どんなシーンにも合う映画音楽の「テーマ」の作り方 Part7
- 2025.04.02
- 2025.04.03
- ゲーム・映像音楽

このシリーズでは、Galen DeGrafが解説する「どんなシーンにも合うテーマ音楽の作り方」をまとめています。
今回は最終回Part7として、マイナースケールとオーギュメントセカンドを活用する方法を解説します。
映画「ヒックとドラゴン」で実際に使われた例をもとに、どんなシーンにも合う1つのメロディー(テーマ)を作る方法をご紹介します。
Part1:映画音楽でテーマのバリエーションを増やす例
Part2:楽曲を転調する方法3つ
Part3:インターバルとチャンク
Part4:ハーモニックコンテキストと強拍・弱拍
Part5:ボディとテールでパターンを発展させる
Part6:ストーリーに合わせて音楽を変更する
Part7:マイナースケールとオーギュメントセカンドの活用
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マイナースケールとオーギュメントセカンドを活用する方法
この最終回でご紹介するのは、マイナーキーの楽曲でドミナントコードを工夫する例です。
マイナーキーにおいて「vコード」ではなく「Vコード」を使うことは多々あり、例えば「Gマイナーキーの楽曲で、Dメジャーコードを使う」ということができます。
※Gマイナースケールは「G,A,Bb,C,D,Eb,F」で、Dメジャーコードは「D,F#,A」
マイナーキーでは、スケールの6thや7thを半音を上げることがよくあります。
例えば6thと7thのどちらをシャープにするのかで、マイナースケールが「メロディックマイナースケール」になるのか「ハーモニックマイナースケール」になるのかが変わります。
Cナチュラルマイナースケール(最もベーシックなマイナースケール)

Cハーモニックマイナースケール(ナチュラルマイナースケールの7thが半音上がる)

Cメロディックマイナースケール(ナチュラルマイナースケールの6thと7thが半音上がる)

特に7thにシャープがついて半音上がると、マイナーキーでVメジャーコードやディミニッシュコードが使えるので、トニック( I )に戻りやすい&戻るとすっきりキレイなコード進行になりやすいなどのメリットがあります。
オーギュメントセカンド(Argumented Seconds)に気を付ける
ここで気をつけたいのが、オーギュメントセカンド(Argumented Seconds)に該当する音です。
オーギュメントセカンド(Argumented Seconds)とは、半音3つ違いの音のことです。

例えば「CとD#」「GとBb」「EbとGb」などがオーギュメントセカンドの関係に当たります。
ハーモニー(コード)ではこれらの音が同時に使われることがあり、例えばGマイナーコードは「G,Bb,D」で、GとBbがオーギュメントセカンドの関係にあります。
コードであればよいのですが、単音で流れるように演奏されるようなメロディーにおいては、オーギュメントセカンドの音が来ると「歌いにくい」「あまりキレイな音の並びではない」と感じられてしまうことがあります。
そのため、特に西洋音楽ではオーギュメントセカンドはできるだけ避けるのが一般的です。
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ハーモニックマイナースケールにあるオーギュメントセカンドを避けられるのがメロディックマイナースケール
例えばハーモニックマイナースケールはナチュラルマイナースケールの7thが半音上がったスケールですが、7thだけ上がると6thと7thの音がオーギュメントセカンドの関係になってしまうため、メロディーで6thと7thが順番に鳴ってしまうと違和感が出てしまうことがあります。

そのため、メロディーをキレイに鳴らすためのスケールとして「メロディックマイナースケール」があり、こちらは6thも7thも半音上げることでオーギュメントセカンドを避けています。
Cメロディックマイナースケール(ナチュラルマイナースケールの6thと7thが半音上がる)

マイナーキーでは、フラットを使ってもシャープを使ってもOK
一般的に使われるマイナーキーでは、6thと7thのいずれか・もしくは両方にシャープをつけられます。
しかし、シャープだけでなくフラットをつけて半音下げることもできます。
シャープをつけるかフラットをつけるか、どの音につけるかなどは、そのメロディーで表現したいシーンや感情に合わせて使い分けるとよいでしょう。
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コードのルート音をスケールディグリーの1stにする
映画「ヒックとドラゴン」の楽曲「The Draon Book」は、主人公・ヒックが恐ろしいドラゴンに関する本を読んだときのショックや恐怖を表している楽曲です。
この楽曲では「使っているコードのルート音をスケールディグリーの1stにする」というテクニックと、前述の「マイナーキーの6thと7thにシャープやフラットをつける」というテクニックが使われています。
例えば、この楽曲はGマイナーキーが使われていますが、DメジャーコードのDを「スケールディグリー1番」と考えたメロディーが作られています。

Gマイナースケールを使うことはそのままに、使っているコードのルート音=Dをスケールディグリー1番としてメロディーを作ります。
言い換えると「Gマイナースケールの5thの音を1番」とします。

こうすると「D,E,F,G,A,Bb,C」という順番になります。

「6thと7thのどちらにシャープ・フラットをつけるか」ということについては、Gマイナーキーでの順番がそのまま適用されているので、EとFのいずれかに使われます。
これらのテクニックを使うと以下のような楽譜になり、「GマイナーキーでDメジャーコード」の楽曲が出来上がります。

原曲URL:https://www.youtube.com/watch?v=WI84RJESwyE
また、メロディーラインにもコードの構成音を入れることで、スムーズにメロディーを作ることができます。
例えばこの楽曲の場合、元々のコードはDメジャーコード(D,F#,A)で、Gマイナースケールの5thの音はDですので、コードの構成音と合致し、相性はバッチリです。

ちなみにこの曲ではオーギュメントセカンド(Argumented Seconds)が避けられており、Gマイナーキーにおける6thのEにはフラットが使われています。
この楽曲の作曲者・John Powellは、さらに装飾音をつけたり「ボディ」の新しいバリエーションを追加するなどして、楽曲に展開を加えています。

最後に、このテーマの最終形態をお聞きいただきます。
・エクステンションを使う
・スケールの変更
・メロディーにコードトーンを入れる
etc…
これまでご紹介したさまざまなテクニックが使われていますので、ぜひ思い出しながらお聞きください。
原曲URL:https://www.youtube.com/watch?v=4da3xPzNxfQ
【映画音楽の作り方】どんなシーンにも合う「メインテーマ」の作り方・転調のやり方まとめ
以上でどんなシーンにも合う「メインテーマ」の作り方・転調のやり方の解説は終了です。
さまざまなテクニックをご紹介しましたが、これらを駆使すれば、1つのシンプルなテーマもあらゆるシーンに合うテーマに展開することができます。
・インターバル(ステップ)
・メロディーコンテキスト
・ハーモニックコンテキスト
・チャンク(まとまり)
・マイナースケールの活用
ぜひいろいろな音楽にご活用ください。
当サイトでは他にも映像音楽に関するテクニックをまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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