【DTM】SKRILLEXのようにラウドネス・音圧を上げる方法
- 2023.03.23
- 2024.09.10
- マスタリングのコツ
今回は、Big Zが解説する「SKRILLEX(スクリレックス)レベルでミックス・マスタリングする方法」をまとめました。
SKRILLEXの楽曲はどれも「音がキレイ(クリーン)」「音量が大きく聞こえる」「音に厚みがある」「音にパンチのある」という印象ですが、いったいどのようにすればこのようにミックス・マスタリングできるのでしょうか?
DTMをしている全ての方、必見の内容です!
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音割れせずにミックスをした例
それではまず、今回ミックス・マスタリングをしていくこちらの楽曲をお聞きください。
基本的に「音が大きい」と感じる楽曲は、ピークRMS(Peak RMS)がおよそ-8ぐらいになってます。
しかし、先ほどお聞きいただいた曲はそれを超える「-5.7 RMS」で、クリッピングもしていません。
それではいったいどのようにすればこのようなミックス・マスタリングができるのか、解説していきます。
SKRILLEXのようにミックス&マスタリングをする方法「4ステップ」
SKRILLEXのようにミックス&マスタリングをする方法は、大きく分けて4ステップに分けられます。
2.必要のないリバーブを使わない
3.短くパンチのあるドラムを使う
4.グループマスタリングをする
それでは、一つずつ解説していきます。
ミックス・マスタリングのコツ1.作曲・編曲の時点で「ベストな状態」にしておく
1つ目のコツは「作曲・編曲の時点でベストな状態にしておく」です。
多くの人が、「作曲をする人は作曲のことを考えていればいい」「編曲(アレンジ)をする人は編曲のことだけ考えていればいい」のように考えがちですが、よりよいミックス・マスタリングをするためにはこの考え方はNGです。
音楽制作においては、どの段階でもミックスのことを常に考えておくことが大切です。
SKRILLEXの作曲テクニック「コール&レスポンス」
SKRILLEXの曲を分析すると、よく「コール&レスポンス」を取り入れていることがわかります。
例えばこのようなメロディーで、異なる2つの音色で1つのメロディーラインを作っています。
このテクニックを使うと、楽曲に程よく複雑さを加えられます。
また「コール」と「レスポンス」の間に空白を入れることによって、音楽全体が開いた感じに聞こえたり、聞いている側に休憩の間を与えることもできます。
これはミックスではなく作曲(ソングライティング)の段階で考えることなので、ミックスの前から考慮する必要があるポイントになります。
使う音すべてに「意図」を持とう
曲を作っているとスキマを埋めるために音を入れたくなるときもあると思いますが、入れる音すべてに必ず「意図」を持つことが大切です。
例えば、こちらのドラムをお聞きください。
おそらく、少し複雑すぎる感じに聞こえると思います。
これは、パーカッションだけを聞いてみると分かりやすいです。
どの楽器もシェイカーを補強するような動きをしているだけなので、ミックスでは「いろいろな楽器が鳴っている状態」から、「1つの楽器が鳴っているように聞こえる状態」にしていくことが大切です。
このパーカッションの例のように、ただループ素材やレイヤーを足していくのではなく、「なぜその音が必要なのか?」など、その音を入れる意図を確認しながら作曲していくことが大切です。
音を足すときに、意図に沿っていない音は削除して、整理していきましょう。
ミックス前にやるべき2つのこと
(音を詰め込みすぎない)
・すべての音やレイヤーに意図を持つこと
ちなみにこのTipsについては、他のプロも言及していますので、ぜひ合わせてご覧ください↓
ミックス・マスタリングのコツ2.必要のないリバーブを使わない
2つ目のコツは「必要のないリバーブを使わない」です。
まずはじめに、こちらのベースラインをお聞きください。
ベースラインをソロで聞いているので、とてもドライに聞こえ、リバーブを足したくなるようなサウンドです。
しかし、コツ1でご紹介したリードシンセは既にリバーブをたくさん含んでいます。
これぐらい広がりのあるリバーブがあれば、これだけでも充分スキマを埋める役割が担えるので、これ以上リバーブは必要ありません。
そのため、ソロで聞いて「リバーブが必要だ!」と思わず、全体で聞いて本当にリバーブば必要かどうかを判断しましょう。
SKRILLEXが使っているリバーブテクニック
SKRILLEXも、リバーブは最小限のものしか使っていません。
