【DTM】最高にかっこいいダンスミュージックのバスドラム(キック)を作るコツ Part1
- 2023.02.11
- 2024.10.30
- アレンジ
今回は、Will Darlingが解説する「パーフェクトなキックを作る秘密のコツ」をまとめました。
この記事・Part1では、「かっこいいキックの特徴・音の選び方」の部分をまとめています。
EDMだけでなく、ダブステップやヒップホップなどにも使えるテクニックですので、ぜひマスターしましょう!
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キックの悪い例&良い例
はじめに、キックの悪い例と良い例を見てみましょう。
今回は例を2つご用意しましたので、それぞれBefore/Afterでどう違っているのかを感じてみてください。
それでは、具体的にどのようにすれば「After」のキックのようになるのか、解説をしていきます。
コツ1.その曲にとっての「パーフェクトなキック」をチョイスする
今回のテーマは「パーフェクトなキックを作るコツ」ですが、厳密に言うと「このキックさえ使っていれば問題ない」ということはありません。
恋愛におけるパートナーと同じで、共にする人(音)のキャラクターと相性が重要なのです。
ワインも一緒で、「このワインにはこのおつまみが合う」というのは、ワインや食べ物によってそれぞれ違います。
そのため、曲作りにおいても「その曲に合うキック」を選ぶことが最も重要です。
キックは3つのパーツに分解できる
「自分の曲に合うキック」を選ぶためには、まず「そのキックがどのような音なのか」を把握する必要があります。
そしてキックを理解するためには、キックを3つのパーツに分解すると分かりやすいです。
トランジェント(Transient)
キックの音で一番最初に鳴る「カチッ」というクリック音のような、短くて高い音のパーツ
ボディ(Body)
トランジェントの次に鳴る、キックのキャラクターを決定づけるパーツ
テール(Tail)
音の終わりの部分で、キックの主となるピッチを決定づける超低域(Sub)の成分を含んでいることが多い
キックの3パーツを意識して聞く練習をしてみよう
それではここからは、全く異なる3つのキックを、それぞれ前述の3パーツに分けて聞いてみます。
3種類x3パーツを聞いてみると、それぞれのパーツやキックにしっかりとキャラクターがあることがわかりますので、キックの理解につながります。
EQでキックを3パーツに分けて聞いてみよう Part1
それではまず1つ目のキックを確認してみましょう。
EQの低域部分を見てみると、最も大きく音が出ている部分の音程はG0(52hzぐらい)であることがわかります。
それでは、先ほどの3パーツごとに聞いてみましょう。まずはトランジェントから。
「カチッ」という高い音がします。
次はボディを聞いてみましょう。
中音域を中心とした音です。
基本的にキックは高い音から低い音に下がっていくような音になりますので、最初が高音域、次に中音域、最後に低音域となります。
(KICK2というプラグインを使うと、それがさらにお分かりいただけると思います)
それでは最後に、テールを聞いてみましょう。
はじめにお伝えした通り、音程はG0(52hzぐらい)であることがわかります。
EQでキックを3パーツに分けて聞いてみよう Part2
それでは、今度はまた別のキックを3つに分解して聞いてみましょう。
まずは全体の音を聞いてみます。
とてもはっきりしたトランジェントのあるキックです。
それでは、トランジェントだけ聞いてみましょう。
次はボディです。
こちらのボディは、アコースティックドラムのような音がします。
それでは最後に、テールを聞いてみましょう。
EQでキックを3パーツに分けて聞いてみよう Part3
それでは、更にまた別のキックを3パーツに分解して聞いてみましょう。
こちらのキックは、先ほどの2つに比べて音程がしっかりわかるような、落ち着いた感じのキックになっています。
しかし、トランジェントはしっかり鳴っています。
次はボディ。
2個目のキックと同様に、アコースティックドラムのキックのようなサウンドですね。
最後はテールです。
EQを見てみると、F0(43~45hzぐらい)が主となる音程になっています。
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「トラックヒエラルキー」を考えよう
それでは、この3パーツに分解して考えるやり方を踏まえて、キックの音はどのように選んだらよいのでしょうか?
ここで重要なのは、トラックヒエラルキーです。
トラックヒエラルキーは「ベースを優先?キックを優先?」
例えばトラックをベースから作り始めて後からキックを入れた場合は、ベースを優先したいので「ベースに合うキック」を選ぶでしょう。
逆にキックから作り始めた場合は、キックを優先したいので「キックに合うベース」を選ぶでしょう。
他にも、ボーカルやシンセなど他の楽器から作り始め、そのあとにキックを入れたり、またその逆もあるでしょう。
しかしいずれの場合も、「最初に作ったパーツを最優先にして、それに合う音を入れていく」ということが多いと思います。
おすすめの感が方は「BASSはBOSS」
このようなとき、「BASSはBOSS(ベースはボス)」という考え方が有効です。
多くの場合、キックよりもベースの方がキャラクターや曲に与えるインパクトが大きいです。
そのため、ベースを優先にするためにまずベースから作り込んでいき、そのベースに合うようなキックを選ぶのが良いでしょう。
ジャンルによってキックの定番が存在する
「このキックさえ使っていれば完璧」ということはありませんが、ジャンルによっては「このジャンルには、このキックが合うよね」というキックの定番があることもあります。
例えばテックハウスの場合、909のキックがよく使われます。
トラップの場合は、808のキックがよく使われます。
テクノの場合は、ディストーションをかけたキック。
トランスの場合は、パンチがあってパワフルなキック。
このように、ジャンルごとに定番のキックのテイストはあるものの、やはり重要なのは「その曲に合ったキックを選ぶ」ということです。
次回は、次は実際に僕(EDM Tips)がどのようにキックを作っていくかを1からお見せしていきます↓
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