【DTM】プロが使う808ベースの作り方3種類【Drake・Lil Pump・Travis Scott】
- 2024.06.25
- 2024.11.24
- シンセ
今回は、Production Music Liveが解説する「プロが使う808ベースの作り方」をまとめました。
ヒップホップやトラップなどでよく使われる「ブーン」「ズン」と重低音が響く808ベースですが、今回は「Drake」「Lil Pump」「Travis Scott」の3者がよく使うタイプの808ベースの作り方をご紹介していきます。
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はじめに:808ベースってどんな音がする?
はじめに、「808ベース」がどのようなものなのか、聞いてみましょう。
0:48~0:56
「ドンッ」というキックのようなアタックと、「ブーン」「ボーン」というずっしり重い低音域が混じっています。
808系サウンドを使ったトラックを聞いてみよう
それでは、実際に808系サウンドを使った楽曲を聞いてみましょう。
今回は、Drake、Lil Pump、Travis Scottのトラックをモチーフにしたサンプルを3つ用意しました。
同じ808系サウンドでも楽曲によって少し音が異なりますので、そちらもチェックしながら聞いてみてください。
1:45~3:32
さて、ここからはこれら3つの楽曲で使った808ベース3種類について詳しく解説していきます。
プロが使う808ベース1:ビブラート808
1つ目のDrakeタイプのトラックで使ったのは「ビブラート808」です。
Drakeや彼のエンジニアたちがよく使うタイプの808で、文字通りビブラートをかけて「ウォンウォンウォン」と細かくうねるようなサウンドが特徴です。
4:14~4:32
Drakeの「God’s Plan」という楽曲では、特にはっきりとこのビブラート808を聞くことができますので、ぜひ参考にしてください。
シンセサイザーでベースサウンドを作るときの注意点
1点だけ気をつけて欲しいのが、シンセサイザーを使って音作りをしている場合です。
おそらくDrakeは808系のサンプル(オーディオファイル)を使っているため、ピッチが高くなるとビブラートのスピードも速くなることが多いです。
対してシンセサイザーを使っていると、どんな音程になってもビブラートの速度が一定になります。
シンセサイザーによってはピッチによってビブラートのスピードも自動的に変わるように設定できるかもしれませんが、Drakeタイプのサウンドを忠実に再現したい場合はこの点に注意が必要です。
808ベースのサンプルを使うときの「ビブラートトリック」
先ほどは808ベースのビブラートの速度について言及しましたが、実はこのビブラートに関する「とあるコツ」があります。
808ベースの場合はプラグインを使ってビブラートをかけなくても、自動的にビブラートをかけることができます。
これは、808ベースがそもそも「ピッチをだんだん下げながら作られた音」だからです。
音の始まりから終わりまでを通してピッチの変化があるため、サンプルの一部を切り取っても、ピッチが微妙に変化しています。
つまり、「キーボードを押している間はサンプルの一部分をずっと往復する」という設定にすれば、音を伸ばしている間はずっとビブラートがかかることになります。
言葉ではわかりづらいと思うので、実際に808ベースのサンプルをサンプラーに取り込み、この設定にして鳴らしてみましょう↓
5:02~5:16
お使いのサンプラーによって設定の仕方は異なりますが、例えばAbletonの場合は「Sustain Mode」で「Back and Forth(行き来)」の設定にします。
Logic Proの場合は「Loop Mode」を「Alternate」にすると同様の設定にできます。
※「Sampler」「Sustain」「Loop」「Loop Mode」などの単語で調べるのがおすすめです
AbletonでSustain Modeとループ範囲を設定する例(6:25~7:02)↓
808ベースで広がりを出したい時の秘密のコツ
特にヒップホップやトラップの楽曲でよくあるのが、「ベースは真ん中から聞かせたいけど、同時に広がりも出したい」ということです。
ベースをMonoにしてしまうと広がりがないように聞こえてしまいますが、かと言って左右に広げてしまうと真ん中がスカスカ…ということも多いでしょう。
そんなとき、Abletonユーザーの方は「Utility」プラグインの「Bass Mono機能」を使ってみてください。
「Bass Mono」をONにすると、その下に周波数帯域を入力する欄がありますので、そちらに「どの周波数帯域から上を左右に広げるか」を設定することができます。
左右に広げる範囲は、サンプラーの「Spread」で調整できます。
この機能を使えば、「ベースの中心部分となる低音域だけMonoにして、わかりやすく広がりを出すための中低音域以上だけ左右に広げる」というサウンドを実現できます。
808サウンドのミックスのコツ「複製+サチュレーション」
808サウンドのミックスのコツとして、「複製+サチュレーション」があります。
まずはじめに、Before/Afterを比べて聞いてみましょう。
8:49~8:58
かなり存在感や聞きやすさに違いがあることがおわかり頂けたかと思います。
このようなサウンドを実現するには、まずはじめに808ベースを複製します。
そして、複製した方のベースにサチュレーションをかけ、その後にEQで低音域だけをカットします。
より広がりを出したい場合は、最後にChorusエフェクトをかけて完成です。
なぜ808ベースに高音域が必要?