例えばとても短いショートルームリバーブ(Short Room Reverb)を使い、なるべくリバーブでスキマを埋めないようにしています。
ミックス・マスタリングのコツ3.短くパンチのあるドラムを使う
3つ目のコツは「短くパンチのあるドラムを使う」です。
これはオシロスコープを使うとわかりやすいのですが、今回はCableguys社のShaperBoxを使ってみましょう。
このプラグインを使ってドラムの波形を確認してみると、キック・ハイハット・スネア・シェイカー・クラップの音がそれぞれどの波形にあたるのか、とてもわかりやすくなっています。
これだけはっきり分かれているということは、それだけ他の楽器のためのスペースも確保されているということになります。
実際にSKRILLEXもものすごく短いキックを使うことが多く、16分音符よりもほんの少し長い程度です。
音を短くしたいときにおすすめのプラグイン
音を短くしたいときは、Cableguys社「VolumeShaper」のように、ボリュームを自由に調整できるプラグインがおすすめです。
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一瞬だけリバーブを多くする
「音をドライに短くしてみよう」とご紹介しましたが、かといって曲中ずっとそうする必要はありません。
SKRILLEXも、フィルインなどではリバーブを一時的に多くしています。
ミックス・マスタリングのコツ4.短くパンチのあるドラムを使う
4つ目のコツは「グループマスタリングをする」です。
「グループマスタリング」とは、シンプルに「いくつかのグループに分けてマスタリングを行うこと」です。
グループマスタリングの手順
まずはこのように「ドラムとFX」「ベース」「シンセ」などにグループ化して、グループ別にマスタリングを行います。
グループ化した後は、もっとも大きいグループに対してリミッティングを行います。
今回はドラムのグループが最も大きかったので、こちらにPro-L2を使っていきます。
(どちらかというとクリッパー要員で使う)
設定は、Styleを「Agressive」、Attackは一番遅く、リリースは最速に、Channel Linkingは全て0%にし、Oversamplingは「16x (CPU-intensive)」にします。
オーバーサンプリングについてはこちらの記事でも詳しく解説しています↓
ここで一番重要なのは、「1:1」設定をONにすることです。
Pro-L2画面右下にある「Out: 0.0dBTP」と書いてある部分をクリックし、「1:1」のボタンを黄色に点灯させます。
この設定をONにすると、画面左のGainを上げても、Outputのボリュームはそのまま変わらなくなります。
あとは、クリッピング(音割れ)しなくなるまでGainを上げるだけです。
画面を見ると、ピーク時にどれぐらい音が抑えられているかがわかります。
そして、レベルメーター(今回はLogic Pro付属のメータープラグインを使用)を確認しながら、リミッティングをしたときとバイパスにしたときで聞き比べてみます。
今回の場合は、ドラムに対するリミッターをOFFにするとピークがおよそ-8dBに、ONにすると-10dBになりました。
同じ音量なのに、-2dBも差が出ました。
あとは、このリミッターの設定をドラム以外のグループにも適用します。
この状態で、全体のレベルを確認してみましょう。
まずは全グループのリミッターをONにした状態です。
R(右チャンネル)ではピークが-1.6dBになりました。
それでは、リミッターを全てOFFにしてみましょう。
ピークは-4.3dBになりました。
同じ音量なのに、クリッピングすることなく3dBもの差が出ました。
ステレオアウト(マスター)に対して先にマスタリングする前にグループマスタリングをすることで、このように細かくチェックすることができます。
これができたら、あとは通常通りステレオアウト(マスター)にマスタリングをしていきます。
とても大きく聞こえ、メーターでもその音量の大きさがわかりますが、クリッピングはしていません。
コツ4のためにはコツ1〜3を使ってミックスすることが大切
このグループマスタリングを成功させるためには、コツ1~3をしっかり行っていることが前提条件です。
マスタリングだけ頑張るのではなく、作曲(ソングライティング)の段階からミックス・マスタリングを見据えて制作していきましょう。
以上で今回の解説は終了です!
音圧やミキシング・マスタリングのコツに関しては他にもたくさんありますので、ぜひプロのテクニックをGETしてください↓
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