楽曲分析

【ヒット曲分析】Halsey「Without Me」の作り方・完全再現

世界でヒットした曲は、どんな曲の構造になってるの?
プロが使っている音の作り方が知りたい!

今回はこのような疑問にお答えする内容です。

ロンドンをベースに活躍しているキーボードプレイヤー・音楽プロデューサーのSki Oakenfullが解説する「Halsey “Without Me” 徹底解剖」をまとめました。

ドラムやシンセの音の作り方から、コード進行などの音楽理論的な部分まで、幅広く解説していきます。

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

原曲「Halsey “Without Me”」

Halseyの“Without Me”は、2024年時点でYouTube再生回数9億回を超えている、超人気曲です。

今回はこちらの曲を徹底解剖しながら、サウンドを再現していきます。

Halsey - Without Me

キー(スケール)とコード進行について


画像:動画より

この曲はEbマイナーキーで、スケール構成音はこちらです。

Eb F Gb Ab Bb Cb (B) Db Eb

そして以下のコード進行がメインで使われています。

Ebm7 - Gbsus2 - Db - Abm7

i - III - VII - iv

Ebm7 - Gbsus2 - Db - Cb

i - III - VII - VI

これらのスケールやコード進行を弾いてみると、このようになります↓(5:03~6:36)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

リフのギターの作り方

この曲のメインとなるリフはギターで演奏されています。

この音を再現するために、「Roland SUPER JV」にあるジャズギターサウンドを使っていきます。
※Roland社「JV-1080」は1990年代に発売された人気シンセサイザーです


画像:動画より

このギターサウンドに、エフェクトを追加していきます。

・クリーン系(Clean)のアンプ
・コーラスのエフェクト
・ハイカットのオートフィルター
・リバーブ

エフェクトはすべてAbleton Liveの付属プラグインのみですが、このようなサウンドになります↓(3:55~4:48)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

ビート(ドラム)について

この曲では、基本的に以下のサウンドが使われています。

・キック
・クラップ
・ハイハット
・スナップ
・スネア
・リム
・FX類数種類

これらの音を使いながら原曲と同じ基本のドラムパターンを打ち込むと、このようになります↓(6:58~7:47)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

基本ビートの作り方

最初は、シンプルにキック+クラップのビートを打ち込んでいきます。

クラップは2拍目・4拍目に鳴らすシンプルなパターンです↓(7:20~7:47)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

次に、このビートにハイハットを加えていきます。

まず、シンプルに8分音符を刻みます↓(8:26~)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

そのあとは、少しだけフレーズを変えて、変化をつけていきます。

例えば、一部の8分音符を非常に短くし、複製して「ダラッ」と細かく鳴るようにします。

8:53~10:10

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

また、LFOツールで広がりのあるサウンドにしていきます。

画像:動画より

今回はAbleton Liveの付属の機能を使いますが、Panとピッチ(音程)を少しだけ動かすようなLFOができれば、別のプラグインでも構いません↓(12:10~12:26)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

FXの作り方 Part1

次は、風を切るような音「シュッ」というFXを入れてみます。

10:30~11:02

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

FXの作り方 Part2

次は「カタカタカタ…」という、リムを連続して鳴らしたようなおもしろいFXを入れてみます。

11:02~11:35

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

スナップの作り方

少し静かになるセクションでは、スネアの代わりにスナップを鳴らします↓(12:45~13:11)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

FXの作り方 Part3

また、セクションの終わり2小節にはRiser系のFXを入れて次のセクションまで盛り上げていきます↓(13:12~13:29)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

リムの作り方

静かになる2番のVerse(Aメロ)では、スネアの代わりにリムを入れていきます↓(13:35~13:46)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

サブベースの作り方

次は非常に低く重いサウンドが特徴のサブベースです。

ここでは、人気音楽プロデューサー・Julio Bashmoreがよく使っているようなベースサウンドを使います↓(13:50~14:02)
※低音がしっかり聞こえるスピーカーやヘッドホン推奨

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

音程は、コードのルート音を使います。

Eb - Gb - Db - Ab
Eb - Gb - Db - Cb

画像:動画より

実際に曲に合わせて打ち込んでいくと、このようになります↓(14:13~15:25)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

別のセクションでは、もう少しレガートに、長めに音を取るのがポイントです。


画像:動画より

ピアノの作り方

Pre Chorus(Bメロ)からは、ピアノを入れていきます。

音色は、Native InstrumentsのKontakt音源「THE GENTLEMAN」を使います。

これに、少しだけコーラスとリバーブのエフェクトを加えます↓(15:42~16:31)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

ベース Part2

Chorus(サビ)では、さらにベース音を入れていきます。

今回使うのは人気シンセサイザー・Sylenth1の「BS Reso Bass」のプリセットです。


画像:動画より

先ほどのサブベースとは違い、リズムは少し刻むような感じにします↓(16:52~17:34)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

フルート系サウンドの作り方


画像:動画より

次は、フルート系のサウンドを入れます。

今回はTAL V2 U-NO-LXの「LED Square Lead FMR」のプリセットを使います↓(17:38~18:27)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

完成!

これで基本的な音作りやフレーズが完成しました!

完成系を聞いてみましょう↓(19:02~)

Halsey - 'Without Me' Deconstruction in Ableton 10.1

以上で解説は終了です!

今回のような大ヒット曲も、1つずつ紐解いていくと非常にシンプルな要素で成り立っていることがお分かり頂けたかと思います。

当サイトでは他にもヒット曲の解説をまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


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