作曲においてはクリエイティブなことや主観的なことから始める人が多いと思います。

そこから徐々にテクニックや理論などの客観的なことを学び始め、「主観的なこと」と「客観的なこと」が半々になってくるでしょう。

そして、道具の使い方に精通しないままクリエイティブになろうとしてしまいます。

よく「頭の中で音楽は聞こえているのに、それを実際に形にすることができない、鳴らすことができない」というお話を聞きます。

このような場合は逆にテクニカルなスキルが足りていないので、クリエイティブなことをしようと思うよりも、曲を完成させるということにフォーカスするといいと思います。

テクニカルなことから学び始める

個人的には、主観的なことではなく客観的なこと…つまり、クリエイティブなことではなく、テクニカルなことから始めるといいと思っています。

テクニカルなことを最初にやろうとすると、クリエイティブなことや直感に反しているような気がして、気が重くなる方もいるかもしれません。

しかし前編でお話した「ギターソロをする時の例」のように、自分の体に染みつくまでテクニカルなことを学んでからクリエイティブなことに移ることができれば、テクニカルなことに囚われることなく、自分の技術をクリエイティブに活かすことができるようになります。

技術的なことを学んでいないと、いくら頭の中で良いアイデアを思いついても、それを実際に音にするには何をしたらいいのか分からず不必要に苦戦したり、プラグインを見てもどのパラメーターがどんな働きをするのか全く分からず、結局プラグインを使いこなせずに終わってしまうこともあります。

前編でもご紹介した通り、型を破るにはまず型を身につけるところから始めることが大切です。

MIXのコツ動画を100本見てわかった「MIXで大切な14のこと」まとめ

このシリーズでは、100本のミックスに関する動画を見て共通していた大切なこと、そして
「どの動画にも言及されていなかったけど大切なこと」にも焦点を当てて解説をしました。

技術的なことから心構えまでさまざまなアドバイスをご紹介しましたので、ぜひ今日からご自身の制作に活かしてみてください。

当サイトでは他にもミックスに関する解説記事をご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓


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