なぜ重低音が特徴的な808ベースに高音域を目立たせる必要があるのかというと、808ベースの存在感を出すためです。
特にヒップホップやトラップ系の楽曲において、808ベースは非常に存在感があり、楽曲を定義づけるほど目立つパートです。
しかし、そのままの808ベースでは中音域以上が足りず、特に安く小さいスピーカーだとベースが全く聞こえなくなってしまうことがあります。
「808ベースが曲の象徴」と言うような楽曲なのに、肝心の808ベースが聞こえなくなってしまっては非常にもったいないです。
そのため、リスナーがどんな環境で音楽を聞いてもベースの存在感は出せるよう、808ベースにもある程度の高音域を出させておくのがおすすめです。
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プロが使う808ベース2:ディストーション808
次にご紹介するのは、ディストーションをかけた「ディストーション808」です。
先ほどのように「ちょっとビブラートをかける」「ちょっと音を動かす」のような細かいトリックではなく、思い切って強いベース音を鳴らしたいときに使えます。
まずは、実際のサウンドを聞いてみましょう。
10:48~10:52
このディストーション808を作る方法は簡単です。
2.ベーストラックを複製する
3.複製したトラックにディストーションプラグインを使う
4.EQでローカットする
3番目にディストーションプラグインを使う工程が出てきますが、どんなタイプのディストーションプラグインを使っても構いません。
今回はギターやベースに使うPedalプラグインを使いました。
Bus(グループトラック)で全体にまとまりを出す
このようにいくつかのトラックに分けて1つのベースサウンドを作る場合は、Bus(グループトラック)を使ってまとまりを出すとよいでしょう。
例えばここでは「808ベース(本体)」「ディストーション808」「サブベース」の3つ使っているので、この3つのトラックに対してまとめてミックス処理を行います。
まずはベースアンププラグインを使い、音全体に重みとパンチが加わるようにします。
12:12~12:20
その後にAbleton付属のGlue Compressorを使うことにより、すべてのトラックをよりよくまとめています。
ほんの少しだけディレイを加えてプロのようなサウンドにする
中音域以上を担当しているディストーション808には、Sendを使ってディレイを少しかけています。
Sendトラックに挿しているディレイの後にギターアンププラグインを使うことで、少しグシャっとしたディレイ音を作ることができます。
プロが使う808ベース3:スライディー808
最後にご紹介するのは、「スライディー(Slidy)808」です。
ピッチが坂道を登り降りするようにスライドするようなサウンドが特徴的です。
基本の音作り
まずは、土台となるサウンドを作る方法をご紹介します。
ここでは「高音域担当の808」と「低音域担当の808」に分け、低音異域担当の808は特に何もせずシンプルな808ベースのままにします。
14:28~14:32
一方の高音域担当の808には、Ozone Imager(無料)を使って広がりを出しながら、アンププラグインを使ってディストーションをかけています。
14:43~
両方を同時に聞くと、このような音になります。
14:52~15:02
音を「スライド」させる方法
それでは、次はいよいよベースを「スライド」させる方法です。
スライドさせる方法は2つあります。
シンセサイザーのグライド(ポルタメント)を使う方法
スライドするような音を作るには、シンセサイザーの「グライド(ポルタメント)」を使う方法があります。
例えばMassiveの場合は「OSC」タブの「Glide」欄で設定できます。
ピッチベンドのオートメーションを書く方法
もう一つの方法は、ピッチベンドのオートメーションを書く方法です。
手間はかかりますが、こちらの方がスライドの速度や音程が動く範囲を自由に変えられるのでおすすめです。
それでは、実際にピッチベンドさせた音を聞いてみましょう。
16:17~16:36
このようにオートメーションを書いていくと、単なる808ベースを「クリエイティブなベース」にすることができます。
それでは、他の楽器も合わせて聞いてみましょう。
17:33~17:37
以上が「プロが使う808ベースの作り方3種類」でした。
当サイトでは他にも808系サウンドのミックスのコツについてご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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